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第12話 - 尚と響

2022年11月15日

#ホラー

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猫の倍返し

響

いったたたた…

響

爪剥がすのってかなり大変なのか……

響

痛い痛い！！

響

ふーふー…

響

（な…泣いちゃダメだ。）

響

（なんで私がこんな事しなきゃ行けないの？）

響

（そもそも…なんで私…尚を黙らせる為にそれ以上の事しなきゃいけないの？）

響

（…私…お母さん殺しちゃったんだな）

響

（あんな事しなきゃ私、もっとお母さんに甘えられたよね…？）

響

（あの時の小言は私を成長させる為のものなのに）

響

（なんてことしちゃったんだろう）

響

（私最低じゃん）

ドンドンドンドンドン

響

グスッ…

響

？？尚？

尚

響…爪剥がしてるの？

響

な…なんで？

響

……なにそれ…ハンマー

尚

ああ、これ？

尚

私も手伝ってあげようかなって思ってさ

響

…は？

尚

いやだから

尚

痛みを伴いながら剥がすのは辛いだろうから私が気絶させて剥がしてあげるって言ってるの

響

…何言ってるの…？

尚

まぁアンタは動かない様にしてればいいよって話

尚

動いて打ち所の悪い所を打てば死ぬ可能性だってあるんだから

響

やめてよ…。

響

何でそんな事…

尚

お母さんを消すように頼んだんでしょ？

尚

あの小瓶に入ってた赤い液体

尚

血なんでしょ？

尚

スレの履歴見たよ

響

何で勝手に見てんの！！！

尚

でもそれとこれとは別だよね？

尚

母親を仮に他人に頼んでいたとしても

尚

殺しちゃいけないのは100も承知の上なら分かる

尚

…怒りに任せてネットに呟くのもいい。

響

…？

尚

でも…たった1人の母親を誰かに頼んで殺すなんて事をして

尚

罪の意識もなく、自分はやっていないと現実から目を背けるなんて

尚

していいとでも思ってんの？

尚

ネットで呟いてストレス発散するのとは違うんだよ

尚

本当に殺せちゃうんだよ

尚

目を逸らしていい問題じゃないよね？

尚

そんな人間が楽していいはずも無ければ

尚

他人だってなってるんだから、自分だってやってもいいって

尚

考えていいハズないよね？

響

…なに？説教？

尚

説教する為に来たんじゃないの

響

じゃあなんなの？？

響

仇討ちでもしようって事？！

響

それなら今言ってた話矛盾するでしょ！

尚

仇討ちなんてどうでもいいよ

響

……は？？

尚

貴女はスレを立てた

尚

私を黙らせるために

響

だから…？

尚

気になるじゃない

尚

どんな目にあって…どうなるのか。

響

…頭おかしいんじゃないの？

尚

だから手伝ってあげるって言ってるの

尚

運が悪けりゃ死ぬし

尚

運が良けりゃ軽傷で済む

尚

大丈夫…姉ちゃんに任せて

ダダダｯ

尚

あ。

響

（何考えてんのあいつ！？）

響

（とにかく逃げて警察に…）

ドスッ

響

いっ…

尚

逃げないでよ

尚

まるで私が悪いみたいじゃん

響

（背中が…）

響

こんな事やめてよ！

尚

なんで？
響が始めたんじゃん

響

何でこんな事すんのよ！
死ぬかも知んないでしょ！！

尚

知らないよ〜

尚

スレを立てたのは好奇心からか怒りからかは知らないけど

尚

私がこんな事するのは

尚

ただの好奇心だし

尚

響がした事と変わんないでしょ？

響

ヒィッ！

ツルッ

響

（しまった！後ろには段差が！？！）

響

（そうだ…ここ2階じゃん）

響

（やば…）

響

（死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ）

響

（やだ！！！）

響

（まだ…死にた）

尚

ひびっ…

ゴロゴロッ…

響

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

響

（手摺りに…）

響

（やばっ角にぶつかる!!!!!）

ゴッ

尚

……え？

尚

響？

尚

大丈夫…じゃないよね？

尚

響ッ！！！

尚

どうしよう…救急車…！！

A.M.0時21分

尚

？！

尚

ね…寝てた？

尚

…変な時間に起きちゃったな

尚

そうだ…課題まだやってなかった

尚

（下から取ってくるか）

尚

やっば…電気つけっぱじゃん

尚

勿体な…

尚

（……響のカバン何処やったっけ）

尚

（…………。）

尚

…あんな事しなければ……

管理官･久岡正嗣

ほら、買ってきたぞ

管理官･久岡正嗣

で？名前は？

クロダ

…取り敢えずクロダって呼んでよ

管理官･久岡正嗣

あぁ？

管理官･久岡正嗣

（取り敢えずって偽名か？）

クロダ

