芝音の仮眠室

現在、撮影を始めると言ってから30分が経った。

10周年というのに、

節目だと言うのに、

主役だと言うのに、

黄色の彼は未だに顔を出さない。

寝てんのかゴラって凸ってやろうか…

＼ｶﾞｻｯ／

＼ｶﾞﾁｬｯ／

ドアを開けて顔をあげれば、顔に絵の具を付けた驚いているしにがみ

天井に付けるはずだったであろうひも状の飾りが何故か体に巻きついてしまっているクロノア

もう諦めたように近づいてくる何も汚れていないトラゾー。

今わかった、入っちゃダメだったやつじゃね…？

クロノアが大声で叫べば、ﾊ-ｲ！という声と共にﾄﾞﾀﾊﾞﾀと複数人の足音。

ドア付近まで来てﾊﾞﾀﾝｯ！という音がして急に静かになった

ドアを恐る恐る開ければ

なるほど、転んだのか。

ドアの前にはドミノのように潰れているらっだぁ、緑色、レウクラウド。

何故かそれに伸し掛る金豚きょー。

楽しそうに光景を見つつ一向に助けようとはしないコンタミ。

＼ｶﾞﾁｬﾝｯ！／

＼ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀ…／

＜おい！ﾌﾞﾙｯｸ！起きろ！起きろぉ！

＼ｶﾞﾁｬﾝｯ／

＼＼スタート！！！／／

＼ｷﾞｬ-ｷﾞｬ-！ｶﾞﾔｶﾞﾔ／

一通り感謝を、祝いを受けたあと、みんなが楽しそうにするのを少し離れてﾎﾞ-ｯと眺める。

好きだなぁ、この光景。ずっと続けばいいのに。

何時だってお前らはそうやって俺に笑いかけるんだ。

俺は今、この瞬間心に誓う。

この時間を終わらせないと。

昔のものにしないと。

そして訂正を入れる。

好きじゃない、大好きだ。

この瞬間を続けさせる。

終わることの無い宴を、ずっと続けるんだ。

この4人でまた、同じ歩幅で、同じ笑顔で、同じ場所で、同じ時間で──

笑い続けような