主
主
俺と陽緋の出会いは、中1の春だった。
新しいクラスで、1番前の席に座ったのが陽緋。 彼は教室に入ってきた瞬間から、クラスの中心にいた。 周りにはすぐに人だかりができて、笑い声が絶えない。僕みたいに端っこでひっそりしているタイプとは正反対の、「陽キャ」の典型だった。
俺はといえば、席は窓際の一番後ろ。陽緋の席は窓際の1番前。 1番遠い席なのに、なぜか俺は陽緋から目が離せなかった。
僕が陽緋と初めて言葉を交わしたのは、意外にも図書室の隅っこだった。
放課後、いつも騒がしい陽緋が、 静かに分厚い哲学書を読んでいるのを見つけた。
悠灯
陽緋
陽緋
そう言って、彼は僕に本の面白さを熱心に語ってくれた。 その表情は、クラスで騒いでいる時とは違う、真剣な顔だった。 そのギャップに、僕は強く惹かれた。
それから、俺たちは少しずつ距離を縮めていった。 昼休み、陽緋が僕の席に来て、楽しそうに話しかけてくれる。
放課後、俺が陽緋の好きな本を探して図書室で待っていると、 彼は嬉しそうに駆け寄ってくる。
陽緋は僕に、たくさんの「初めて」をくれた。 初めて、誰かと二人で映画を観に行ったこと。 初めて、誰かと一緒に他愛もないことで笑い合ったこと。
ある日の帰り道、陽緋が俺に言った。
陽緋
その言葉は、俺の胸に鋭い痛みを突き刺した。
安心する相手。それは、恋人ではなく、友達。
俺は、自分が陽緋に恋していることを、 どうすることもできなかった。
中3の秋
先生
俺と陽緋に声がかかった。 どうやら、男子2人、女子2人で同居して、 自立するというプログラムらしい。
悠灯
陽緋
こんな話が俺らに舞い降りても、 受験生でも、 やっぱり陽緋はクラスの人気者だ。
でも、俺だけが知ってる。 陽緋の静かな1面。 図書室で、真剣な眼差しで本を読む横顔。 2人きりの帰り道で見せる、少し寂しそうな表情。
そんな陽緋のギャップに俺は恋してる。 俺は、この想いを胸に、これからも陽緋の隣にいたい。 親友として、陽緋の隣にいることが、 俺の幸せだから。
あぁ、高校生が楽しみだ!
主
悠灯
翠羽
悠灯
主
翠羽
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めっちゃいい!