まふまふが 北の大名の城に向かってから、 __約2時間後__
天月side
目が、覚めた。
倉庫の扉から外を覗くと、 もう昼のようだった。
96ちゃんは、 どこに行ったんだろう。
辺りを見渡すけど、見つからない。
ふと、倉庫の奥にある 砥石と短刀が目に入った。
天月ーあまつきー
昨日の、忍びを思い出した。
白い髪に、赤い目。
自分の目の前に突き立てられた 短刀を想像して、身震いする。
天月ーあまつきー
一瞬で後ろに回り込まれたのは、 あれが初めてだった。
自分の手を見つめる。
俺はまだ、強くないんだ。
そらるさんの横で戦うなんて、 まだ無理なんだ。
もっと、もっと強くなって、 そらるさんを守るんだ。
………あの忍びに、 稽古をつけて貰えないだろうか。
そうすれば……そらるさんはきっと、
ずっと俺の傍で笑ってくれる。
ずっと、ずっと……
もう、俺もそらるさんも、 ひとりぼっちには、 なりたくないから。
俺は、北の城での生活を思い出す。
__子供の頃の思い出__
天月side
絶対に忘れられない顔。
多分、お母さんなんだろうな。
泣いてる。
お母さん
お母さん
何で?
なんで謝るの?
なんで泣いてるの?
なんで……
周りに刀を持ってる人が いっぱいいるの?
刀を持ってる人の内の一人が、 俺の腕を掴む。
天月ーあまつきー
天月ーあまつきー
天月ーあまつきー
どれだけもがいても、 大きな大人はびくともしない。
そのまま、籠の中に押し込まれる。
天月ーあまつきー
天月ーあまつきー
なんで、こんな目に 遭わなきゃいけないの?
一人の大人が近づいてくる。
天月ーあまつきー
大人は無言で、 木の棒を振り上げる。
天月ーあまつきー
首筋に衝撃が走って、
目の前が消えた。
天月side
目が、覚めた。
目の前に、 見たこともないほど大きな天井が 広がっている。
俺は、ゆっくり体を起こす。
天月ーあまつきー
辺りを見渡すと、 畳の部屋がずっと続いていた。
天月ーあまつきー
ここは、きっと城だ。
こんなに広い建物、 城以外にありえない。
天月ーあまつきー
天月ーあまつきー
お母さんに、売られたんだ…
頭を強く打たれたような衝撃が 胸の中に渦巻く。
天月ーあまつきー
勝手に、涙があふれる。
俺は、これから ひとりぼっちなんだ……
絶望に押しつぶされそうになる。
天月ーあまつきー
それから俺は、 武士としてこの城で働いた。
それからしばらく経って……
大名
天月ーあまつきー
大名
大名
天月ーあまつきー
大名
天月ーあまつきー
そう言えば、大名様って、 息子を跡取りとしか見てないって……
それじゃぁ、寂しいだろうに。
俺は、母親の顔を思い出す。
自分も、辛い思いをしたから。
俺が、寂しさを 取り除いてあげたい。
大名
天月ーあまつきー
そう返事をして、 俺はすぐに武道場に向かった。
大名様の息子って、 どんな人なんだろう。
俺より二つか三つ 年上ってことしか、知らない。
ちょっとわくわくするなぁ…
武道場の扉の前に立つ。
深呼吸をして、 扉を勢いよく開けた。
天月ーあまつきー
天月ーあまつきー
中にいた黒髪の青年が、振り向く。
そらる
び、美人な人だ……
天月ーあまつきー
ふわりと微笑んだその人は、 俺に向かって手を伸ばす。
そらる
そらる
天月ーあまつきー
俺は、その手を弱々しく 握り返すしかなかった。
これが、 ひとりぼっちの俺と ひとりぼっちのそらるさんの 出会いだった。
まふまふside
やっと、自分の城に帰ってきた。
目の周りが痛くて、びしょ濡れだ。
どうやって帰ってきたのかも、 覚えてない。
すごく、すごく長い時間をかけて、
落ち着いてから、 帰ったんだろうな。
僕は夜目が効くから、 暗いところも平気だけど、
普通なら、 もう帰って来れないような時間だ。
まふまふ
96ちゃんに、天月を…じゃなくて、そらるさんのお友達だから、 呼び捨てはダメだ……
敵だから、 つい呼び捨てにしてしまう。
天月…くんを、 逃がすなって言ったんだっけ。
まふまふ
まふまふ
僕は、武器倉庫に向かった。
まふまふside
僕は、武器倉庫の戸の前に立つ。
まふまふ
まふまふ
戸が少し開いて、 申し訳無さそうな視線が覗く。
天月ーあまつきー
それは、好都合。
まふまふ
まふまふ
天月くんは、 恐る恐る戸を全開にする。
天月ーあまつきー
僕はなるべく、 優しそうに見えるように 意識して口角を上げる。
一度、短刀で脅しちゃったからね。
ゆっくりと、武器倉庫の中に入る。
天月ーあまつきー
まふまふ
まふまふ
天月くんは、不思議そうに 目を瞬かせた。
ノンカフェイン
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コメント
12件
姉:(*・v・*)∵∵は、始めまて・・・!! 1話からみてます! 面白いです!最高です(´;ω;`) これからも、応援してます! ( o≧д≦)oファイトー!!
久しぶり!やっぱり文才は健在だった。 この小説のタイトルを見た瞬間めっちゃ興奮したあ...(きしょ
すごい…すごい。(語彙力)