はよよこせ

管理官･久岡正嗣

ん…おお

クロダ

いやー久々の糖だぁ

クロダ

……んめぇ〜！

管理官･久岡正嗣

…てかお前どっから来たんだよ

クロダ

ん？佐倉島刑務所ぉ

管理官･久岡正嗣

何しに？面会か？

クロダ

んん…

管理官･久岡正嗣

あやふやだなお前

クロダ

ウトウトしてきた

管理官･久岡正嗣

自由だなお前

クロダ

君…えーっと誰だっけ？

管理官･久岡正嗣

？久岡だ

クロダ

ひさっちの家何処？

クロダ

眠い

管理官･久岡正嗣

ひさっち言うな

管理官･久岡正嗣

本当に自由だなお前

管理官･久岡正嗣

（まぁもう12時過ぎてんもんな）

管理官･久岡正嗣

仕方ねぇな

クロダ

ふぁ…

助手･宇田をさむ

？
GPSの反応が止まりました

探偵･椛屋一颯

という事は…何処かの建物にまた入ったのか

助手･宇田をさむ

2回目ですね

探偵･椛屋一颯

さっきは3分位で出てきたが

探偵･椛屋一颯

あれは多分コンビニだね

助手･宇田をさむ

でしょうかね

探偵･椛屋一颯

犯人になにか要求され、買いに行かされたという事か

探偵･椛屋一颯

くそっこんな事なら盗聴器も数台用意しとくんだった

助手･宇田をさむ

（この人いつか何らかの犯罪起こして逮捕されんな…。）

助手･宇田をさむ

てかさっきからずっと気になってたんですけど

助手･宇田をさむ

犯人の名前とか年齢は知らないんですか？

探偵･椛屋一颯

いやぁ…捕まった時の年齢がまだ未成年だったからね

探偵･椛屋一颯

確か5年前に捕まってたから今の年齢は20歳〜25歳の間だろうな

助手･宇田をさむ

5年前って…

探偵･椛屋一颯

いやいや…まっさか

探偵･椛屋一颯

んな偶然あるわけないじゃないか

助手･宇田をさむ

はぁ……。

探偵･椛屋一颯

とにかく発信機の止まった建物の場所まで行こうよ

助手･宇田をさむ

そう…ですね

クロダ

うわ凄い普通

管理官･久岡正嗣

普通言うな

管理官･久岡正嗣

あと声のボリューム下げろ

管理官･久岡正嗣

深夜帯に騒いだら隣人に怒られんだろ

クロダ

はいはい

管理官･久岡正嗣

はぁ…なんか飲むか？

クロダ

お水

管理官･久岡正嗣

分かった

クロダ

……ねぇねぇ

管理官･久岡正嗣

あ？

クロダ

銃を持った知らない男を部屋に入れる位油断してる今なら

クロダ

僕は君を殺せるんだよ。

クロダ

なんで警戒しないの？

管理官･久岡正嗣

そりゃあその中は模造品の銃だから

管理官･久岡正嗣

そこまで厳重に警戒する必要もねぇよ

クロダ

うおぉあたりぃ

管理官･久岡正嗣

なんの悪ふざけかは知らんが今日泊まってったら帰れよ

クロダ

……。

管理官･久岡正嗣

（そこは返事しろよ）

A.M.2時4分

ん…なんか重いな

？？

何かが…誰かが上に乗っかってるのか？

管理官･久岡正嗣

んぅ…

クロダ

お

管理官･久岡正嗣

何してんだよ

管理官･久岡正嗣

馬乗りになりやがって

クロダ

……んふふん

管理官･久岡正嗣

？何だぁ？
夜這いか？

クロダ

たわけ

クロダ

首を絞めていい？

管理官･久岡正嗣

は？

クロダ

ぎゅううって絞めていい？

管理官･久岡正嗣

お前っ…！？

クロダ

ぎゅううう〜

管理官･久岡正嗣

くっそ……

クロダ

必死だねぇ可愛いねぇひさっちぃ

管理官･久岡正嗣

放っ…せ

管理官･久岡正嗣

（こいつ…力クソ強ぇじゃねぇか？！）

管理官･久岡正嗣

（まずいぞ…このままじゃ）

管理官･久岡正嗣

（……落ちる…）

管理官･久岡正嗣

んあっ！！！

クロダ

うぉっと

クロダ

危ないじゃないか

管理官･久岡正嗣

フーフー…

クロダ

急に転がすなんて酷いじゃないか

管理官･久岡正嗣

このやろ

管理官･久岡正嗣

（ふらつく…？！）

クロダ

あらら…

管理官･久岡正嗣

…？！

クロダ

大丈夫
ただの筋弛緩剤だから

管理官･久岡正嗣

な…んだそれ

クロダ

知らないんですか？
神経や細胞膜等に作用する薬です。

クロダ

要するに筋肉の動きを弱める薬

クロダ

麻痺させているんですよ

クロダ

少し前に呑ませました

管理官･久岡正嗣

…んだと？

クロダ

本来は寝てる人間にものを呑ませれば

クロダ

喉に詰まって窒息するので危険なんですけどね

管理官･久岡正嗣

っ……。

クロダ

あ、もう立ち上がれませんか？

クロダ

本当は睡眠薬でレム睡眠の状態でって思ったんだけどね？

クロダ

ごめんね？

管理官･久岡正嗣

うるせ……

バダッ…

クロダ

あー…どうしよ

クロダ

効いてきたのかな？

クロダ

まぁいいや
ベッドで寝ようっと

クロダ

よいしょっ…と

ギシギシッ

クロダ

ふぅ〜じゃあお休み

クロダ

ひさっち

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