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甘味処で一息ついて、田んぼ道を歩いていると蓮乃の鎹鴉がやってくる。

鎹鴉

次ノ任務ヲ伝エル!次ノ任務ヲ伝エル!

鎹鴉

次ハ、北北東!北北東!鬼盛山へ向カエ!

鎹鴉

子供ガ襲ワレタ!急ゲ!急ゲ!

報告を受けるとすぐに甘味処へ戻り山の場所を聞き、そしてまた走り出す。

甘味処のおばちゃんは急なことにポカンとしている。

鈴森蓮乃

(なんでまだ日が出ているのに子供が襲われた?)

鈴森蓮乃

(いや、鬱蒼とした山なら日が昇っている時間でも十分暗い。木の根元や影に隠れれば十分活動することも可能か…!)

走りながら頭の中を整理していく

鈴森蓮乃

(とにかく急がないと、子供が!山に着く頃にはもう日は傾き始める。夜が来てしまえばこちらは圧倒的不利の状態になる!)

蓮乃が山に着く頃にはもう日は沈み始め、物の怪や鬼の類がいてもおかしくないような雰囲気がある。

実際鬼はこの山にいるのだが…

鈴森蓮乃

(もう日が沈み始めてる!)

鈴森蓮乃

(早く子供を探さないと)

無我夢中で、ひたすら山の中を走る。

鈴森蓮乃

(当てもなく走るのは正直体力の無駄だがこうするしかない。とにかく早く子供を見つけなければ。耳を澄まして、些細な音でも見逃さない。)

助けて!

鈴森蓮乃

微かに子供の声が聞こえた

鈴森蓮乃

そっちか!

声の聞こえた方へ走ると、無事子供を見つけることができた。まだ幼い少年だ。

鈴森蓮乃

見つけた

鈴森蓮乃

って、、!

少年を見た蓮乃は思はず息を詰まらせる。

少年の肩からは、鬼の鋭い爪で切り裂かれたのか大量の血が流れている。

蓮乃は刀を構えつつ片手で少年を抱き抱えると素早く後退し鬼と距離をとる

鈴森蓮乃

そこの木の陰に隠れていて!

少年

う、うん!

少年は木の陰に隠れる。蓮乃は少年を背に鬼と対峙する。

鈴森蓮乃

(鬼の強さとしては倒せる。でも子供がいるからあまり動き回るのは無理だ。怪我してるから逃げることなんてできない。一発で斬る)

鈴森蓮乃

蓮の呼吸・ 肆ノ型 瑞露一滴

滑るような足運びとともに、鬼の攻撃を紙一重で避ける。そして、すれ違いざまに身体を捻り後ろから首を跳ねる。

首を跳ねた蓮乃はすぐさま少年の方へ走る。

少年

お姉ちゃん!

少年は柔らかな笑みを浮かべ蓮乃へ手を伸ばす

そんな少年に蓮乃は、

思いっきり蹴りを入れる。

少年

がっ!!

少年は蹴られた腹を抱えるながら涙を浮かべ蓮乃を見る

少年

け、剣士のお姉ちゃんどうしたの?

少年

なんで僕のこと蹴ったの?痛いよ、、

そんな少年を蓮乃は冷たい目で見下ろし、刀を向ける。

鈴森蓮乃

随分と演技が上手いわね。人間の擬態もよくできている。

少年

演技?人間の擬態?な、なんのこと?僕わかんないよ

少年は蓮乃の顔を怯えながら見上げる。

鈴森蓮乃

まだその白々し演技を続ける気?もう分かってるのよ

鈴森蓮乃

あんたが鬼だってこと。

そう言うと、蓮乃は少年の、いや、鬼の首めがけて刀を振るう

鬼は寸ででそれを躱す

鋭い爪が生え、額には角が2本生え、鋭い歯を剥き出し、さっきまで少年だったのがみるみる鬼へと変貌していく。

チッ何故正体がわかったんだ!

鈴森蓮乃

おかしいと思ったのよ。あの鬼を斬って、あんたのこと見たら、肩の傷、治っているから。

鬼はハッとして自身の肩を見る。

鈴森蓮乃

血も流れてなければ傷も完璧に塞がってる。こんなこと人間には無理だもの。

一歩づつ距離を詰める。

鈴森蓮乃

人間の演技は上手かったよ。擬態も完璧。パッと見ただけじゃない分からないかもね。

鈴森蓮乃

でもね、いくら外見が誤魔化せても、その身体の再生能力は隠しようがないものね。

クソッ!!

