テラーノベル
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――気づかない変化
みこと
槍を立てかけてこさめが言った
こさめ
いるま
俺は剣を鞘に戻さず、少し遅れて歩き出した
しばらくして
丘を下りる途中、すちが足を止める
すち
地面にしゃがみ込み、土に触れる
指先で何かを探すように
すち
こさめ
すち
いるま
俺は街の方を見た
灯りがぽつぽつと見える
人のいる場所
生活の続いている場所
特に異変はなかった
暇72
誰も異論はなかった
街道に出ると風が戻ってきた
草が揺れ、虫の声がする
――普通だ
こさめ
こさめが呟く
LAN
LANが答えた
LAN
町に近づくにつれ、音が増えていく
笑い声
戸を閉める音
夜回りの足音
門は、開いていた
見張りの兵士があいさつしてきた
暇72
その“特にない”が胸に引っかかる
六人は言葉を交わさず、町に入った
石畳を踏む音が揃う
影が街灯の下で重なる
暇72
いるま
宿を探して歩く途中、すちが立ち止まった
すち
路地の端
朝露に濡れた地面に黒ずんだ跡があった
焦げたような、溶けたような
魔物の血にしては匂いが薄い
LANが指先で軽く術式を描く
空気が、わずかに震えた
LAN
LAN
みこと
みことが眉をひそめる
いるま
LAN
LAN
LAN
その時だった
市場の奥で悲鳴が上がる
六人は同時に走り出した
倒れた果物籠 逃げ惑う人 そして___
小さな魔物
獣に似ているが目が多すぎる
影が地面にうまく落ちていない
暇72
一歩踏み込み、剣を振る
感触は軽かった
抵抗もなく、魔物は霧のように消える
終わった
拍子抜けするほど、簡単だった
町の人々が恐る恐る近づいてくる
礼を言い頭を下げ、安堵の声を漏らす
誰も、原因を知らない 誰も、説明できない
"名前がない"から___