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新学期の朝。 元気な挨拶が飛び交う中で、 私はひとりズンと暗い顔をしていた。
もも
…あっ…、私? 私の名前は春野(はるの)もも、高三だよ。 通う学校は、和桜高等学校。偏差値が割と高い方ということには鼻が高い。
もも
そう暗く重く呟いた声は、 誰にも届かない。
下駄箱に貼られてあるクラス表を 見渡しながら、私はあることを思い出し、さらに気が重くなる。
もも
あそこまで大声を出したら当然だよなぁ、と思いつつも、恥ずかしい感情がどうしても勝ってしまい、 私はやや顔を伏せながら教室に向かう。
3年A組の教室を見つけ、私はドアを開ける。 とりあえず席に着き、一日の支度をする。
もも
そう思いながら私は、クラス中を見渡す。
もも
重い気持ちのまま、人間観察を続ける。 あの、美人で優しそうな子は…
モブ(女)
あおいちゃん、と言うみたいだ。 他のクラスからやってきた女の子たちが、あおいちゃんに話しかけに来ていた。 元気よく返事をする可愛らしいあおいちゃんに、私は目を奪われていた。
『STRAWBERRY CREAM』と言うのは、 和桜高の近くにある、いちごを主に使っているスイーツ屋さん。映えた見た目とその味の美味しさから、女子高生からは人気なんだ。
もも
と、ため息をついたとたん、私は誰かに話しかけられたような気がした。
あおい
ぱっと顔を上げると、そこにはあおいちゃんの姿が。
あおい
もも
あおいちゃんの可愛さに圧倒され、私は数秒声が出なかった。
もも
もも
そう思いながら、さっきまで重かったはずの私の心は嘘のようにパーッと明るくなった。
始業式の日の放課後。 共通の話題で意気投合した私とあおいちゃんは、さっそく仲良しになり一緒に帰ることになった。
もも
想像していた以上に彼女との相性はよく、 笑顔が絶えない私とあおいちゃんだった。
もも
あおい
あおいちゃんの家と私の家までの分かれ道。 また明日、と挨拶を交わす。
もも
そうしみじみ思いながら、私は笑顔で家へ向かった。
次の日も、その次の日も、そのまた次の日も。 “あおい”とはいつしか親友となり、毎日一緒に帰ることになった。
上を見上げると、 どこか白く霞んだ春の空。 前を見ると、いつもの帰り道。 隣を見たら、そこにはあおいがいる。
何気ない、楽しい日常を さらに彩ったのは、その翌日のこと。