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そして撮影が始まってからは、みんな真剣な顔で、仕事に向き合う。 もちろん私たちも。 自分の憧れていた場所にいれることが本当に、嬉しい。 この仕事をしてきて正解だった。 と思わせてくれるような景色だった。 予定通り撮影は進んでいる。

次は別のカット。 結構ハードな撮影で、ほぼ休憩はない。 SnowManさんが衣装を着替えに行ってる間に、次の撮影の準備。 次は、ソロ撮影。 1人づつ呼び出し撮影をしていく。 順番にSnowManさんを呼びに行き、撮影を再会した。

1人1人の撮影を見ていると… 人気の理由がわかるくらい、かっこいい表現力がある。 仕事に対しても、ちゃんと意見が言えて、 より良くなる方向へ持っていってくれた。 そして撮影が終わり、1人1人に花束を渡した。

……

時間が経ち、もうすぐ撮影が終わる。 朝からやっていたけど、もう夜の9時。 人数が多いため時間がかかってしまうが、 疲れた顔せず、撮影に向き合ってくれた。

桜井凪沙

お疲れ様でした。

岩本照(リーダー)

お疲れ様でした。ありがとうこざいました。

宮舘涼太

ありがとうこざいました。

向井康二

お疲れ様でした。ありがとうこざいました。

深澤辰哉

ありがとうこざいました。

佐久間大介

ありがとうこざいました。

目黒蓮

お疲れ様でした。
ありがとうこざいました。

渡辺翔太

お疲れ様でした。
ありがとうこざいました。

ラウール

お疲れ様でした。ありがとうこざいました。

阿部亮平

お疲れ様でした。
ありがとうこざいました。

と、SnowManのみなさんが挨拶をしてくださり、 そのまま、楽屋に戻って行った。 無事撮影が終わり、少しホッとした。 自分が担当した仕事をやり遂げることができて安心した。 でも、まだやらなきゃいけない仕事があるけど、ここまで来れたのが嬉しかった。 すると……

橘(後輩)

お疲れ様でした。

桜井凪沙

お疲れ様。

橘(後輩)

無事撮影できて良かったですね!

桜井凪沙

うん。色々ありがとうね。

橘(後輩)

いえいえ。こちらこそです。

桜井凪沙

後で、SnowManさんの楽屋に挨拶しに行こうか。

橘(後輩)

はい。

そう言って、片付けがあるため、橘ちゃんと別れた。 私は、自分の楽屋に、会社から持ってきた、パソコンや資料や撮影に必要な物をダンボール箱に入れて、スタジオを出た。

外に出た時思い出した。 忙しすぎて、考える時間なかったけど、 亮平さんが、メンバーと衣装替えに行く時、ずっと、亮平さんの背中を見ていた。 顔は見れなかったけど、後ろ姿だけは、 ずっと目で追っていた。 全く忘れられてない。 いや、 忘れることができなかった……

スタジオを出て、エレベーターを待っていると……

深澤辰哉

凪沙ちゃん!

桜井凪沙

……えっ?

反対方向から、深澤さんと岩本さんが走ってきた。

桜井凪沙

お疲れ様です。

と頭を少し下げて挨拶をした。

深澤辰哉

お疲れ様。

岩本照

お疲れ様です。

桜井凪沙

どうかされましたか?

深澤辰哉

腕時計見てない?

桜井凪沙

えっ?腕時計?

岩本照

俺のなんですけど、撮影の時に外してほしいって言われて、そのまま置いてきたみたいで……

桜井凪沙

そうなんですね。

確かに、腕時計外してって言われてたな。 私は、見てないけど。

深澤辰哉

一旦スタジオに戻ってみるね。

桜井凪沙

あっ、すみません。私も行った方がいいですよね?

深澤辰哉

いや、大丈夫だよ。
重たそうな荷物持ってるみたいだし。

私のダンボールを見ながらそう言ってきた。

岩本照

楽屋上の階なんですか?

桜井凪沙

はい。

岩本照

俺、持って行きましょうか?

桜井凪沙

いや、大丈夫です。
ありがとうこざいます。

気を遣ってくれる人が多い。 優しい人ばかり。

桜井凪沙

それより、早く腕時計を……

深澤辰哉

ほら、照行くよ

岩本照

あ、うん

2人は、スタジオに向かって走っていった。 ちょうどエレベーターが来て、1個上の階に行った。 自分の楽屋の方に向かって歩いていると…… 外から雨の音が聞こえた。 朝よりも強く降っている。 はぁ……嫌いなんだよね……

楽屋へ着き、ダンボールを置いた。 1人になると気が抜ける。 終わった解放感を勝手に感じてしまう。 背中を伸ばして、ホッと一息。 でも…… 雨の音が邪魔をする。 嫌いな音。

ダンボールに適当に詰めてきたから、綺麗にしてから戻ることにした。 1人でいると静かで気が楽ではあるけど、 雨の音が、どんどん強くなるから気になってしまう…… 今日、早く帰れるかな…… 雨が強くなる前に帰りたい。 もう十分強いけど…… そう思いながら、窓を見た瞬間……

……ゴロゴロゴロ……ドッカーン…!! 雷が鳴り響いた……

桜井凪沙

ひゃっ!

