これはとある未来のお話
この世の者達が能力を授かった世界
物騒で、輝いていて─
辛く厳しい世界なのである
ぺいんと
ぺいんと
能力:瞬足
その名の通り、移動速度が大幅に上がる
この世界ではかなり強い方の能力だ
故に俺の能力目当てで追ってくる輩が多いのだ
勿論俺の能力で相手を撒くことは容易だ
だがこうも毎日追われるとなると体力消耗が激しい為、俺は頭を抱えていた
ぺいんと
しにがみ
ぺいんと
ぺいんと
クロノア
トラゾー
トラゾー
しにがみ
しにがみ
このL〇NEグループは能力が強い方の者達が集まったグループだ
勿論雑談等はするが、毎日こうやって生存確認、つまりは捕まってないか確認しあっている
ここにいる者達の能力は
しにがみ 能力:シェア
対象者(最大1名)の能力を自分または視界に入ってる人(最大5人)にシェアする事ができる
クロノア 能力:液体
自分や他の物体を液体にする事ができる(生き物は不可)
トラゾー 能力:倍増
生きている者の体の一部を2倍にする事ができる
全員、俺と同じ様に追われる毎日なので疲労が半端ない
なので最近は解決策等も話し合ったりしている
ぺいんと
ぺいんと
寝なければ明日もやっていけないので俺は寝る準備に取り掛かった
地面に足をつけ、立ち上がる
…ピーンポーン─
家のインターホンが鳴った
俺をいつも追いかけてるやつらが家を特定し、来た可能性がある為慎重に向かう
ぺいんと
足音を立てない様ゆっくりと進む
扉の前に立ち、扉の穴を除く
扉の奥の姿を見て安心した
安心したと同時に俺は扉を開いた
ぺいんと
しにがみ
扉の前にいたのは''見た目は''しっかりとしにがみだった
しにがみも俺と同じで追われる存在だ
外に出しておく訳にはいかないので中に入れる事にした
ぺいんと
溜息をつき、しにがみに話しかけながら鍵をかける
すると''しにがみ''は不吉な笑みを浮かべてこう言った
ぺいんと…入れてくれてどうもありがとう…!
瞬間、俺の視界には暗闇が広がった
…い…ん
ぺ……ん
ぺ…さん!
ぺいん…さん!
ぺいんとさん!
しにがみ
知っている声が頭に響き目を覚ました
ぺいんと
しにがみ
しにがみ
そっか…俺 ''しにがみの見た目をした者'' に捕まったのか
仲間に変装したやつも見抜けないなんて情けないな、と思いながら話を続ける
ぺいんと
しにがみ
どうやらこのしにがみは''本物''な様だ
しにがみを前に、俺は辺りを見渡す
床も、壁も、天井も白い
見当たるとしたら壁に付いているダクトだ
1人では届かない高さにある
しにがみ
ぺいんと
ぺいんと
早速1つ''進歩''があった
物は試し、という事で2人で入る事にした
ぺいんと
しにがみ
ダクトには照明が付いていたのである程度周りを見る事ができた
ダクトも広いので、俺達はすらすらと進む事ができた
少し進んだ後、壁にとある張り紙があるのを見つけた
ぺいんと
しにがみ
流石に距離が離れていて見る事が出来ない
俺達はその張り紙を見ながら前へと進んだ
…ゴトッッ
しにがみ
いきなり床が抜け、しにがみが下に落ちていった
それに続き、後ろにいた俺も落ちてしまった
その時、張り紙に書いている文字がはっきりと読めた
──𝐆𝐚𝐦𝐞 𝐨𝐯𝐞𝐫──
ぺいんと
しにがみ
しにがみ
震えた声で俺を呼ぶ
俺は呼ばれ、しにがみの方向を向いた
瞬間、俺は…俺達は固まった
目の前には
血の海ができていた
勿論、俺たちの血ではない
じゃあ誰の血?
辺りを見回してみても何も見つからない
偽物かと思ったが、どれだけ見ても本物だ
背筋が凍った
俺達なら余裕で入れて
妙に広く明るいダクト
『──𝐆𝐚𝐦𝐞 𝐨𝐯𝐞𝐫──』の張り紙
目の前には血溜まり
進歩かと思っていたものは全て仕組まれたものだった
もう結果はわかるだろう
死の一択
俺には方法が思い付かなかったため、絶望していた
ガタン…ウィーン…
その時、壁が迫ってきた
本当の終わり
俺は諦めかけていた
しにがみ
しにがみ
しにがみは諦めていなかった
俺には死の一択しか無かったというのに
この部分に関しては尊敬だ
しにがみ
しにがみにそう言われ、俺は鉄格子の方へ走った
そして、足を止めた
しにがみ
俺が足を止めた理由はとても重大な事が頭によぎったのだ
俺が行けたとしても
ぺいんと
俺が逃げれてもしにがみは瞬足を持っていない為逃げる事は不可能だ
さっきのダクトみたいに2人で協力して登れる高さではないししにがみは逃げる方法がないのだ
そう聞くと、しにがみは笑顔を浮かべ、こう言った
しにがみ
しにがみ
しにがみ
しにがみは笑顔を浮かべていたけれど
──俺には悲しみの顔にしか見えなかった
そして
しにがみの目が涙目になっている事が心に引っかかってしまう
ウィーン…ガタン
壁が迫ってくる
潰されるまで長くて20秒だろうか
それに気付いたのはしにがみも同じな様で俺に叫ぶ様にこう言った
しにがみ
ぺいんと
それがお前の願いなら
この方法で助かることをしにがみが望むなら
俺は一気に走った
しにがみ
しにがみ
しにがみ
しにがみ
またね
ぺいんと
その言葉を聞いて、俺はしにがみの元へ行きたかった
だけど走り始めた俺の足はもう止めるには遅くて
鉄格子を登りきってしまった
ぺいんと
しにがみは笑顔で、涙を流していて
満足そうな顔をしていた
ぺいんと
しにがみ
俺の言葉を遮る様にしにがみは叫んだ
しにがみ
しにがみ
目を閉じ、最期の言葉を紡ぐ
───逃げ切って
鈍い音が響く
終わってしまった
尊く、大切な命が
頼まれたんだから最後までやらなくちゃ
『逃げ切る』という使命を
途中、俺達を捕まえた奴らの声が聞こえた気がしたが、今は耳に入らなかった
さようなら…生かしてくれた人よ
そしてまたね
───会う日まで
かめりんご
かめりんご
かめりんご
言い訳Time
かめりんご
かめりんご
かめりんご
かめりんご
かめりんご
かめりんご
かめりんご
コメント
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あの、ダーペや、ホワペ出ますか?でないのなら、出てほしい…