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美月

キツネツキ?

護法童子

別名、犬神憑きとも言います

護法童子

これは古くから知られており

護法童子

例えばこんな話があります

昔、あるお侍さんが、村人を連れて野原を散歩していた

すると

草むらに狐が寝ているのを見かけた

お侍は、村人に命じてこれを鉄砲で撃った

美月

え、かわいそう

護法童子

まあ、狐は畑を荒らしたりするので、害獣と見なされることがあるのです

美月

そうなんだ……

するとその狐はその村人に憑りつき

憑りつかれた村人は意味不明な言葉をはき、暴れまわった

驚いた親族がお坊さんに頼んで加持祈祷をしたけれど、効果はなかった

そこへ……

道士

ふむ これはいかん

道士

私が霊力で 狐の霊を追い払って進ぜよう

道士

祓いたまえ 清めたまえ ……

すると、お侍さんが帰ってきて、その様子を見ると笑いだした

美月

なんで!?

その道士も狐だよ

そう言って侍は道士を銃で撃った

美月

いきなり!?

すると道士は歳とった狐に変った

これは、本来お侍さんに憑りつこうとしたのだが

彼が強すぎたので村人に憑りついたのだろう、と人々は噂した

護法童子

さて この昔話には2つのタイプの狐が出てきます

護法童子

ひとつは人間に化けるタイプの狐

護法童子

もうひとつが人に憑りつくタイプの狐です

護法童子

この、人に憑りつくタイプの狐が狐憑きです

護法童子

人が奇矯なふるまいをするとき

護法童子

かつては狐や犬の霊が憑りついたと考えられていたのです

美月

なるほど

護法童子

しかし、その多くは

護法童子

科学的な知識が十分でない時代に

護法童子

精神的な病などを見て、霊の仕業だと考えられたのだとされています

護法童子

今回の事件の背後にはこの狐憑き状態になった人がいると思います

美月

じゃあ

美月

怪異とは関係ないってこと?

護法童子

いいえ そうとは限りません

護法童子

現代では、普通の精神的な病などならとっくに発見されていると思います

護法童子

その人がなぜ狐憑き状態になったのか

護法童子

そしてなぜそのまま放置されているのか

護法童子

そこにまだ何か秘密があると思います

護法童子

その秘密が分らないと何とも言えませんが

護法童子

普通の事件ではない可能性が高いでしょう

美月

精神の病とかじゃないとしたら

美月

狐憑きはどうやって起こるの?

護法童子

いろいろな場合がありますね

護法童子

例えば

護法童子

コックリさんをやっていて、憑りつかれてしまったとか

護法童子

あるいは狐使いが管狐と呼ばれる式神を使って起こす、ともされていますね

美月

クダキツネ……

護法童子

今回の事件も、背後に何らかの意味での「狐使い」がいる可能性があります

護法童子

その狐使いが何者なのかを明らかにすれば

護法童子

これが霊的な事件なのか

護法童子

それとも何かトリックを使っているのか

護法童子

はっきりするでしょう

美月

護法が霊感的なもので特定する、とかはできないの?

護法童子

すいません

護法童子

わたしはAIなので、霊感はないのです

美月

そりゃそうか

美月

じゃあ次は狐憑きの調査ね!

美月

 ……って、どうやればいいの?

優花

(なにも考えてなかったんだ……)

護法童子

そうですね

護法童子

まずは狐憑き状態になった人の特定が必要です

美月

じゃあ

美月

まずその人を見つけなきゃだね!

護法童子

今までの情報で場所がはっきりしているのは

護法童子

美月さんたちのお友達のお姉さんの友人が見かけた公園くらいですね

美月

あそこか~

護法童子

それも時間帯は夜、でしょう

護法童子

昼間なら目撃情報がもっとあるはずですから

美月

じゃあ

美月

あの公園を中心に、夜見張っていればいいわけね!

優花

でもでも

優花

夜だと家を出られなくない?

美月

簡単よ

美月

優花が私の家に泊まりに来ればいいの

美月

うちは親が夜も働いていていないことが多いから

美月

夜出ても問題ないよ!

優花

ええ~!

美月

じゃ、決まりだね

美月たちが調査を開始するずっと前――

私の名前は津田未来

パッとしない女子高生だ

よく暗いって言われる

でも別にクラスでいじめられたりしているわけではない

みんながいい人だから

……というわけでなく

みんな私に関心がないだけだ

無視されているわけでもない

誰かを意図的に無視しようとすると

心の中ではその人を強く意識することになる

私の場合そうではなく

本当にみんなただ関心がないだけ

でも別にそれでいい、それが私なんだから

と思っていた

そんなある日……

津田未来

私は学校の帰り道

津田未来

不思議なおじいさんから「ウィジャボード」というものを買った

津田未来

西洋のコックリさんをするときに使うものらしい

津田未来

そういえば学校でオカルト的なものが流行っていたな

津田未来

これを持っていけば、私もみんなから話しかけられるかな

津田未来

……なんて、そんなわけないよね

でもその翌日

学校のカバンの中に、なんとなくウィジャボードを忍ばせておいた

もちろん人に見せるつもりはなかったけど

休み時間、お弁当を出そうと鞄を開けたとき……

クラスメートA

津田さん なにそれ? 面白そう!

私はちょっと迷ったけれど、せっかくなので取り出して見せることにした

津田未来

これ、ウィジャボードといって

津田未来

外国版のこっくりさんに使うものなんだって

津田未来

……おじいちゃんが

津田未来

外国に行ったときなんか気に入って買って来たんだって

なぜか私は嘘をついてしまった

そんなつもりはなかったのに、なぜだろう?

クラスメートB

わっ、すごい

クラスメートA

見せて見せて

津田未来

……いいよ

クラスメートA

わあっ

クラスメートB

ね これ使えるの?

津田未来

使えると思う……

津田未来

やってみる?

クラスメートA

いいの?

クラスメートB

やってみたい!

そういうわけで放課後、私達はウィジャボードを実際使ってみることにした

私がこんなにみんなの注目を浴びるなんて、初めてのことでどきどきした

津田未来

じゃあ、私がやってみるね

……と言っても、何から質問すればいいのかよくわからない

まあ普通でいいか

津田未来

コックリさん、コックリさん

津田未来

おいでください

すると、みんなが指をのせたプランシェットがひとりでに……

クラスメートA

……すごい! うごいたよ

クラスメートB

Yesにいった!

クラスメートA

誰か動かしてないよね?

クラスメートB

こわくなってきちゃった……

私はウィジャボードが動き出したことが自分でもとても嬉しかった

確かにちょっと怖いけど、好奇心のほうが勝っていた

それはみんなも同じだったのかもしれない

津田未来

うまくいったみたい

津田未来

それじゃあ みんなも質問してみる?

クラスメートA

じゃあ あたしから……

みんなしばらく思い思いの質問をして、一喜一憂していた

はじめてのこっくりさんがこんなにうまくいくとは思ってなかった

これでしばらくの間は私もみんなの人気者になれるかな?

なんて思っていた

しかし、私の予想は外れていた

しかも、いい方に……

護法童子(コンテスト版)

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