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誕生日。 九つ子たちの元へ。 差出人のない手紙が届いた。
だけど。 誰も捨てなかった。 誰も無視できなかった。 そこにあった優しさが。 あまりにも懐かしかったから。
アレキサンドライト
封筒を開く。 綺麗な字。 だけど。 少しだけ震えている。
『誕生日おめでとう。』 『ちゃんとご飯を食べてね。』 『無理しすぎないで。』
アレキサンドライトは黙る。 無理しすぎないで。
昔。 何度も聞いた言葉。
綾小路清隆
気付けば。 手紙を大事に机へしまっていた。
見たい。
もっと読みたい。
けど、
これ以上この『愛』に触れたら
耐えられないから。
ダイヤモンド
潔世一
封を開く。
『夢を諦めないで。』 『頑張りはきっと届くから。』
ダイヤモンドは笑った。 だけど。 目が少し潤む。
潔世一
その日から、手紙は 俺の宝物になった。
サファイア
サファイアは封筒を見る。 少し震える手。
『本当の自分を嫌いにならないで。』
その瞬間。 目を見開いた。 誰にも話していない。
ウィッグのことも。
カラコンのことも。
なのに。 まるで見透かされているようだった。
桜遥
涙が一滴落ちた。
アクアマリン
アクアは静かに読む。
『たまには頼ってね。』 『全部一人で抱え込まないで。』
星野アクアマリン
苦笑する。 そんなことを言う人は。 一人しかいない。
星野アクアマリン
その一言だけだった。 だけど。 少しだけ安心していた。
レピドライト
緑谷出久
『ヒーローになれるよ。』 『ボクなら大丈夫。』
レピドライトの目が大きくなる。
緑谷出久
今の一人称。 誰にも話していない。 知っているはずがない。
星宮アメジスト
思わず名前を呼んだ。 そして。 大事そうに胸へ抱きしめた。
フローライト
『優しいままでいてね。』 『その優しさは弱さじゃないから。』
フローライトは笑う。
虎杖悠仁
昔から。 アメジストはそうだった。 誰よりも優しかった。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
そう呟いた。
ルビー
『笑顔を忘れないで。』 『あなたの笑顔は素敵だから。』
ルビーは途中で読むのをやめた。 涙で見えなくなったから。
星野ルビー
小さな声。 誰も聞いていない。 だけど。 本当の気持ちだった。
エメラルド
『もっと高く飛んで。』 『きっとできるから。』
エメラルドは笑う。
日向翔陽
でも。 その後。 手紙を額縁の横へ置いた。 一番大切な場所に。
そして最後。 病院。 アメジストは窓の外を見ていた。
みんなに届いただろうか。
迷惑じゃなかっただろうか。
そんなことを考えていた。
すると。 主治医の先生が隣に座る。
医師
アメジストは首を振った。
星宮アメジスト
先生は笑う。
医師
医師
アメジストは空を見上げた。
遠い空。
今日は少しだけ近く感じた。
離れていても。
会えなくても。
兄弟たちはどこかで生きている。
そう思えたから。
その頃。 誰も知らない。 九人全員が。
同じ夜空を見上げていたことを。
そして。 同じことを考えていたことを。
「会いたい。」
九つの宝石は。 少しずつ。 再び引き寄せられていた。
コメント
1件
うわあ……沁みました。差出人不明の手紙が九つ子全員に届く、それだけで胸がぎゅっとなるのに、一人ひとりの反応がぜんぜん違ってて、でもみんな「アメジストだ」って気づいてるところが泣けますね。特にサファイアのウィッグとカラコンの秘めた思い、レピドライトの一人称——誰にも言ってないことを見抜かれてる切なさ。最後の夜空を見上げる全員のカット、これだけで一章分の余韻がありました。続き、すごく気になります。