日曜日の朝
朝食を食べ終えた私は、兄がいる病室に向かった
ガラガラと病室の扉を開ける
古寺 アスカ
私はそのまま病室のカーテンを開けて外の景色が見れるようにした
古寺 アスカ
古寺 アスカ
兄、優雅からの反応はない
そりゃそうだ、兄は数年前から事故で意識不明なのだから
ふわっと風が吹き、私と兄の髪の毛が揺れた
スっと整った鼻、綺麗な唇目に少しかかるくらいの前髪
昔から変わっていない顔で目を閉じて眠っている兄を私は見つめることしか出来ない
いつかきっと目覚めてくれる時が来るまで
古寺 アスカ
窓から見たように外の桜は満開だっだ
古寺 アスカ
私は桜の木の下に移動すると持ってきていた本を開いた
本には桜の花びらで作ったしおりが挟んである
古寺 アスカ
私はしおりを見ると思い出を見るように目を閉じた
数年前
古寺 優雅
古寺 アスカ
古寺 優雅
古寺 アスカ
古寺 優雅
古寺 アスカ
紙袋を開けると中には桜色のものが沢山あった
古寺 アスカ
古寺 アスカ
古寺 優雅
古寺 アスカ
私はしおりを手に取る
古寺 アスカ
古寺 優雅
古寺 優雅
古寺 アスカ
古寺 優雅
そういうと兄は目を細めてニコッと微笑んだ
古寺 アスカ
古寺 アスカ
古寺 アスカ
私はそういうとパタンと本を閉じた
古寺 アスカ
古寺 アスカ
看護師
古寺 アスカ
私は大きく頷いた
古寺 アスカ
看護師
古寺 アスカ
私はそう言うとまた庭に向かった
医師
看護師
医師
医師
医師
看護師
医師
看護師
古寺 アスカ
同情されるのは嫌いだ
皆、私の状況を聞いたら「可哀想」と口にする
可哀想で済むわけでもないのに、そう思うなら楽しい話しようよ
楽しい話をして私に元気をちょうだいよ
可哀想で済ませて、ムカつく
医者も、友達も、親戚も、教師も、近所の人も
可哀想、可哀想って
そう言ってしばらくの間はお見舞いに来るのにいつ間にか「どうせ生きてるんだから」というように見舞いなんか誰も来なくなる
ほんと、ムカつく人間ってなんでこうなんだろう
お兄ちゃん、私は毎日死ぬまで、お兄ちゃんが起きるまでお見舞いに行くからね
古寺 アスカ
古寺 アスカ
古寺 アスカ
古寺 アスカ
古寺 アスカ
やっぱり兄からの反応はない
でも、寝ていても人は話しかけられたことは聞こえているらしい
だから、私はそれを信じて話しかけ続ける
いつか起きた時に私の言ったことが覚えているように
3日後、朝方
周りで看護師や医師の慌てる声と話しかけてくる声や「ピーピー」と機会の音が聞こえる
正直、何を言っている間からない、頭が混乱していて聞き分けることすら出来ない
苦しい、息ができない
心臓が「ぎゅぅぅ」と痛む、「キーン」と耳鳴りがする
ついに、死ぬのだろうかそんなことが頭をよぎる
景色がかすれて見えてくる、「ピッ…………ピッ…………」と弱々しい機会の音が聞こえてくる
古寺 アスカ
「ピー」
古寺 優雅
目が冷めるとそこは知らない天井だった
ベットも服も知らないものばかり
しかし、雰囲気でここがどこなのかすぐにわかった
古寺 優雅
どうしてこんなとこに居るのか、どれほど眠っていたのか全然分からない
すると「ガラガラ」とちょうど看護師らしき人が入ってきた
看護師
古寺 優雅
看護師
古寺 優雅
看護師
古寺 優雅
看護師
看護師
看護師
古寺 優雅
古寺 優雅
看護師
場所を聞いた瞬間、俺はベットを出て治療室に向かった
看護師
看護師の話を無視し、俺は部屋の場所を確認すると全速力で病院内を走り抜けた
走っている途中色んなことを思い出してきた
思い出すと言っても声だけ
きっと、全て俺が寝ている間にアスカが喋ったことだろう
「お兄ちゃん、今日ね、学校でね……」
「今日はお兄ちゃん誕生日だね〜 いっぱいお祝いしてあげるからね〜!」
「聞いて!期末テスト今までで最高得点だったの!」
「お兄ちゃん……本当なら今頃大学卒業して、教師になってるはずだったのにね……」
「人間ってさ、酷いよね。 生きてさえいれば大丈夫とでも思ってるのかな」
「今日は私の誕生日だ〜! プレゼントいっぱい貰っちゃった〜!」
「今日家庭科で調理実習だったんだ。 お兄ちゃんの料理、また食べたいなぁ……」
「ごめん、私病気になっちゃった…… んまぁ、でも大丈夫!きっと死なない!」
「私、将来教師になりたい。 お兄ちゃんと一緒!」
「桜……今年こそお花見行けるといいね」
どんどんどんどんアスカの言葉が頭の中に浮かんでくる
きっと、毎日のように話しかけてくれたんだろう。 ごめんな、答えられなくて
ずっと我慢させてたよな、寂しくさせてごめん
苦しかったよな、悲しかったよなごめん、ごめんな
どれだけ考えても謝罪の言葉しか思い浮かばない
涙が頬をつたる
ずっと寝ていたせいか、すぐに体が疲れて息が切れてぜぇぜぇだ
古寺 優雅
部屋の前に着いた
短時間だったのに汗がだくだくで服と背中がくっついている
俺は背中から服を剥がして「コンコンコン」とノックをした
古寺 優雅
中からの反応はない
古寺 優雅
医師
するとちょうど後ろから医師の人に声をかけられた
医師
古寺 優雅
医師
医師
医師
医師
古寺 優雅
医師
医師
古寺 優雅
すると、ガラガラガラとアスカがいる部屋から人がでてきた
看護師
医師
古寺 優雅
医師
古寺 優雅
古寺 優雅
病室に入ると「ピ…………ピ……」と心電図が今にも音がなくなりそうに弱々しくなっていた
俺の声できずいたのかアスカはゆっくりとこちらを向いた
古寺 アスカ
古寺 優雅
古寺 優雅
古寺 アスカ
するとアスカはニコッと笑って呟いた
古寺 アスカ
古寺 アスカ
古寺 優雅
古寺 優雅
古寺 優雅
なんともなんとも誤っているうちに涙が出てきた
古寺 アスカ
古寺 優雅
俺はがっちりとアスカの手を掴んだ
古寺 アスカ
古寺 優雅
古寺 優雅
古寺 アスカ
古寺 アスカ
古寺 アスカ
古寺 優雅
古寺 アスカ
心電図の音がさっきよりもテンポが遅くなっている
古寺 優雅
俺はゴシゴシと涙をふいてニコッと笑う
上手く笑えているかは分からない。 でもこれが今の俺に出来る最大限の笑顔だった
古寺 アスカ
アスカは何も言わずにまた笑った。 さっきよりも満面の笑顔で
その瞬間「ピー」と心電図の音が鳴り響く
古寺 優雅
医師
何人もの医師が入ってきてアスカに心臓マッサージしている
俺はまだ暖かいアスカの手をつなぎながらそれを見ていることしか出来なかった
五分ほどたって医師に告げられた
医師
医師
古寺 優雅
古寺 優雅
古寺 優雅
医師
古寺 優雅
アスカの命は散っていった
まるで桜の花びらが散っていくように
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はわ…すき
切ない...(けど好き)