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音を立てるな！-守るべきもの-

第2話 - 音を立てるな！-守るべきもの- 第2話

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2021年02月27日

#ホラー

#モンスター

#サバイバル

#エグい

さいマサ

？？？

ぎぃやぁあああああー！

郁人

（真っ直ぐ飛びかかってくる！）

郁人

（こ、殺される！？）

その時──茂みが揺れた

？？？

ぐぃやああああああー！

郁人

（あれは…リスだ）

郁人

（化け物がリスを追いかけていった）

辺りはすぐに静寂に包まれる

郁人

と、父さん？

郁人

…母さん？

郁人

息──してない

郁人

起きろよ

郁人

起きてくれよ！

郁人

お願いだから──

？？？

音を立てるな！

突然、男が小声で凄みを聞かせる

郁人

（えっ、口を塞がれた！）

？？？

しっ！

郁人

（だ、誰だこいつら！？）

郁人

んっ、んんっ！

？？？

静かにしろ！

暴れる俺の目の前に若い女が現れた

？？？

音を立てたら──

殺す

そう言って俺の額に拳銃をつきつけた

郁人

（こいつ、目が本気だ…）

そして女がタブレットに文字を打ち込む

美穂

『私は相川美穂』

美穂

『あいつは音に反応する』

美穂

『だから音を立てないで』

郁人

で、でもあいつがっ…！

声を上げると、男が俺の首を腕で締め上げた

郁人

ぐっ…！

美穂

『喋らないで』

美穂

『私たちはあの化け物、ハンターを退治しに来た』

郁人

（た、退治！？）

美穂

『あなたはすぐに逃げて』

郁人

（こいつら何を言ってるんだ？）

郁人

（でも3人とも戦闘スーツみたいなの着てるし、拳銃も持ってる）

郁人

（父さんと母さんがあいつに…化け物に殺されたのは事実だ）

郁人

（でも今は──）

郁人

妹が居なくなって！ぐっ…

首の締め付けが強まる

美穂

『妹？』

郁人

（理沙を探しに行かないと！）

郁人

（あのハンターとかいう化け物に襲われる！）

3人が顔を見合わせた後、美穂の両手が忙しなく動き始めた

郁人

（あれは──手話？）

美穂

『彼をなんとか逃さないと』

美穂

『澤口さん、もう首を締め付けるのはやめて下さい』

澤口

『はいはい、仰せの通りに』

美穂

『麻由さん、さっき小さな女の子を見たって言ってたよね？』

麻由

『本部の奴らに捕まったわ』

麻由

『子供はいい実験材料になるからって』

澤口

『死んだな』

美穂

『澤口さん、彼にはそのことを悟られないように！』

澤口

『黙ってウソつくほうが残酷じゃねーの？』

澤口

『妹は助からない』

美穂

『確かに諦めないといけない、でも！』

美穂

『今は彼を巻き込まないことを最優先とします』

澤口

『女は冷酷だねー』

麻由

『やっと本部を突き止めて叩きに来たんだもの』

麻由

『一般人を連れては行けないわ』

麻由

『ここで全てを終わらせないと』

美穂

『その通りよ』

美穂

『私たちには果たさないといけない使命があるの』

澤口

『リーダーには逆らいませんよ』

美穂

『それじゃ、私に任せて』

美穂が再びタブレットに打ち込む

美穂

『この島は危険』

美穂

『妹さんは私たちが責任を持って探す』

美穂

『だからあなたは、一刻も早くこの島から出て下さい』

郁人

──わかった

美穂

『それじゃ、気をつけて』

郁人

妹のことよろしく──

頭を下げるフリをして、俺は男の背後に回った

澤口

なっ、てめぇ…

郁人

う、動くなっ

俺は男から奪った銃を向ける

美穂

『落ち着いて！』

美穂

『必ず私たちが妹さんを連れてくるから』

郁人

…うそだ

美穂

『私たちのことを信じて』

郁人

うそだ

美穂

『約束するから』

郁人

フッ…

俺は小さく笑うと、両手を突き出した

『うそをつくな』

美穂

えっ…

美穂

『あなた、手話ができるの？』

郁人

『俺の妹は口がきけない』

郁人

『俺がいくら呼んでも聞こえない』

郁人

『妹は連れていかれたんだろ！？』

郁人

『俺が連れ戻す！』

澤口

『なら、俺を殺せよ！』

郁人

『動くな！』

澤口

『ほら撃てよ！』

男がぐんぐん向かってくる

郁人

『来るな！』

澤口

『撃てよ！』

郁人

（や、やめろ…）

澤口

『ガキが調子こいてんじゃねーよ！』

拳銃を奪われ、腹に拳がめり込んだ

郁人

うっっ…

澤口

『置いてこうぜ、なんなら気絶させとくか？』

美穂

『ダメよ、襲われる可能性がある』

麻由

『それにここに放っておいても、きっと妹を探しにやってくるわ』

美穂

『そうなれば作戦は失敗してしまう』

澤口

『連れてくのかよ？』

美穂

『それしかないわ』

美穂

『起きて』

美穂が差し出す手を、俺は握った

美穂

『あなたを連れていくわ』

美穂

『あなたの名前は？』

郁人

『郁人』

美穂

『妹さんは？』

郁人

『妹の名前は理沙』

美穂

『今から侵入する本部に、妹さんがいるかもしれない』

美穂

『でも私たちが成すべきことは、本部を壊滅させること』

郁人

『本部…？』

美穂

『私たちが戦う敵の組織の本拠地』

美穂

『さっきの化け物…ハンターを量産して世界制服を目論んでる』

郁人

『そんな組織が…』

美穂

『敵はそれほど強大な存在なの』

美穂

『これからは自分の身は自分で守って』

郁人

『分かった』

美穂

『そして死にたくなかったら絶対に──』

『音を立てないこと』

澤口

『ここが入り口だ』

美穂

『セキュリティーは予め解除してあるのよね？』

澤口

『あぁ、絶対に敵側にはバレていない』

麻由

『監視カメラも？』

澤口

『問題ないはずだ、行くぞ』

手話で話しながら3人が進んでいく

郁人

（音を立てないために手話で会話してるんだ）

郁人

（あの化け物から世界を守るための組織があって）

郁人

（この人たちはその組織の人間で──）

郁人

（先にここのセキュリティを解除してくれたんだな）

郁人

（…ここが敵の本部か）

郁人

（この中に理沙がいるはず）

澤口

『こっちの扉しか開かない』

澤口がゆっくりと扉を開く──…

美穂

『変ね、誰も居ない…』

澤口

『どうせ爆破して潰すんだろ？』

美穂

『それにしても静か過ぎだわ』

郁人

（早く理沙を見つけないと）

澤口

『くそっ、こっちの扉しか開かない』

美穂

『またなの？』

澤口

『行くしかねーだろ』

美穂

『待って！まるで──』

罠みたいじゃない？

郁人

（あっ、ドアを開けて中に…）

中は真っ暗闇だった

郁人

（なにも見えない…でも感じる)

郁人

（なにかが、いる）

郁人

（なにかが…）

3人がライトで中を照らし出す──…

ハンター

ぐううううっ…

郁人

（ひぃっ！）

美穂

『音を立てないで！』

美穂

『ムダな戦闘は避けたい』

澤口

『外に戻れ！』

麻由

『静かによ』

郁人

『分かった』

俺はそーっとドアノブを掴んだ

郁人

（えっ、開かない！？）

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さいマサ

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