鬼がこちらへ襲いかかる

そんな鬼の首を蓮乃は斬る。

クソが!クソが!クソがー!!

汚い言葉を吐きながら鬼の身体はボロボロと崩れ落ち、消えていく。

鈴森蓮乃

これで終わりか、がはッ!

蓮乃の身体を何かが突き破る

鈴森蓮乃

え?

ドサッ

蓮乃の身体は地面へ崩れ落ちる。

突然のことに蓮乃の脳の処理が追いつかない。

ドクドクと、止めどなく血は流れ続ける。

鈴森蓮乃

(鬼、か?)

混濁する意識の中、攻撃されたであろう方向へ顔を向けると、そこには鬼が立っていた。

鬼の目には、下弦の文字が刻まれている。

鈴森蓮乃

じ、十二鬼月…!

鈴森蓮乃

なん、で、、こんな、ところに、、!

下弦の鬼はニヤリと笑い、血鬼術であろう赤々とした鋭い爪で蓮乃へ振りかぶる

そこで蓮乃の意識は途絶えた。

: :

: :

ここは、、どこ?

どこまでも真っ暗な、終わりの見えない暗闇と、蓮乃を囲む様にして炎が広がっている

火に囲まれているけど熱くはない。どういうこと?走馬灯の一種か何か?

死に際の心象世界みたいな?

周りを見渡していると、遠くの方に2人、誰かが立っている。

あれは、、

お父様お母様!

火の海の中立っている2人へ声をかける

鈴森蓮乃

っっ!

でも口から出たのは空気だけだ

あれ?声が出ない!?

いくら口を開き声を発しようとしても、直前で詰まったように声にならない。

なんで…!

あぁ、お父様!お母様!行かないで!置いてかないで!

ごめんなさい!あの時はほんとうに怖くて、必死だったの!決して嫌いだとか、見捨てたというわけでは!

みす、てた?

そうだ、私はお父様とお母様を見捨てた

自分を守ることで必死だったとか、怖かったとか、そんなの言い訳だ。

お父様とお母様を見捨て、自分だけ生き残ったことには変わりない。

いや、違う!

違う違う違う違う違う違う違う違う!

そんなんじゃなくって!決して…

どんどん2人は遠ざかっていく

いや、遠ざかっているのは蓮乃の方だろうか

あぁ、あぁ、、お父様、、お母様、、

???

鈴森蓮乃

後ろから声が聞こえる

誰かが私を呼んでる、、

振り返れば遠くの方に誰か立っている。目を凝らしても誰なのか、その姿はよく分からない。

また振り返れば、まだ蓮乃の両親は立っている。しかし、確実にお互いの距離は遠ざかっていっている

???

鈴森蓮乃

また呼ばれた。

…お父様、お母様、ごめんなさい。私、あちらへいきます。まだ、やることがあるような気がして、、。

また今度、お会いしたときは私の言い訳を聞いてほしいです。沢山謝ります。どんなに酷い仕打ちだって受けます。だから、今はどうかあちらへ行かせてほしいです。

蓮乃は名前の呼ばれた方へ歩く。

???

蓮乃

あぁ、次は名前で呼んでくれた。嬉しいなぁ。

歩くたびどんどん力が抜けていく。そしてついにその場に倒れ込む。

低くくて、硬いけど、心地よい声。身体に、心に低くく響くような…この声、聞いたことある。

なんだか私の好きな人に似てる…

???

蓮乃。あぁ、、なんて無惨な…

強く、抱き締められるような感覚がする。

どうしてそんな怒っているの?どうしてそんな悲しそうなの?

蓮乃の頬を温かな水がつたう感覚がする。

もしかして泣いているの?

より一層強く抱き締める感覚がする

あぁ、なんだかあたたかくて心地よい。強く抱き締められてぬくもりを感じる。

徐々に意識が遠のいていくのを感じながら、蓮乃は微笑みながら優しくその声の主へ声をかける。

そしてそこで蓮乃は意識を手放した。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

謎の声の主は誰なのでしょうか。

まぁ、たぶんほとんどの方察してしまったでしょうが笑

ちなみに、今回登場した下弦の鬼は累でも魘夢でもないです。パワハラ会議で殺された鬼の中の誰かです。血鬼術も適当です。あまり重要なことではないので気にしなくていいです。

次回も楽しみにしてくれると嬉しいです。

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