電車に揺られかれこれ3時間
田舎すぎるだろ、と心の中で文句を言う
しかもけちゃの見舞いに行けなかった
あぁ、着いてしまう
俺の大嫌いなあの場所に
ピーンポーン…
…はーい?
あ…
…少々お待ちください
暗くて狭い俺の部屋
あの頃と何も変わっていなかった
焼け落ちたと思っていた
あの暗い記憶も共に消してくれればよかったのに
でも、この家の中で唯一ここだけが俺の居場所だった
そう言って始終怯えている様子だった女中は足早に去っていった
部屋を見渡す
障子に畳
生け花に掛け軸
この家を追い出された日
あの日と何一つ変わらない内装
沈黙が続く
流石に気まずい
ガタ…
もう、姉さんにも会いに行けない
あの日から俺の人生は
ずっと孤独に狂い続けている
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