テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
寿命㌫(話)
ナチス
私がさて何からやろうかと 兵器リストを見ていると、
イタ王
ナチス
びくびくと怯えていても その笑顔だけは消えないのが 昔から癪に障っていたが、 今は何も感じない。
私はただ淡々と、 手を止めずに答えた。
ナチス
ナチス
ナチス
イタ王
イタ王
ナチス
イタ王
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
いやはや、我ながら マッドサイエンティストを 演じすぎたかな。
お陰でイタ王は目を見開いて 固まっている。
訪れる自身の悲惨な運命に、 今にもその顔が みるみる歪んで―――
今、少し口角が 上がらなかったか? …流石に見間違いか。
※これから出て来る実験は フィクションです。 内容が少々エグいものと なっております。
ナチス
ナチス
イタ王
ナチス
イタ王
ナチス
ナチス
イタ王
そうは言いつつも、 何故か椅子の方へ 足を運ぶイタ王。 …やけに協力的だな。
ガシャン!
かろうじて使える左手で 装置の操作盤をいじり、 イタ王を椅子に拘束した。
この実験室の 入口側から窓側へ弾が降り注ぐように 設置してあるガトリング台。
イタ王はその、 窓側にある椅子に 脱力した状態で固定されていた。
ナチス
イタ王
イタ王
ナチス
ナチス
ダダダダダダ…!
降り注ぐ鉛玉の雨。
しかもその弾は 射程を予め決めているため、 威力が馬鹿みたいに高いのだ。
イタ王
脚や胸、腹、肩、顔に それらが直撃したイタ王の 呻く声が止まない。
ナチス
私はそれに対して 何も感じない。
パシュップシュッ。 カンッ
鮮血の吹き出る音と 弾が椅子や壁に当たる音。
―――その音に混じって、 イタ王の声が聴こえてきた。
イタ王
イタ王
枢軸と連合 どちらの視点にも立って、 かんがえたこと。
どちらに居ようが、 傷ができるんだ。
当然だ。これは世界大戦だ。 当事者で居ようと傍観者で居ようと 無傷とはいかない。
イタ王
そうなのだ。
今強そうな国の後ろに 着いて行き、 ヤバそうになったら パッ、と従うのをやめる。
だって仕方ないだろう。 痛いのは嫌なのだ。
それに、 傷つく前に逃げてしまえば 敗けたことにならない。
それはピアノのお稽古でも 軍事画策でも、 同じことが言えた。
劣等感もコンプレックスも 自分と周りの決定的な差も 誰かと対立し続けることのできる 胆力と度胸が無いことも
その場からひらりと 身を引いて、 「イオは味方だよ」 と言えば ころされずに済む。
イオはそれを、知っていた。
だからいつだって狡猾に、 転々と居場所を乗り換えて来た。
…そうしていたからか、 イオの本当の居場所なんて なかったように思えた。
そうやってずる賢く 本気で立ち向かうことを避けて
そうやって他力本願に 隠れ蓑を探して
そうやって飄々と 「自分は当事者じゃない」 って顔して、 逃げ回ってきたから。
誰もイオのことを 信じて、受け入れることは なかった。
「こっちはこんなに 苦しんでるのに…」 「なんでお前は無傷なの?」 「一緒に戦ったのなら せめて軍事費に痛手くらい 負っていても おかしくないんですがねぇ」 「いつまで守られる側の 気持ちなんだ」 「本当に味方なの?」 「お前は何ができるんだ?」 「もしかして、 実は何もできなかったり――――」
イタ王
イタ王
傷つかないと。
イオがとった行動は、 リストカット。
