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店を出ると、夜風がほんのり冷たくて、昼間の熱をそっと洗い流してくれるようだった。
駅までの道、街灯が点々と足元を照らす。
真央
優斗
優斗はそう言って、袖口をぎゅっと握った。
気づけば、自然に俺の手が伸びていた。
そっと、優斗の手を包み込む。
柔らかくて、でも少し冷えていて、ぎゅっと握ると指先までぬくもりが伝わってくる。
優斗
名前を呼ぶ声が、夜道でやけに近く感じる。
優斗
真央
少し笑い合って、また歩き出す。
ただの帰り道なのに、心臓の鼓動がやけに速い。
駅の改札前で立ち止まると、優斗は少し視線を泳がせてから、ふわっと微笑んだ。
優斗
真央
答えた瞬間、優斗はほっとしたように笑い、そして俺の手をきゅっと握り返した。
その温度だけで、帰り道の冷たい空気さえ甘く変わっていく。
―この瞬間を、ずっと続けたい。