TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

あーり関係

一覧ページ

「あーり関係」のメインビジュアル

あーり関係

20 - 少女レイ

♥

553

2021年09月16日

シェアするシェアする
報告する

曲パロ 『少女レイ』

……ふふっ…

しいな黄昏

…え

遠くか近くか分からない、どこか分からない所から

酷く震えた優しい声が聞こえた

それは抵抗なく耳に入ってくる、

ずっと探していた愛しい声

本能が狂い始めた

私はハツカネズミのように小さくなり、追い詰められた

ありす

……ふふっ…

今絶望の淵に立って笑い

踏切へと飛び出した

しいな黄昏

……はー

君を思い出す

死ぬ前の最期の時間、俺にいつも通りの笑顔を見せて姿を消した君を

君は友達、そう

君は俺の友達

だから俺の手を掴めばよかったのに

君は独りだよ、味方なんて居ない

居場所も何も無かったでしょ?

俺と君、2人きりでこのまま

愛し合えるよ

俺は君を今も愛してる

君には俺しかいなかった

俺を愛してるでしょ?

しいな黄昏

…………え、なに、これ

目の前にはあーりがいる

しいな黄昏

…あーり?

しいな黄昏

なんで、あーり

しいな黄昏

あーり……あー、り

何度も何度もあーりの名前を呼ぶ

いつもなら笑って なぁにっ? って聞いてくれるのに、

なんで

しいな黄昏

こっち見ないの…?

あーりは下を向いて笑った

ありす

……ふふっ…

しいな黄昏

……あーり

あーりが線路に飛び出す

しいな黄昏

まって、ぁーり…!!!!

手に触れた

なのにあーりは止まらなくて、触れた感覚はあったのに手はすり抜けて

そこら中に血が飛ぶ

一面が綺麗な朱色で染まり、君は痛々しい姿で眠る

どこかで、見た事がある?

繰り返し、フラッシュバックする君の死

蝉の声が嫌に頭の中で響く

何をしてもどんなに願っても、二度とは帰らぬ君

永遠にちぎれていく

ずっと付けていてくれた、お揃いのキーホルダー

夏が消し去っていった、日焼けをしていない白い肌の可憐な少女

消えてしまった君に、いっその事悲しくなる程取り憑かれてしまいたい

自分の本性がだんだんと暴れ始めた、いつのかも分からない9月のスタートを告げる夏休み明けのチャイム

ねぇあれ…w

うわーかわいそ、なんかあったの?

夏休み前あんなのあったっけw

知らなーいww

あの子死んだのかなw

ちょっとまってそれはやばいwww

ww

ありす

……

標的の机には、萎れて種類も分からなくなった花が入れられた花瓶が置いてあった

その花瓶を仕掛けたのは

しいな黄昏

…っは……w

俺だった

こんな事をしたのは初めて

人をいじめたいなんて今まで思った事はない、これもいじめたくてやってる訳じゃない

俺の脳で思いついたのはこんな方法だけだった

でもこれは君が、あーりが悪い

あーりが俺だけを見てくれなかったから

色んな子に抱きついたり好き好き言ったりして、俺を1番にしてくれなかった

俺だけを見ててよ

しいな黄昏

……ねぇ、大丈夫?

ありす

…うんっ、大丈夫だよ!

俺は君の苦しみを知ってる

助けが欲しいでしょ?

しいな黄昏

…いつでも俺の事頼ってね

絶望と恐怖に溺れていく可愛い君の手に、そっときすをした

…なにあれーwww

きもちわるww

ばかみたい…ww

ありす

やだ、やだぁ……っ!!

学校中に放たれた、薄笑いの獣達

君のその心が晴れるまで

しいな黄昏

……どうしたの?

ありす

っ、しー、な

縋るように爪を突き立てる不揃いで不格好なスカート

蝉の声も風鈴の音も聞こえない夏の静寂を切り裂く悲鳴が谺した

とても心地よいとは言えない教室の空気に反して、窓から見える空はとても綺麗な青だった

…君は友達。

そう、だよ

君は友達

たった1人の友達

だから、早く俺の手を掴みなよ

助けてって

一緒にいてって

はやく

なのに

しいな黄昏

……え

なんで、

誰にも頼らないで、消えちゃうの

俺は、

きみが、いなくちゃ

いばしょなんてどこにもないんだよ

きみのそばだけがおれのいばしょだった、のに

もし、俺と君が、

この夏の海のように透き通った世界で

愛し合えたら_。

しいな黄昏

(……ああ、)

繰り返す

フラッシュバック。

頭に響くような蝉の声、

二度とは帰らぬ君。

永遠に、ちぎれていく、

お揃いのキーホルダー。

夏が消し去った

白い肌の少女に、

悲しいほど、

取り憑かれてしまいたい。

ありす

…………。

透明な君は俺を指さし、何かを言った

蝉の声で掻き消された言葉

それはきっと

しいな黄昏

…愛してるよ、あーり。

俺を引き止める言葉だった。

この作品はいかがでしたか?

553

コメント

2

ユーザー

選曲がいいよね

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