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Episode9『黒色の思い出』
私があの子...グレイと初めて出会ったのは
2年前の雨が酷い梅雨の時期だったわ
その日、同伴出勤で皆より少し遅れて出勤した時
控え室に見慣れない子...まぁ、グレイがいたの
信じられないかもだけど、あの子 今と違って初めて会った時凄く印象は違ったのよ
ヒグレ
店長
店長
ヒグレ
店長
ヒグレ
店長
店長
ヒグレ
店長
ヒグレ
ヒグレ
店長
店長
ヒグレ
店長
ヒグレ
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
ヒグレ
黒パーカーとジーンズにスニーカー そんなラフすぎる服装に反し
品や育ちの良さを感じさせられる丁寧な言葉や 洗礼されたお辞儀の仕方や佇まい
異様に高い背に線の細い体型
何処か儚げな印象を感じさせる真っ白な肌
此方をじっと見つめ真意を読み取らせない大きく真っ黒な瞳
中性的な高い声
どこをとっても美しい容姿
これまで夜の世界で多くの人を見てきたけれど
直感であそこまで美しいと感じられたのは 今の今までグレイしかいないわ
グレイ(18)
グレイ(18)
ヒグレ
ヒグレ
グレイ(18)
でも淡々とした口調のグレイに対して、 私の中で疑問が生まれたの
ヒグレ
ヒグレ
ヒグレ
グレイ(18)
グレイ(18)
店長
店長
ヒグレ
ヒグレ
まぁ、最初の印象は 「綺麗な子」 ってとこだったわね
ヒグレ
ヒグレ
ヒグレ
グレイ(18)
ヒグレ
ヒグレ
グレイ(18)
ヒグレ
グレイ(18)
グレイ(18)
ヒグレ
ヒグレ
少々萎縮した態度から察して 何か事情があるのはわかったけど
所詮は同じ職場の先輩後輩
特に踏み入れるような内容でも関係性では無いと その時は思ってたの
グレイ(18)
ヒグレ
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
ヒグレ
ヒグレ
グレイに対して疑問を持ちながらも 特に関わるようなことは無いと思ってた
まぁ、その時はね
グレイ...まぁ、ノアが初めて私の卓に着いた時
それなりに衝撃だったわ
だって、本当に変わってたんだもの
ノア(グレイ)
ノア(グレイ)
ノア(グレイ)
ヒグレ
ヒグレ
客
ノア(グレイ)
客
客
ヒグレ
ヒグレ
ノア(グレイ)
ノア(グレイ)
ノア(グレイ)
ノア(グレイ)
ノア(グレイ)
ヒグレ
その時、一瞬息が止まった
飲んでいたドリンクの味も 周りの音も全部消えて
私はその一瞬、グレイの瞳に溺れたの
グレイの言った言葉は社交辞令などでもなく 本心から言っている言葉だと嫌でもわかってしまうくらい
私のことを黒い瞳でじっと見つめてきたの
その時漸く理解したの
店長さんの言っていたこの子の魅力について
でもグレイが入店して数ヶ月たったある日
キャストの人たちの噂話を聞いたの
ヒグレ
キャスト
キャスト
キャスト
キャスト
キャスト
キャスト
ヒグレ
ヒグレ
ヒグレ
ヒグレ
ヒグレ
そんな会話があった ある、酷い雨が止んだ、ジメッとした日
ヒグレ
ヒグレ
ヒグレ
私はいつもより少し遅い時間に帰ることになり 店の人通りのない裏口から出たの
裏口を開けて数歩歩いた時 目に飛びこんできた光景は、今でも鮮明に思い出せるわ
ヒグレ
ヒグレ
グレイ(18)
地面に転がる酒瓶とその破片 頭を打ったであろう倒れてる見知らぬ男性
乱れた服を抑えたまま 此方を怯えた様な目で見つめて、 腰を抜かして座りこんでいるグレイ
その場の光景だけで、なんとなく状況は把握出来た
少しの間、沈黙が続いた後 先に沈黙を破ったのは私の方だった
ヒグレ
グレイ(18)
ヒグレ
グレイ(18)
ヒグレ
ヒグレ
グレイ(18)
泣きそうな子供のような表情で見つめられた際
不覚にも雨に濡れた子供みたいと思ったのだけれど
今となれば、相当大人ぶってたと思うけどね
そんな事があった翌日 私はグレイにカフェに呼ばれて一緒にお茶をしたの
あの子の好きそうな 甘すぎず大人過ぎないシンプルなカフェでね
ヒグレ
ヒグレ
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
ヒグレ
グレイ(18)
ヒグレ
ヒグレ
ヒグレ
それに「可愛い後輩のため」という言葉を付け加えなかったのは まだあの頃の私は若くて何処か気恥しさを持ってたからだけど
多分そんなことを言って 目の前でぽかんとしてる後輩の表情を変えたくないと思ったからだと思うわ
少し黙ったあと、グレイがポツリと頭に浮かんだことをどんどん呟き始めたの
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
ヒグレ
ヒグレ
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイが小さくしゃっくりをあげながら私の方を一瞬見つめて、 また顔を俯かせながら爪をいじって話しだしたの
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
ヒグレ
数秒だけグレイは黙ったあと、鼻を啜りながら話を変えて また、俯いて続ける
グレイ(18)
グレイ(18)
グレイ(18)
ヒグレ
グレイ(18)
グレイ(18)
ヒグレ
子供のように両袖で溢れ出す涙を拭う様子は 随分幼く見えて
外でいきなり降り出した雨についても興味がなくなるくらい 不覚にも、可愛いと思ってしまったわ
ヒグレ
グレイ(18)
ヒグレ
グレイ(18)
グレイ(18)
ティッシュで鼻をかみながら 涙をボロボロ流して本名を教えてくれた際
私は初めて、グレイの真っ黒な瞳をちゃんと見れたわ
ヒグレ
グレイ(18)
一瞬、グレイが泣き腫らした赤い目で私を見つめて にこりと笑った時
あぁ...この子はこんなにも あどけなく笑える子なんだと思えたの
グレイ(18)
ヒグレ
グレイ(18)
グレイ(18)
ヒグレ
グレイ(18)
ヒグレ
グレイが一通り泣いたあと、カフェを出たら物凄い豪雨でね 2人とも傘を持ってないから少し立ち往生をしてたの
そしたら、グレイが上着を脱いで私の頭に被せてから控えめに提案したの
グレイ(18)
ヒグレ
グレイ(18)
ヒグレ
グレイ(18)
いきなり手を控えめに握られて 後輩に小首を傾げられながらいわれたのよ?
一瞬躊躇ったものの ここまで来たのであれば私も腹を括って
一緒に大雨の中をびしょ濡れになりながら走ったのもいい思い出よ
隣で、雨に濡れながら大笑いするグレイは 初日に出会った凛とした子とは、同一人物に思えなくらい
子供らしくて、可愛くて...でも
酸いも甘いも知ってる様な、不思議な子に感じたの
そんな時、私は心に少し誓ったの
「この子の親の代わりにもなれないけれど、 せめてずっと、この子の"先輩"として傍にいよう」 ってね
次回…Episode10『晴れなし豪雨』 投稿日…未定
コメント
18件
次回闇がさらに深まると聞いていまさっきでそうになったうっぁは次回まで中に閉まってきますか… 今考えてみればステラちゃんとグレイって意外と境遇似てる…?
過去編!? 表現力も相変わらず丁寧でお綺麗で凄いです! 次回も楽しみに待っています!
過去編だ!!