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孤独と孤独が手を繋ぐまで

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孤独と孤独が手を繋ぐまで

4 - 言葉よりも、温かいもの

♥

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2025年08月01日

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あお

……ん、ん〜……

あおが寝返りを打つ。

まぶたの向こう、やわらかな朝の光が差し込んでいた。

あお

ん……? ……あれ……ここ、どこ……?

寝ぼけたまま目を開けた瞬間、頬に触れたのは――

ふっっっっわふわの白色のしっぽ。

あお

わっ、わっ……!?

トルテ

……起きたか、あお

顔をのぞき込んできたトルテ

耳はぴくりと動き、しっぽはまだあおの顔に巻きついたまま。

あお

ふ、ふわ……トルテのしっぽ……!

トルテ

……お前が夜中、掴んできたんだろうが

あお

えっ!? そ、そんなこと……!

トルテ

『ふわふわ〜』とか寝言で言って、べったりだったぞ

あお

うそぉぉぉぉおお!? 死にたい〜〜っ!

トルテ

言うな。死にかけだったやつが、軽々しく口にするな

あお

うぐ……でも、恥ずかしすぎる……!

トルテ

……まあ、嫌ではなかったがな

あお

……へっ?

トルテ

……なんでもない。早く起きろ。朝食はもうできてる

あお

すごい……森って何でもあるの!?

トルテ

森が作ったわけじゃない。俺が作った

あお

えっ、トルテが料理……!? 見たい! 見せて!!

トルテ

落ち着け。厨房は狭い。暴れるな

あおは毛布を蹴飛ばしながら跳ね起き

小屋の奥にある小さな台所へ駆け込む。

あお

うわー! すごい! スープと、パン? これ焼いたの? 自分で!?

トルテ

そうだ。パンは保存用にしてある。蜂蜜は昨日とってきた

あお

はちみつパン……! おいしそう!

トルテ

食え

あお

あっ、待って……いただきます、って言ってもいい?

トルテ

……別にいいが

あお

じゃあ……いただきます!

あおは、ほんの少し焼き目のついたパンをちぎり、蜂蜜をのせて口に入れる。

あお

んっ……! あまい……! ふわふわしてて……

トルテ

食レポはいい。食え

あお

でも言いたくなるくらい、おいしいんだってば!

トルテは黙ってスープをすすっているが

その狐耳は――少しだけ、ゆるやかに揺れていた。

トルテ

……森の匂いが心地いい。今日は外に出てもいい日だ

あお

え? それって……一緒に行こうってこと?

トルテ

珍しく察しがいいな

あお

へへっ、すごく楽しみ

食後、小屋の外。

木漏れ日の中を、ふたりは並んで歩いていた。

あお

森ってさ、意外と怖くないんだね

トルテ

それは、俺が一緒にいるからだろ

あお

えへへ、そうかも。だって、トルテ強そうだし

トルテ

“そう”じゃない。“強い”んだ

あお

おぉぉ……なんかかっこいい……!

トルテ

……褒めても何も出ないぞ

あお

え~、じゃあ、もふもふ一回だけ触らせて!

トルテ

……は?

あお

トルテのしっぽ! 今朝すっごく気持ちよかったから! もう一回だけでいいからさ!

トルテ

……ほんとに、一回だけだぞ

あお

やったぁぁああ!!

トルテが背を向けると、九つの尾がふわりと広がる。

そのうちの一本に、あおはそっと手を伸ばし――ぎゅ。

あお

……はぁあああああ……しあわせ……

トルテ

お前は何しに森に来たんだ

あお

え、もふりに来た!

トルテ

……バカか

あお

うん、でも今はそれでいいって思える!

トルテ

……

木々の葉が風に揺れ、光がきらめく。 あおはふと、空を見上げた。

あお

ねえ、トルテ

トルテ

なんだ

あお

ここで、トルテと一緒にいられるなら……そのほうが、ずっと幸せな気がするんだ

トルテ

……そう思えるなら、もう少し、ここで過ごしていけ

あお

うん……!

あおの笑顔に、トルテの表情は変わらない。

けれど――ふと、しっぽがそっと、あおの背に触れた。

あお

え……今の、トルテから?

トルテ

……気のせいだ

あお

うわ~っ、絶対優しさのつもりだったのに照れてるぅ~!

トルテ

黙れ。森に置いていくぞ

あお

やーだー! もっともふらせてーっ!

トルテ

誰が許すか

――そんなふうにして、二人の奇妙な同居生活は

笑い声とふわふわに包まれながら、ゆっくりと始まっていった。

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