夕食の時間に 奥様からあることを聞かれる
白鳥美鈴
あなたは日中何をして過ごしていますか?
白鳥美鈴
菜穂も夕方には帰るし家事だけでは時間を持て余すでしょう
深澤辰哉
俺は菜穂さんから雑誌を借りて読んだりしてます
実家にいた時に自由になれる時間なんて無かったから自室に籠って時間を潰すだけだがそんなこと言えない
白鳥美鈴
...実は今度の休日に出かけようと思ってます
深澤辰哉
はい
白鳥美鈴
あなたここに来てから一度も街に行っていませんよね?
深澤辰哉
はい
白鳥美鈴
行きたいと思いませんか?
深澤辰哉
え...
行きたいと聞かれてもよく分からない
俺は実家の敷地内から ほぼ出ずに過ごしていたから
今となっては自分で自由に使えるお金もなく街へ行ったところでどうなるという気持ちの方が強い
街の賑わいに心を躍らせる年頃は とうに過ぎてしまった
深澤辰哉
あの俺...行けません
白鳥美鈴
なぜ?
深澤辰哉
用事もないですし奥様と一緒になんてご迷惑は...
白鳥美鈴
はぁ...
白鳥美鈴
迷惑ではないし用事などなくてもいいでしょう
白鳥美鈴
私に付き添っていればいいだけです
深澤辰哉
でもお邪魔では...
白鳥美鈴
全く邪魔ではありません
白鳥美鈴
服装はここへ来た初日のものと同じでいいです
白鳥美鈴
ほかに心配ごとは?
深澤辰哉
いえ...
白鳥美鈴
ではそのつもりで
ごちそうさま
ごちそうさま
また奥様を呆れさせてしまったか
せっかく気を遣って誘ってくださったのにはっきりしない自分が嫌になる
深澤辰哉
(一緒に...街へ...)
出先で奥様に恥をかかせないよう
不快にさせないように
深澤辰哉
(今から準備していかないと...)







