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何も見えなかったのに。 暗くて真っ暗だった。 どんどん暗くなっていったのに……

阿部亮平

行こ……

亮平さんが、自分の着ていた、上着を脱ぎ、私の肩に掛けて…… フードをそっと被せてくれた。 泣いてる顔を隠してくれた。 ただ、男性の服だから、フードも大きくて 視界が狭まる。 私の鞄を持ち、手を引っ張って、 扉を開け、エレベーターの方へ向かって歩いて行く。

少し前を歩いている、亮平さんの姿が眩しかった。 エレベーターを待っている間に、亮平さんは、ポケットからスマホを出し、誰かに電話をかけている。

フードを被っているから亮平さんの顔は見えずらい。

エレベーターが来てからも、亮平さんは、誰かと電話をしていた。

桜井凪沙

(誰と電話してるんだろ……)

そのまま、地下1階まで降りた。

地下の駐車場に着くと、目の前に車が止まっている。 真っ黒な大型の車。 亮平さんは、後部座席のドアを開けると……

阿部亮平

急にごめん。
俺の家までお願いします。

と運転手さんに。 多分、マネージャーさんだと思う……

阿部亮平

凪沙乗って……

えっ……私…この車に乗るの? でも……

桜井凪沙

…え……

フードを被った私の顔を、亮平さんがそっと覗き込んできた。

優しくて安心させてくれる表情。 優しく、私の背中を叩いてくれた。 優しさに包まれた私は、そのまま車に乗った。

車に乗っている間もずっと手を繋いでくれていた。 車の中は、終始無言だったけど、気まずさとかはなかった。 マネージャーさんは、私のこと知ってるのかな……? なんも不思議に思ってなさそうだから、知ってるのかも。 車が停り、亮平さんがドアを開けて、

阿部亮平

すみません。ありがとうこざいました。

とマネージャーさんに言って車から出る。 車から降りる時に咄嗟に手を出してくれた。 私もお礼言った方がいいよね? 声出していいのかなぁ…… いや、でも。

桜井凪沙

ありがとうこざいました……

そう言うと、「大丈夫ですよ。お大事に」と優しく言ってくれた。 自動でドアが静かに閉まり、車はその場から離れていった。

阿部亮平

行こっか。

桜井凪沙

はい……

マンションの中に入っていき、 亮平さんの家へ向かった。

久しぶりの亮平さんの家。 いや、そうでもないかな…… でも久しぶりに感じる。 ソファーに誘導され、一緒に座る。 なんだろう……この雰囲気。 緊張する… すると……

阿部亮平

ずっとごめんね。

桜井凪沙

……え?

阿部亮平

ごめん。

なんの「ごめん」なの?

阿部亮平

全部話すから聞いてくれる?

…全部…… この話しが終わったら、私たちどうなるの? 怖いよ…… 聞くのが怖いよ……

でも……

桜井凪沙

全部……

全部聞かせてください。

これが正解なのか分からないけど、 終わらせなければいけないんだ。

……

何を言われるのか…… この人だけは信じていい人。 ……大丈夫。 亮平さんだから。 亮平さんも緊張しているのかなぁ。 切なそうな表情。 すると……

阿部亮平

凪沙。

「凪沙」って呼ばれる度に嬉しくなる。 亮平さんの顔を見ると、真剣な眼差しでこっちを見ている。

阿部亮平

好き。

阿部亮平

大好きだよ。

私が欲しかった言葉。 自然と涙が溢れてくる。 本当……だよね……

阿部亮平

もう……

遅いよね……

私は首を振った。 遅いわけないじゃん。 ずっと待ってたいたんだよ……

桜井凪沙

……遅くない。

震える声が恥ずかしくて、 でも、それ以上に嬉しくて。

桜井凪沙

ずっと……不安だった……

阿部亮平

うん。

桜井凪沙

何も喋ってくれないから……怖くて……

抑えることが出来なくなった、想いをぶつけた。 泣いた顔なら、亮平さんに見せてもいい。

桜井凪沙

どんどん遠くに行っちゃうから。

阿部亮平

ごめん……

謝らなくていいよ。 私は、亮平さんと居れるならもうなんでもいい。

桜井凪沙

私と一緒にいることが限界って……

そう言った瞬間……

阿部亮平

違う。それは違う。

桜井凪沙

…え

少しの沈黙の後、亮平さんは覚悟を決めたような瞳をした。 その瞳に、グッと吸い込まれた。

阿部亮平

俺は、凪沙に普通をあげれない。

……え 普通を……あげれない…… どういうこと?

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