翠
龍斗?
翠
そうしてさっきの包丁を取り出す。血がベッタリと付いているが、切れ味はまだ申し分ない。
龍斗?
そいつはチッと舌打ちをすると、懐にあった刺身包丁を取り出してきた。
翠
龍斗?
翠
彼の刺身包丁が心臓を貫かんと迫ってくる。
だが怒りに任せているからか刃先がブレブレだった。
私は軽々と避け、隙だらけの横腹を包丁の柄で思いっきり突いた。
龍斗?
翠
龍斗?
私の包丁とあいつの包丁がぶつかり、カキンと軽い音を鳴らす。
力比べでは勝てないと察した私はバックステップを咄嗟に取り、防衛出来るように構えた。
あいつの意識が、2人の居る803号室から逸れる事を祈って。
翠
龍斗?
そうして突撃してきた龍斗に、全力を込めて包丁を横から滑らせた。
翠
龍斗?
そして、宙に舞う刺身包丁。目を見開いた龍斗に、全力でタックルを仕掛けた。
翠
龍斗?
そして、完全に弱った龍斗を見て、フッと口角を上げて叫んだ。
翠
龍斗?
修平
そして、龍斗に渾身の一撃を喰らわせる。
――ふと、衝撃に耐えられなかった腫れ物が、パンッと音を立てて弾けた。
中から赤い液体が溢れる。それはすぐに赤い水溜まりを作り、彼の目は虚構を写していた。
修平
翠
修平
翠
修平
翠
修平
翠
翠
修平
翠
下を向いた彼女からの表情はよく分からない。
しかし、下唇を噛んで何かを堪えているのはひしひしと伝わった。
きっと、友人を救えなかった憤りを感じているのだろう。
修平
翠
翠
修平
翠
修平
彼女の目には、後悔と悔しさのあまり涙が溢れていた。
翠
修平
翠
修平
反論され、思わず言い返せなくなる。
反論出来ないと見たのか、彼女は刺身包丁と持っていた包丁を淡々と拾っていく。
翠
修平
翠
そうして彼女は階段を登っていった。
修平
俺は、涼花と脱出すべく803号室で待たせている彼女の元へ向かった。
ふと時は、龍斗と会う前まで遡る。
奈央を放置するのも良心が痛んだ私は、奈央の部屋まで彼女を運んでいた。
翠
彼女の部屋のベットに、優しく彼女を降ろす。
安らかに眠る彼女は、先程まで操られていた様子など微塵も感じない。
翠
ふと彼女を見ると、首筋に赤い腫れ物が出来ているのを見つけた。
かなり腫れていて、少しの衝撃で割れそうな程に膨れ上がっていた。
翠
少し触れてみると、弾力を感じる。
少し握ってみると、パンッと音を立てて弾けた。
翠
そこから赤い液体を流し、ビクンと彼女の身体が跳ねたと思うと、そのまま静かになった。
私は、液体を見つめて考える。
翠
彼女の首筋から溢れる液体は、もう血としか見えなかった。
まるで、無念の思いを表すかの如く流れ続けている。
翠
ただし、1人でやるにはかなりの難易度を強いられる。
頭を抱えていると、ふと脳裏によぎったのは彼の姿だった。
翠
私は急いで、また彼とのトーク画面を開いた。
コメント
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えっと...続きはあります??気になりすぎて!作品主すごすぎてやばいです
面白い