先生
先生
先生
先生
卒業式が終わり教室に集まると
担任の先生の声だけが教室に響く.
先生
先生
先生
先生
転校?
成瀬くんが?
クラスが一気にざわつく.
先生の言葉に耳を疑った.
私はゆっくり
後ろを振り返る.
誰も座っていない席が
ポツーンと空いてる.
嘘……
開いていた窓から風が吹いて
髪の毛が揺れる.
フワッと新しい、
シャンプーの香りがした.
成瀬くんのために…
変えたのに.
いい匂いするって.
言ってくれたから.
また言ってほしくて.
味わったことのない
感情が溢れてくる.
お昼前に学校が終わり、
皆が帰っても
私は教室に残っていた.
なんで.
成瀬くん…。
何にも言わないで、転校なんて…。
カサッ…
ん?
机の中になんとなく手を置くと
何か入っていた.
越野 日和
ノートを切って折られた紙が
一枚入っていた.
何だろう…。
2枚に折られたその紙を開く.
!!!
越野 日和
そこには
見慣れた成瀬くんの字で
『越野さんが好きだ』
そう書かれていた.
何なのこれ…。
嘘だ…。
だってあんなにイタズラばっかり.
あんなに嫌がらせばっかり.
越野 日和
見慣れた成瀬くんの文字に
私の涙がポツポツ落ちて
文字が少し滲む.
授業中の小声の会話.
いつも繰り広げられる
私へのイタズラ.
今になると全部愛おしくて.
だけど、私、成瀬くんのこと
何にも知らなくて.
越野 日和
教室で一人、
私は泣きながらそう声に出す.
本当…最後まで
自分勝手なんだから…。
成瀬くんが転校して、1か月.
私の後ろの席は
まだぽっかり空いている.
「ねぇ、越野さん」なんて
また話しかけられそうな気がして.
背中に感じる違和感も
髪の毛にかかる手も
今思えば心地よくて.
あれを ” ラブレター ” なんて
言っていいのかわからないけど.
私にとって生まれて初めての
好きな人からの
手紙だったことは確かで.
君のいない教室に
まだまだ慣れていないけど.
いつか君に会えたとき
「シャンプー変えたの.」
「君のために」
って
言えたらいいな.
完結です!!🙌 読んでくれて📖 ありがとです!!😊 ぜひ他のも 見てみてください!!🥀
コメント
4件
いい話だー!✨
あぁいい話✨
感動しました!