父親
あの子は…
父親
部屋に戻ったみたいだな…
母親
そうね…
陽愛(ひより)
(良かった、ここに居ることバレてない)
父親
それで?何だい?話って、それもあの子がいちゃダメな話なのかい?
父親
もう大きいんだし、やっぱり一緒に話してわかってもらった方がいい、そう思わないかな?
陽愛(ひより)
(お父さん…)
父親の言葉に目元が霞んだ。
父親
あの子には責任感じないようにフォローしてやったか?
続けて父親は言葉を続けた。
母親
当たり前でしょ?
母親
でも本当にあの子は悪くないわ。
母親
私が計画的に家事を済ませて陽愛に会いに行けば良かったのよ…
だんだん聞いているのが辛くなって、
次第に大粒の涙が溢れた。
ドアの前でうずくまり声を出さずに泣いた。
父親
…。
父親
あの子、聞いたりしてないよな
急に心配になったのか父親は尋ねた。
母親
しっかり部屋に戻ったと思うわ。
母親
あの子が言いつけを破ったことある?
父親
そういえば、あの時だけだったな。
母親
でしょう?だから大丈夫よ、たとえ聞いていたとしてもあの子なら受け止められるわ。
父親
じゃ、じゃあ部屋に戻すこと無かったんじゃ…
母親
だって、後悔するかもしれないでしょう?自分の意思で聞いてるのであれば、覚悟が出来ているのであればいいと思っているわ。
陽愛(ひより)
(もう、だめだ…出てきてしまおう。)
陽愛(ひより)
お父さんお母さん…ごめんなさい
母親
あら、やっぱり聞いていたの。
父親
居たのか陽愛。
陽愛はその場で泣き崩れた。
父親
陽愛…。ごめんな、今度会う時を楽しみにしているよ。
陽愛(ひより)
嫌、待って!
陽愛(ひより)
まだ行かないで…
父親
あ、勘違いさせてごめんな、これから離婚届を出しに行くからもう少し居させてもらうぞ。
陽愛(ひより)
ほんとに?
父親
あぁ、本当だよ。