そらるside
それから、 俺達は他愛のない話をした。
日が完全に沈むまで。
まあ、ほとんど俺が 話してたんだけど。
俺の友人、天月の話。
父さんのこと。
勉学、武術のこと。
……本当は、 普通の人間の暮らしがしたいこと。
なにも言葉が 浮かばなくなるまで、 話した。
そんな、まとまりのない上に 長い俺の話を、 この忍びは真剣に聞いてくれた。
それが、とても嬉しかった。
まふまふ
そらる
まふまふ
忍びは、天井に飛びついて、 屋根裏に消える。
そらる
まふまふ
まふまふ
忍びは、屋根裏の板の穴から ひょっこり顔を出す。
……可愛い。
…………あれ? 今、俺………
まふまふ
そらる
そらる
そらる
まふまふ
忍びは一瞬、 きょとんとしたように、 目を丸くした。
口元が隠れてるのに、 表情がわかりやすいな。
まふまふ
まふまふ
そらる
まふまふ
忍び、まふまふは、 嬉しそうに笑った。
そらる
まふまふ
そらる
まふまふ
心臓が、早くなる。
そらる
そらる
まふまふ
まふまふ
まふまふは、ふわっと笑った。
なんだか、 そのまま消えてしまいそうで、 帰って欲しくなかった。
言えないけど。
まふまふ
そらる
まふまふは、 屋根裏に吸い込まれるように 消えてゆき、天井の板が元に戻る。
まるで、何も無かったみたいに。
……会いたい。
………何言ってんだ俺… 今別れたばかりなのに。
こんなのまるで、 恋する乙女じゃんか……
ん?
恋?
俺、まさか……
そらる
自分で口に出して、 恥ずかしくなる。
お、俺……… まふまふを……
好きになったのか……?!
ど、どうしたらいいんだ……?
俺は、頭を抱えた。
今日の夜は、 なかなか寝付けなかった。
まるで、初めてまふまふと 出会った時みたいに。
まふまふside
城を抜け出し、 自分の城に帰り始めた。
すごく、楽しかったなぁ……
そらるさんのこと、 いっぱい知れて、嬉しかった。
……会いたいなぁ。
って、何言ってんだろ……
今、別れたばっかりなのに。
はぁー、一人で浮かれちゃって 恥ずかしいよ!
火照る頬を手で仰ぐ。
僕ってやっぱり、 そらるさんが好きなんだな………
次に会えるのは、 満月の夜なんだよね……?
満月………
そういえば…
僕は夜空を見上げ、月を探す。
まふまふ
そらるさんに、 満月の夜にまた来て って言われた時、
もしかして、って、思ったんだ。
満月の日は……
その日が思い当たった瞬間、 体の芯が冷えた気がした。
まふまふ
僕が手に入れて、 ご主人様に流した情報。
この日が、 北の大名の城が潰される日。
つまり、そらるさんの城が、 潰される日だ。
僕が、そらるさんを、潰す日なんだ。
自分の顔が歪むのを感じる。
まふまふ
まふまふ
そらるさんを 傷つける原因にだけは、 なりたく無かったのに。
なんで……言ってしまったんだろう。
なんで、 情報を与えてしまったんだろう。
目の前の景色が、 歪んで、滲んでいく。
まふまふ
僕の目から、涙が出てくる。
まふまふ
まふまふ
まふまふ
まふまふ
僕は、その場にうずくまる。
しばらく動けずに、泣き続けた。
ノンカフェイン
ノンカフェイン
ノンカフェイン
ノンカフェイン
ノンカフェイン
ノンカフェイン
ノンカフェイン
ノンカフェイン
ノンカフェイン
ノンカフェイン
ノンカフェイン
ノンカフェイン
コメント
10件
久しぶり~!てか、めちゃくちゃ乗り遅れた~!今回もいつも通り面白かった!
菜月さん ありがとうございます〜!
久しぶりですね〜!やっぱり面白い!