こうして片手首から流れる 鮮血を見ている時間だけ、
心地よい痛みを 感じている間だけ、
落ち着いていられる。
イタ王
みんなと同じ、 戦って血を流す 「交戦国」であると。
言い聞かせながら、 自傷に走った。
プシュゥゥウ…
ナチス
装置を停止させ、 拘束も外してやる。
煙幕の中から、 穴ぼこだらけになった 実験服と身体が覗く。
イタ王
虚ろな顔して フラッと解放されたイタ王は、 首に空いた穴が再生する反動で ぐねりと揺れた。
イタ王
ぽこぽこと繋ぎ合わされる身体と、 修復されなかった服の隙間から 大胆に肌が覗く。
イタ王はどうでも良くなったのか、 それに一切の羞恥も感じず 椅子を降りた。
椅子を降りれるくらい 体が元通りになっていた、 ということだ。
しかし…おかしいのだ。
ナチス
イタ王
ぷらーん。
皮一枚のみで繋がったまま、 手首が取れてしまったのだ。
イタ王
気付いたイタ王が 今度は流石に動じて、 必死に付け根へ押し付ける。
しかしまた手を離すと、 ぷらーん。と 間抜けな動きで取れてしまった。
イタ王
ナチス
私も右足を引きずりながら 近づいてみると―――
ナチス
そこには明らかに、 弾丸とは思えない 切り傷があった。
それも、ほぼ同じ方向に、 いくつもだ。
ナチス
イタ王
イタ王
ナチス
イタ王
イタ王
ナチス
私は続きを聞きたくなくて、 踵を返し実験結果を記録につけた。
その先を…その詳細を 聞いてしまえば、
失ったはずの 情が沸いてしまうから。
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ごくり。
イタ王はなんと、 これら四つの薬を全部 水無しで飲み干した。
ナチス
イタ王
イタ王
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
イタ王
ナチス
イタ王
イタ王は何も答えなかったが、 瞳孔はカッと開かれ、 手足はだらんとしており、 言動は正気じゃない様子だ。
ナチス
しかし、明らかに、 他の実験体とは 様子が違う。
口元が柔らかく笑っており、 ふわふわと気分がよさそうで…
こんなの、 まるで、
薬を飲むことに 安心感を覚えている みたいじゃないか……!
ナチス
ナチス
するとイタ王は薬の効果か、 とても素直に自白した。
それも、私の 聞きたくない答えを。
イタ王
イタ王
イタ王
イタ王
ナチス
私は額を手で押さえ、 実験結果を記録につけた。
最初は、 ただの不眠だった。
戦争が始まってからは、 安心して眠れる場所なんて どこにも無かった。
奇襲に備えた野営も、 王室育ちのイタリア家化身には 慣れないものがあって。
爆音と爆風にさらされては なかなか眠れない日々が続いた。
そうしてある時から、 汚い枕と粗末な毛布が、 イオに囁くんだ。
「一番足を引っ張っているのは誰?」 「自衛もできない役立たずは誰?」 「君の存在意義は何?」
夜にそういった考えが 浮かぶようになってから、 これまでかろうじて取れていた 浅い眠りすらできなくなって、
イオは医者に 睡眠薬を処方してもらった。
…びっくりするくらい よく眠れたよ。
薬って、 無理やり脳を眠らせる 素晴らしいものなんだね。
眠っている間は、 何もかんがえずにすむ………。
だけど、 薬は慣れるもの。
5粒、6粒、7粒。
イオの飲む錠剤の数は じわじわ増えていった。
やがて そんな数では足りなくなって、 イオは過剰摂取に走ることとなった。
意識障害?呼吸抑制? 急性肝不全?心肺停止?
