二人だけの雨の中で

アタシは乾ないこ

アタシが生まれたのは

お母さんがまだ22の頃だった

お母さんとアタシも知らないお父さんという人は

酒の行きよいでアタシを作ってしまった

アタシがお母さんの腹の中にいるってことがわかったお父さんは

連絡も残さず消えてった

それでお母さんはアタシという荷物を一人で背負った。

...

アタシは、そもそも望まれた存在ではなかった

アタシが生まれた数日はお母さんも愛しようと頑張ってたらしい

でも、アタシを見るたびに出来るお父さんへの憎しみ、怒り、それに

アタシを若い年頃に生んじゃって奪われた時間のせいで

アタシのことを好きになれなかったという

お母さんは機嫌がいい時は優しくしようとしてくれた

アタシもそれを幼い頃から知ってたから、いい子になろうと思った

でも

ﾊﾟﾘｰﾝ！！ﾄﾞﾝ！！

怖かった

昔からの死への恐怖

お母さんのヒステリック

大きい声、物が壊れる音

全てが怖かった

でも、いつもお母さんが言ってた

「あんたなんか産まなければ」の一言

心の奥には鮮明に残ってる、その言葉

その言葉が嫌で、嫌で

もっといい子になろうと思った

お母さんに

「愛される子」になりたかった

これはアタシがまだ小学生だった頃の話