past

目を覚ますと、 またホールの真ん中にいた。

樹奈は周りにも同じく倒れている職員を見て、すぐに携帯を開いた。

また戻ってきた───

全員が目を覚まし、また戻ってきた事を告げた。

咲が呼吸を切らしながら呟くと、 皆も同様に息を吐いたが

また大きな謎ができた。

山岸の問いかけに皆頷いた。

山岸が考えながら呟く。 とはいえ、今知っているのは… 主体のβ線とα線。

そして唯一…咲のみが知るγ線

それ以外にもあるのか…？

咲は一旦その場から離れ、 改めて和也に現状を報告した。

突然背後から、別の声がし振り向くと 山岸と見覚えのない女性が。

和也は目を見開いて

季世と名乗る女性は和也を見ては

和也は戸惑い気味に頷いた。

咲は季世に警戒の目を向けたまま、和也の方に近付いた。

山岸は軽く目を見開いた。 それをみた季世は咲に視線を向け

図星に動揺する咲。

もし、山岸の娘がα線に辿り着けなかったら…と考えて、言えるわけがなかった。

しかし、山岸は優しい声で

咲は軽く目を見開いたが、 少しその言葉に力が抜けた。

季世の能力で具像化した和也は 咲と共にホールに戻ると、 皆が驚いている。

分からなさそうに皆が顔を見合せている。

山岸の横で季世は姿を消しながら 一部始終を見ていた。

β線で何かしらの強い未練を残したり 或いはトラウマを残した魂が、 ずっとそこに存在してしまうからだ。

ただ、多少の悔い程度であれば、 皆それは共通しているので、 χ線に未練やトラウマの魂は 転送されない。

三浦の問いかけに和也が頷く。

和也は指を立てて

思い節が当たる、咲と中野と樹奈が顔を上げた。

呑気に笑っていた北島だったが、 和也は

北島は半信半疑だったが、 言われた通り目を閉じ、 暗闇に眠る時の様な感覚で 息を吐いた。

すると、北島の身体からスッと同じ北島が浮かび上がる。

安岡が驚きながら北島に駆け寄る。

周りが感心しながら驚いていると、 目を開いた北島が一番驚いていた。

長瀬は天井を見上げながら呟いた。

中野の言葉に頷いた。 いくらタイムスリップとはいえど、 各々の過去に戻るのは無理だと。

一同諦めていた。しかし、和也は大きく咳をついては、チラッと季世に視線を向け頷くと

よく分からず、一同固まった。

和也は静かに息を吐いて

山岸は小声でつぶやくと、 季世が静かに目蓋を閉じた。 タイムループの能力は 季世の能力でもある。

中野は大きな溜息を吐いた。

和也の言葉に皆は顔を見合せ頷いた。