そう。 薬の過剰摂取ってね、 心は安らかになるけど 体に大きな負担をかけるの。
まぁイオは国だから、 そのくらいは 死因にならないけれど…
いっそのこと、 しねたらよかったのにね。
ナチス
ナチス
イタ王
薬の効果で心拍数が下がり 酸素が足りなくなったのだろう、 イタ王は肩で息をしている。
鋭くなった触覚からか 衣擦れにすら過剰に反応し、 体温が上がって額や腿が 真っ赤になっている。
薬の効果は 確かなもののようだ。
ナチス
イタ王
脳の機能が低下しているのか、 こんな状態でも無理とは言わず 立ち上がろうと足を動かす。
しかし力が入らないようで、 諤々と震えながら ぐらりと寄って来た。
イタ王
ナチス
がしっ…………
バランスを崩したイタ王の、 千切れた手首とは 逆の腕を掴んで支えた。
イタ王
突然、電流でも流されたように、 イタ王の体は痙攣した。
上手くいったようだ。
イタ王
ナチス
触られた余韻からか、 膝を折ってびくびく震えるイタ王。 それでも、この手を離してやらない。
次に私は、
パシンッ
イタ王の頬を思い切りビンタした。
イタ王
イタ王は倒れ込み、 じんじんと広がる衝撃に 耐えかねている。
あの薬には 皮膚の触覚を跳ね上げる…
所謂、「感度」を上げる 効果があったのだ。
お陰でイタ王は痛みを、 甘い甘い麻痺として 受け取っている。
ガッ!! ぐりぐりぐりぐり……
倒れる体に足をつけ、 床と靴底で思い切り擦ってやると。
イタ王
元々、衣擦れにすら 反応していた状態だ。
こうなっては、 もう何をされても 痺れてしまうのだろう。
イタ王
ナチス
げしっ、げしっ
私が残った左足で イタ王を蹴り続けていると、 イタ王は声を上げた。
イタ王
ナチス
イタ王
イタ王
完全に壊れてしまったイタ王は 嬉しそうに涙を流しながら、 謝罪する。
それらの何かが 私の琴線に触れたのか、 閉じ込めていた感情が 言葉として溢れ出した。
ナチス
イタ王
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ナチス
ナチスの声は、 震えていた。
語り手であることを 放棄したナチスの代わりに、 ほかの誰かが見た光景は。
ぎゅぅ……っ
イタ王
イタ王がナチスを 抱きしめている 様子だった。
おかしくなった自分の体に 熱が触れるのも構わずに。
イタ王は、力を振り絞って ナチスを包み込んだのだ。
ナチス
ナチス
イタ王
ナチス
崩壊間近のイタ王と、 満身創痍のナチス。
ふたりは残された時間をただ、 ただ抱き合って過ごす。
ナチスは、 失明した。
おかしくなった戦友を 真正面から見ることに 耐えられなくなり。
「正しく物事を見る目」を 失ったのだ。
…いや、はじめから無かったのか。
徒党を組み、同盟を結び、 軍国主義として排他的に生きると 決めた時から。
イタ王
ナチス
イタ王
彼らの目の先は、 互いを見てはいなかった。
…とっても危うい、 触れれば瓦解してしまいそうな どうでもいい間柄。
それは仕方が無い。 何故なら二国は、 裏切り裏切られた 国同士なのだから。
イタ王
イタ王
ナチス
取り繕うことなく 壊疽と化膿を曝けるイタ王に、 その気もないのに 無感情のまま愛を囁くナチス。
この関係に、 本心などは 存在しなかった。
ナチス
ナチス
腕の中で衰弱する彼の、 身体中にできた傷を撫でる。
撫でた部分から、 徐々に崩壊していく。
イタ王
顎に手が添えられる。
そうして私の身体もまた、 触れられた部分から ぼろぼろと崩れ出す。
イタ王
ナチス
そうしてふたりは、
盲目のまま触れ合いながら、
砂埃が舞うように 霧散していった。
相手の死を、 独り占めするかのように。
コメント
15件

うわぁぁ 狂愛ダァ(^-^) この世界の日帝はどう思うだろ?

ああああああああああああ好きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…(死亡) ~~この放送は天国からお送りしております(???)~~ せっっっっっつない…(?)この…この関係がッ…好きすぎますッッ… あとッッ…タイトルがッッ… 前回のタイトル「独善」ッッ…AIによると「独り善がり」ッッ… 今回のタイトル「独占」ッッ…AIによると「独占する」で出てきたものですが「独り占め」ッッ… そして物語のタイトルが「独り善がりの独り占め」ッッ… あと「独」ってドイツの漢字ではないですかぁッッ…!!!!! 伏線が最高ですッッ… そしてッッ…前回冒頭部分のシーンと…今回最後らへんのシーンッッ… お゙な゙じ゙だ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!゙!゙!゙!゙!゙!゙ そしてナチさんドイツ語で「愛してる」はだめですよ、反則!!!!!私○んじゃいます!!!!!!(???) 「相手の死を、独り占めするかのように。」わぁぁぁぁ最高だぁぁぁぁぁぁ… 素敵な素敵な物語をありがとうございます、発狂しながら食べます!!!(((え???
うわあああああ一緒にいこう!!!まじいいわー