拝啓、ニセモノの僕へ。

記憶データを再生しますか？

YES ＮＯ

そんなん、1つしか 選択肢なんてない。

YESを選択。

酷く心身に悪い表現がございます

…オリジナルの事、そんなこと 言わんで欲しいな。 …でも、そんなん承知のうえ。

…記憶データを 再生いたします。

目を擦りながら、1人 海を眺めていた。

ゆっくりと、俺の事を 持ち上げる

ゆっくりと、呆然と…、 振りゆく雪を見ていた。

そんな冬に似合わない赤色が 口から零れていた。

遠くから寂しげな 悲鳴が聞こえた。

ふんわりと撫でようとも、 彼の頭に触れられないほど

僕の手は、震えていた

掠れた声も、届かない俺も、 きっときっと、…ひとりぼっち。

掠れた声、…ご飯も食えない身体。

もっと居たい。

皆から僕の記憶を無くして

これを外して

目元を指さして、 笑う。

窓の外は寂しげな 雨だった。

ゆっくりと、 彼は目を閉じる。