マリア
はいはい、皆んな急いで積み込んでね♡

マリアは手でパンパンと音を鳴らせながら、
食料や燃料やその他の荷物を
積み込んでいる人物達をはやし立てている。
西野 紗彩
部長も手伝ってください。

マリア
え〜、私ナイフとフォークより重い物持てない乙女よ♡

凛咲 殺華
冗談は顔だけにして欲しいものだね。

蜩 聖葵
どう見てもこのメンツでは田中部長が1番力持ちかと。

綿葉 雲愛
寝言は寝てから言うものですよ〜、オスゴリさん〜。

マリア
あんたら戦場に行く前に棺桶に入りたいの?

先程までの高めの声とは全く違う
ドスの効いた声を発しながら睨んでいる。
睨まれた人物達はその声が全く聞こえていない
フリをしながら作業に戻る。
綿葉 雲愛
はぁ〜、連戦めんどくさい〜。

西野 紗彩
まぁ仕方ないですよ、その分きっちり特別手当をもらいましょう。

マリア
そうそう、残業休日出勤を癒してくれるのはお手当だけよ♡

凛咲 殺華
喋ってないで本当に手伝ってほいいんだけどね。

マリア
はいはい、わかりました。
よっこいしょ…。

マリアはめんどくさそうにしているが
50ℓの水の入った2つを軽々と持ち上げる。
西野 紗彩
あれ、2つとも満タンに入ってますよね…?

綿葉 雲愛
うん、私が入れたよ〜。

蜩 聖葵
1つ50Kgはあるんだがな…。

凛咲 殺華
ゴリラめ…。

マリア
ほらほら、あんたらもサボってないで早くしてよね。

マリア
ふ〜、後は武器やら取りに行った面々が戻って積み込めば出発ね。

蜩 聖葵
そうですね。

マリア
しかし、今回食料は生の食材が多いわね?

西野 紗彩
そうですね、いつもはレトルトなんかですが…。

綿葉 雲愛
あ、私と凛咲課長が持ってきました〜。

マリア
あんたら料理できたの?

綿葉 雲愛
いえいえ、私は作らないですよ〜。

マリア
ん?じゃあ誰が…あら?
ねぇ、この大きなズタ袋も持ってくの?

綿葉 雲愛
あ、そうですそうです〜。
重たいんで、持ってもらえますか〜?

マリア
仕方ないわね…。

凛咲 殺華
あ…バカ…。

マリア
よいっしょ。

袋の縛ってある部分を掴み
掛け声と共にマリアは袋を担ぎ上げる。
担ぎ上げた衝撃で反応したのか
袋から明らかに人の声が聞こえた。
マリア
ひ!?

「ごはっ!!」
地面に落下した袋から再び声が聞こえた。
マリア
…。

綿葉 雲愛
あ〜あ…。

西野 紗彩
な、何ですかこれ…。

蜩 聖葵
明らかに人の声が…。

マリアは無言のまま袋を縛ってある
紐を解いて中身を確認する。
マリア
…凛咲。
ちょっとこっち来なさい。

凛咲 殺華
あー、まぁあれだ荷物だ。

マリア
どこがよ!!
中身、社食のおっちゃんじゃない!!

凛咲 殺華
うるさい!
食料事情は士気に関わるから協力してもらっただけだ!

蜩 聖葵
お、お疲れ様です…。

社食のおじさん
いてて…。
ここはどこだ…?

西野 紗彩
えーっと…。
本社前の駐車場です…。

社食のおじさん
俺は確か食堂で司令課の課長さんと話してて…。
ダメだ、そこから思い出せん…。

凛咲 殺華
おじさんは、僕達の見送りに来てくださったんですよ。

社食のおじさん
ん?そうだったか…?

綿葉 雲愛
そうですそうです〜。

社食のおじさん
そうか、ならそうなんだろな。
んじゃ、俺はそろそろ戻るわ。

マリア
あ、はい…。
わざわざ、ありがとうございます…。

社食のおじさん
いてて…。
どっかでぶつけたかな…?

肩の辺りを摩りながら
食堂のおじさんは社内へ戻っていった。
綿葉 雲愛
あぁ〜…。
美味しいご飯が〜…。

マリア
どういうことか説明してもらえるかしら…?

凛咲 殺華
何簡単なことだよ。

凛咲 殺華
レトルトや携行食に飽きてきたから、出来立ての美味しいご飯を作ってもらおうと協力を仰いだまでさ。

マリア
それで?

凛咲 殺華
一応、洗脳して快くついてきて貰おうとしてたんだが。
道中洗脳が解けてもめんどくさいから、とりあえず拘束しておいた。

綿葉 雲愛
縛るのは私がやりました〜。

マリア
ま、まぁ向こうも覚えてないみたいだし…。
問題なしってことにしましょうか…。

蜩 聖葵
(いいのかそれで…。)

西野 紗彩
(問題大有りでは…。)

瑠衣代 ルン
お待たせなのネ〜。

燕 真琴
さっき、入り口で食堂のおっちゃんとすれ違ったんっすけど、何かあったんっすか?

水無月 迅
肩を痛めたようだったが?

伏黒 竜久
…打身みたい。

マリア
何でもないわ…。
強いて言えば私の精神がすり減っただけよ…。
