~ 短編集 ~

貴方は私を動かし

私は貴方を動かす

お互いがお互いの為に必死に生きている

だって、貴方も私も

どちらかが足りなければ死んでしまうのだから

だから今日も私は貴方の為に動く

貴方が苦しい時は私も苦しくなって

貴方が嬉しい時は私も喜ぶ

産まれる前から私達はずっとそばに居て

寄り添ってきた

こんな話、可笑しいって分かってる

でも私は貴方を愛してるから

貴方が笑っていられるよう、動いているんだ

でも運命は残酷で

突然何かが私を貫いた

貫いた、というより刺したの方が正しいのかもしれない

急いで溢れる血液を抑えようとしたが

私に出来ることは、何も無かった。

彼の苦しむ声が、響く

数分も経たない内に

私は息の根を止めた

そしてそれと同時に

貴方の生命も終わりを迎えた。

今までの努力は、何だったのだろうか

貴方の為に精一杯鼓動を刻み

貴方の為だけに生きてきたというのに

こうも呆気なく終わってしまうのか

そんな事を考えながら

私は最後の脈動を終えた。

Fin .

~裏設定~

この物語で出てくる『私』と『貴方』

『私』は心臓を表しています

そして『貴方』はその心臓の持ち主を表しています

どちらかが足りなければ死んでしまう、というのは

心臓が無ければ人は死んでしまうし、人が無ければ心臓も無い

という意味です

よく分からないお話見て頂きありがとうございました!!