彼が俺を溺愛する

幸次郎side

今日は颯を撮影スタジオに 招待した｡だが､俺の心は 荒れている｡

颯が思いの外､ 女子モデルにモテているのだ｡

見兼ねた俺はすかさず 助けに入る｡

自分でも驚くくらい 不機嫌な声が出る｡

俺は颯を楽屋に連れて行った｡

次の瞬間､俺は颯を 抱き締めようとしてやめた｡

コンコンコンー｡

小さく舌打ちをし､ 返事をした｡

〇〇は新人モデルらしく 初撮影でとても緊張している｡ そのせいか表情が固い｡

俺は〇〇の肩を抱き寄せて 自分の方に引き寄せる｡

パシャリー｡

長時間にわたる撮影が ようやく終わる。

新人の○○は次の撮影が あるらしく早々にスタジオを出た。

少しでも長くいるための 口実だ。

番号札を渡され､窓際の席に 座る｡

それかしばらく世間話をしつつ､ 颯をイジった｡

子供のような口ぶりの颯に 思わず笑う｡

そのあとは､2人で届いた商品を 頬張った｡

『一口食べる？』にドキッと してしまう｡

それっ間接キスだろと思いながら ガレットにかぶりつく｡

独り言をこぼす｡

早く戻らないと颯が心配すると 思い､頬を叩き平常心を装う｡

颯は俺の顔を覗き込む｡

心臓がドクンと脈を打つ｡

そこからの記憶はない｡

颯の言葉が俺の心を 抉る｡

『分かった』と返事をするのが やっとだった｡

『お前は恋愛対象外』と言われたような 気がしてー｡