テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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2年間、僕には君しか見えなかった

第3話 - 3話ですぅ

2024年11月23日

#初心者

#短編ストーリー

#オリキャラ

(●´∀｀●)なー

多々良ハナ

ねぇ、新一…。

多々良新一

ん?どうしたの母さん。

多々良ハナ

…いや、なんでもないわ。ごめんなさいね。

多々良新一

…?うん。

ご飯を食べ終え、自分の部屋に戻る。さっさと宿題を終わらせて寝よう。

多々良ハナ

…ねぇ、あなた。

多々良ハル

あぁ…わかってる。いつか、ちゃんと話して、
理解してもらわないと。

翌朝、いつも通り玲奈と学校に行く。曲がり角からひゅぅっと現れた彼女とぶつかりそうになったのは内緒だ。

橘玲奈

もぅ、新ちゃんったら、恋愛漫画みたいにそのままぶつかって
華麗に助けてくれたらよかったのに。

多々良新一

んなことして結局助けられずに怪我させたらどうすんだ。

結局助けられずに怪我したら、

橘玲奈

まぁ私が華麗に避けてもいいんだけどね〜。

多々良新一

是非そうしてくれ。

橘玲奈

そしたら新ちゃんがズドーンって転んじゃうかもよ?

多々良新一

玲奈さんが無傷ならそれでいいでーす。

橘玲奈

あはは、かっこいー！

多々良新一

どうもー。

橘玲奈

あ、やばっ、歴史の教科書忘れた。新ちゃん見せて！

多々良新一

珍しいね、玲奈が忘れ物だなんて。

橘玲奈

私だって忘れ物ぐらいするよ〜。

多々良新一

分かってるよ、どうぞ。

机をくっつけ、中央に歴史の教科書を広げる。机の足が床と擦れる音が教室内に響き渡り、周りの皆が一斉にこちらを向く。

クラスメイト

また一人で喋ってるよ。

不意に聞こえたそんな一言に、不思議な感覚になる。誰かが一人で喋っているらしい。少し話を聞いてみたい。

橘玲奈

ね、新ちゃん、今日の放課後カフェいかない?
気になるところ見つけちゃったんだよね〜。

多々良新一

ん、分かった。

橘玲奈

わ〜！いい雰囲気！

多々良新一

おぉ、結構綺麗。

定員さん

1名様でしょうか?

多々良新一

…え?いや、2人です。

定員さん

お席へご案内します。

橘玲奈

えへへ、何食べようかな〜、これもいいな、
あーこっちも捨てがたい！

多々良新一

玲奈さん?あんま頼みすぎないでくださいね?

橘玲奈

わかってるよ〜、新ちゃんはなんか頼む?

多々良新一

僕はいいよ、2人分払えるかわかんないし。

橘玲奈

…え、奢ってくれるの?

多々良新一

あ、いや…いいから、早く頼んで。

橘玲奈

ふふ、照れ屋さんだな〜、ありがと。

顔に熱が集まるのを感じ、それを見られたくなくて窓の方に視線をずらす。

多々良新一

…え

ドォン___

トラックが突っ込んだ。

誰かが轢かれた。

視線の先にある横断歩道で。

多々良新一

玲奈…今、人が…。

多々良新一

…玲奈?

反応が帰ってこなくて、玲奈の方に視線を戻す。

でも、そこには誰もいなかった。

多々良新一

…え?

その瞬間、目に映る何もかもが崩れ落ちた。

いきなり目の前の景色が真っ暗になった。

多々良新一

…なに、これ。

多々良新一

玲奈?どこ?

しばらく歩いているが、景色は変わらず、玲奈もいない。

というか、進んでいるのだろうか、それすらも分からない。

多々良新一

…ぁ

橘玲奈

〜！

多々良新一

玲奈！

よかった、合流できた。

多々良新一

…あれ。

数メートル先の玲奈の方へ足を進めるが、距離は一向に縮まらない。

それどころか、どんどん離れているようにさえ感じる。

橘玲奈

〜！

多々良新一

玲奈、待って。

嫌だ、いかないでくれ。

いかないでくれよ、玲奈。

橘玲奈

〜〜。

多々良新一

だめ、だめ…そっちはだめ。

だめだよ、玲奈。こっちへ来て、そして、もう一度。

笑って

多々良新一

…あえ?

一瞬にしてまた景色が変わった。今度は、一面に白いユリの花。

そして、綺麗な青空。

そして…。

橘玲奈

…新ちゃん。

多々良新一

玲奈…!よかった、ここにいて。

橘玲奈

…ごめんね、1番大事なときそばに居られなくて。

多々良新一

何言ってるのさ、玲奈は今こうやって、僕の目の前に
いるじゃないか。

橘玲奈

…違うの、もう私は、あの日に。

「玲奈」

橘玲奈

…っ

多々良新一

お願いだから…それ以上、言わないで?

多々良新一

分かってる…分かってるよ…。

多々良新一

約2年前のあの日…あの事故の日。

君はあの日、死んだ。本当は分かってた。僕を庇ってあんな大怪我して、助からないことぐらい。

橘玲奈

…ごめんね。

多々良新一

ずっと、分かってたよ…お父さんとお母さんが、
僕を心配してる理由も。

多々良新一

クラスの皆が、僕達を…いや、僕をずっと不審がって見るのも。

多々良新一

全部、僕が1人だったから。最初から隣には誰もいなかったから。

多々良新一

何度も生死を彷徨って、奇跡的に戻ってきた君も、
朝カンさんの愚痴をこぼす君も、毎日笑う君も、
全部、全部、僕の願望だ。幻だ。

多々良新一

僕は…あの事故の日からずっと、独りだったんだ。

橘玲奈

ごめんね、ごめんね…。

橘玲奈

ひとりにして、ごめんね、新ちゃん。

多々良新一

…ねぇ、玲奈、僕、ここにいたい。君と一緒がいい。

橘玲奈

…ごめんね。

橘玲奈

まだ君には、こちら側にきてほしくない。

多々良新一

最後まで見てくださりありがとうございました。

多々良新一

うん、襲撃の事実、というより、なんとなく予想出来た方々もいたのではないでしょうか。

多々良新一

次回、最終回です。お楽しみに。

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