さとみ
ころん
思わず彼を見る。
動揺してる僕とは違い
彼は怖いくらい穏やかに
話を続けた。
さとみ
さとみ
さとみ
ころん
あと数ヶ月しか生きられないのに
なんで君はそんなに
驚かないの?
なんで動揺しないの?
僕はこんなにも
心配してるのに....
ころん
さとみ
さとみ
ころん
僕は思わず同情する。
彼は何も悪くないのに
あと数ヶ月の命って…
さすがに可哀想。
僕がそんなことを思っても
どうしようもないことくらい
自分では分かってるけど
それでもなぜか
僕は君が心配になっていた。
ころん
さとみ
ころん
さとみ
ころん
さとみ
さとみ
さとみ
さとみ
ころん
酷い。
心の中でそう思う。
いくら何でも酷すぎる。
こんなの理不尽でしょ。
僕は小さく
唇を噛み締める。
その光景を見た
さとみくんは
優しく笑いながら
僕の髪の毛を
ぐしゃぐしゃに撫でてくる。
さとみ
ころん
何か言い返そうと
思ったけれど
きっとさとみくんは
自分の運命を受け入れてるんだ。
それなのに変に
口出ししちゃダメだ。
そう思い
僕はただ静かに
下を向くのだ。
教室に戻り
僕は静かに自分の席へ
座る。
そして朝と同じように
ヘッドホンを付けて
音楽を流し、
満開の綺麗な桜を見る。
桜を見れば見るほど
やっぱりさとみくんに似てるな
と、感じてしまう。
風によって微かに
揺れる桜は
花びらを落としながら
美しく舞っている。
と、その時
桜の下に丁度
さとみくんが立っていた。
さっき用事があるからと言って
先に屋上を出ていってしまったが
彼は委員会をしていたので
多分用事というのは
委員のことだろう。
ボーっとしながら
彼を見つめていると
彼が僕へ手を振っている事に
気づいた。
これは手を振り返した方が
いいのだろうか。
それとも.....無視?
悩みに悩み
僕はやや引き目に
彼に手を振り返す。
すると彼は
嬉しいと言わんばかりに
優しい笑顔をした。
僕もつられて
少しだけ笑う。
ちゃんと笑えてるか
不安だけど。
それでも僕はちゃんと
笑えていたような気がする。
さとみくんは
僕の笑顔を見た後に
すぐ委員の仕事に取り掛かっていた。
その様子を僕は
静かに眺める。
るぅと
るぅと
ころん
僕は急いで
ヘッドホンを取る。
僕を呼んだ相手は
るぅとくんだった。
ころん
るぅと
ころん
ころん
るぅと
るぅと
ころん
るぅと
ころん
るぅと
ころん
るぅとくんは
僕をまじまじと見つめてくる。
僕は視線を逸らしながら
苦笑をする。
るぅと
ころん
るぅと
ころん
るぅと
ころん
るぅと
僕は横目でチラッと
さとみくんを見た後に
るぅとくんを見る。
と、その時
僕は思わず目を丸くする。
だってるぅとくんが
さとみくんがいる方向を
睨みつけていたから。
コメント
8件
うあああ… とても好みだと感じた(?)
好きですねぇ。(評論家)