咄嗟にびっくりして、その場にしゃがみ込んだ。 嫌いな音。 大嫌いな音…… そしてまた…… ゴロゴゴロ……ドッカーン⚡️⚡️ さっきよりも、音が大きく鳴り響く。 それと同時に、電気が消えた。

桜井凪沙

(停電だ……)

桜井凪沙

どう……しよう……

桜井凪沙

怖い……

目を潰って、耳を塞いだまま、しゃがみ込んだまま、動けなくなってしまった。 お願いします。 早く……はやく…… はぁはぁ…… すると……

「……なぎさ……」 「なぎさ…!」 だれ…… 助けて…… すると、ガチャと扉が開く音がした。 けど、その場から立ち上がることはできなくて……

その時だった…… 小さく縮こまっている私を、誰かが、後ろからギュっと抱きしめてくれた。 知ってる。 耳元で聞こえた…… 「……なぎさ……」 忘れたくても、忘れられなくて、 ずっと私の心の中に残っている人…… 大好きな人だった。

なんで…… 振り返らなくても分かる。 だって大好きな人なんだもん。 でも……分かんないよ…… 亮平さんのことも、 自分のことも。

桜井凪沙

りょう……へい…さん…

阿部亮平

……

返事はしてくれないが、声をかけかけると… さっきよりも強くギュっと抱きしめてくれた。 なんで……

桜井凪沙

なんで……ここに……いるんですか?

声が震え、涙が出てくる…… 抱きしめられている間も、ずっと雷が邪魔をしてくる

雷がなる度に、私は全身に力が入ってしまい、体が強ばる度に、 また、亮平さんが強くギュっと抱きしめ、 私を支えてくれる。 来てくれたことは嬉しい。 そばにいてくれる事も嬉しい。 でも、悲しい気持ちにもなる。

早く……助けてよ…… 涙が零れた…… もう限界だよ……

桜井凪沙

ねぇ……なんで……ここに来たの?

阿部亮平

……

桜井凪沙

もう……限界だって……

言ってたじゃん。 亮平さんが「限界なんだよね」って。 すると……

阿部亮平

限界だよ……

ほら、限界なんじゃん。 もういいよ…… 離れてよ…… 聞きたくない。 その声。 全部思い出すから。

阿部亮平

限界なんて……もう……



限界なんてもうとっくに超えてんだよ…

桜井凪沙

………えっ…?

うっすら目を開けると、私の耳元に、亮平さんの顔があって、少し横向くだけで顔が見える。 今日、一度も見ることが出来なかった瞳も。

阿部亮平

ずっと……苦しかった…

桜井凪沙

なんで……

阿部亮平

好きなのに……大好きなのに……

切なそうな声に、苦しそうな表情。

阿部亮平

凪沙に気持ち伝えたら……

桜井凪沙

えっ……

え……今…… 「凪沙」って呼んでくれた。 嬉しい。

阿部亮平

辛い思いをさせることになる……

ねぇ……

阿部亮平

だから離れたんだよ。

どういうこと?

好きなのに……大好きなの…… 辛い思い…… するとまた大きな雷の音が鳴り響く。 私のトラウマ。 ぎゅっと体に力を入れると…

小さくなっている私の前に、亮平さんが来て、正面から私のことを強く抱きしめてくれる。

阿部亮平

凪沙……

その声。 私の大好きな声。 雷が落ち着くまで、ずっと抱きしめてくれた。

……

雷も雨の音も落ち着き、 部屋の明かりも復活した。

桜井凪沙

亮平……さん。

今の気持ちを、簡単に言葉にすることができない。

嬉しい気持ち。 不安な気持ち。 悲しい気持ち。 安心した気持ち。 亮平さんのことが好きな気持ち。

阿部亮平

……帰ろ?

桜井凪沙

えっ……?

阿部亮平

俺の家に……

一緒に帰ろ。

耳元で聞こえてくる声。 今、亮平さんは、どんな表情なんだろう。

桜井凪沙

いや、私、まだ仕事が……

こんな応えしかできなくて……

阿部亮平

大丈夫。俺が何とかするから。

すると、彼はぎゅっと抱きしめていた身体を離し、しゃがみこんでいた私の手を取り、立ち上がらせてくれた。

やっと見えた亮平さんの顔は、優しく微笑んいるのに、切なそうな表情で悲しそう。

阿部亮平

怖い思いをしている時くらいは、
素直に人に甘えていいんだよ。

甘える…… 生きてきた中で、1度も出来てなかったこと。 もうなんでも分かっているんだな。 じっと、私の目を見つめてくる亮平さん。 こんな時でも、好きな人を前にしたら、 嬉しくなってしまう。

桜井凪沙

…亮平さん?

すると、私の手を引っ張り、またギュっと強く抱きしめてくれた。

阿部亮平

…終わらせよう…

私の頭を撫でて、そのまま後ろに手を滑らせ… 髪を束ねていたゴムを解いた。 ほどかれた髪は、左右に広がる。 その瞬間…… 閉ざしていた扉が開いた気がした。 心を縛っていた鎖が、静かにほどていく。 何も見えなかった真っ暗な世界に、 光が差し込んだ。

私を探し続けてくれた人……

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