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第10話『名前のない朝と、ふたりの家』
目が覚めたとき、らんはしばらく天井を見上げていた。
真っ白な天井じゃない。
病院の蛍光灯もない。
淡いベージュの壁紙に、どこか落ち着く木の香り。
カーテン越しの光がやさしく、頬に差し込んでいた。
――ここは、いるまの家だ。
昨日のことが、少しずつ頭に浮かぶ。
退院して、仲間に会って、車に乗って――それから、「しばらくうちにいろ」と言われて。
らん
布団の中で小さく息をつくと、どこかから湯気の音が聞こえた。
ケトルの沸騰する音。
何かを焼いている匂い。
ゆっくり起き上がり、リビングの扉をそっと開ける。
らん
キッチンに立ついるまが、少し振り向いて片手を上げた。
いるま
いるま
いるま
らん
いるま
そう言いながら、トースターからパンを取り出して皿に置く。
いるま
いるま
らん
らん
食卓に並べられたのは、トーストと目玉焼き、それからコーヒー。
シンプルだけど、あたたかい朝ごはん。
らん
いるま
いるま
ふたりはそのような会話をしながらそれを食べる。
テレビもつけていない静かな朝。
でも、居心地が悪いわけじゃなかった。
らん
いるま
いるま
いるま
らん
“ちょっと前まで”――
その言葉に、一瞬だけ胸がちくりと痛んだ。
けれど、いるまはすぐに話題を変えるように続けた。
いるま
いるま
らん
いるま
いるま
いるま
らん
らん
らん
言葉にした瞬間、自分でも驚くほど自然に微笑んでいた。
この家には、記憶より先に、“心が覚えてる何か”が残っていた。
朝食を終え、食器を片づけると、いるまがぽつりとつぶやく。
いるま
いるま
らん
らん
いるまは少しだけ視線を逸らして、口元をゆがめる。
いるま
らん
いるま
いるま
らん
ふたりで並んで廊下を歩く。
まだ少しだけ、距離がある。
でも、並んで歩くのはきっと、久しぶりじゃなかったはずだ。
扉を開けると、そこには“らんの部屋”があった。
飾られていたヘッドフォン。
机の上のマイク。
ベッド脇に無造作に積まれた本や小物。
どれも、自分のもののような、そうでないような。
けれど――
らん
いるま
ふたりの視線が、ふっと重なる。
そのとき、スマホに通知が届いた。
差出人は「こさめ」だった。
らん
いるま
いるま
少しだけ考えたあと、らんは静かに頷いた。
らん
らん
夜になって、らんは部屋にこもり、そっとマイクの前に座った。
録音ソフトを開き、手が震えるのを抑えながら、静かに「REC」を押す。
息を吸って、目を閉じて。
らん
その声は、まだ少しぎこちない。
けれど、確かにそこに“LAN”がいた。
外の世界と、自分自身に向けて。
その声は、また始まりを告げようとしていた。
そしてその背後――扉の外には、イヤホンを片耳だけつけたいるまが、そっと立っていた。
目を閉じて、ただ、らんの声を聴いていた。
静かな一歩。
ふたりの家で始まった、名前のない再出発の朝だった。
第10話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡110
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コメント
3件
ここまで一気読みさせてもらったのですがホントのホントに感動しちゃって、読みながら涙出てきちゃって、すごいですね!こういうの読んでて涙腺やられるのはあまりなくて、なので本当にすごいなと思いました!続き待ってます!(長文失礼しました。)