二人だけの雨の中で

アタシが中学に入ってからお母さんに新しい彼氏が出来た

そのお陰でお母さんのヒステリックも少なくなった気がしてた

でも、その平和も間もなかった

その日の夜

アタシが家に帰ってきたら家はめちゃくちゃになっていた

割れた花瓶

本棚からは本が全部出てきて

写真とか額縁もめちゃくちゃ

多分お母さんのヒステリックだったんだろう

物に当たって頭から血が出る

初めてお母さんに逆らってみた結果だった

この日から優しいお母さんはいなくなったんだろう

その日からお母さんは酒を飲むことが多くなった

夜遅くまで聞こえる物が壊れる音

泣き声

全てが嫌だった

~.....!!......

お母さんが酔っぱらうと何をするのかわからない

だから怖かった

体はボロボロ、心だってボロボロだった

アザだらけの体を見てると

アタシに普通の生活なんて、無いかもと思った

家での生活がめちゃくちゃなのもあって

アタシは家より学校の方が落ち着くようになってた

この時までは友達もいなかったけど

と、思うと吐き気がたまらなくなる

アタシは静かに屋上へ向かった

アタシは考え事が増えるとよく屋上か人気がないところに足を運ぶようになった

アザだらけの体を隠そうといつも着ているカーディガンを脱ぐことが出来る場所だから

だって、こんな姿見せたくないもん

と独り言をしてると

ビックリしたせいでカーディガンもちゃんと着ることが出来てない

どっからどうみても女の子だったし、スカートだって着てたのに

かわいい、とか言われてるが、多分気を遣ってくれてるんだろう

こんなアザだらけの体、一個もかわいくない

と言いながらいむはポーチからコンシーラーを取り出す

いむはアタシの腕にコンシーラーを塗り始める

それから話を始めた

これがアタシといむの出会いだった

それからはいむと沢山話すようになって、 悩みの相談、くだらない日常の話など

些細なことまで話すようになって本当の友達っていうものができた 気分になった。

こんな時間が、一生続いて欲しい、そう願った