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店を出ると、夜風がほんのり冷たくて、昼間の熱をそっと洗い流してくれるようだった。

駅までの道、街灯が点々と足元を照らす。

真央

...寒くない?

優斗

ちょっとだけ

優斗はそう言って、袖口をぎゅっと握った。

気づけば、自然に俺の手が伸びていた。

そっと、優斗の手を包み込む。

柔らかくて、でも少し冷えていて、ぎゅっと握ると指先までぬくもりが伝わってくる。

優斗

...真央

名前を呼ぶ声が、夜道でやけに近く感じる。

優斗

今日さ...なんか、特別な日みたいだ

真央

俺もそう思ってた

少し笑い合って、また歩き出す。

ただの帰り道なのに、心臓の鼓動がやけに速い。

駅の改札前で立ち止まると、優斗は少し視線を泳がせてから、ふわっと微笑んだ。

優斗

...また一緒に寄り道してもいい?

真央

何回でも

答えた瞬間、優斗はほっとしたように笑い、そして俺の手をきゅっと握り返した。

その温度だけで、帰り道の冷たい空気さえ甘く変わっていく。

―この瞬間を、ずっと続けたい。

きみは甘いシロップ

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