渡辺side

"人狼ゲームの始まりです"

音声ではそう強く聞こえて、

そしてテレビには間違いなくそう示されていた。

人狼ゲームってあれだよな、

人狼を探して処刑するゲームだっけ。

"皆さんご存知の通り、"

"人狼ゲームを行って頂きます"

"勝利した陣営には賞金1億円を贈呈致します"

"ただし＿"

"これは"

"お遊びでは ございません"

佐久間の声に重なって聞こえた音声に、この場の全員が耳を疑った。

"毒物か実物のナイフを使って実際に処刑して頂きます"

1番に声をあげたのは照だった。

俺も信じれないし、

…まずこの状況が信じられない。

阿部が口にした言葉、

…その言葉を信じたくなくて。

テーブル近くにいた涼太がぼそりと呟いた。

"9人分の瓶とナイフ、

少なくともナイフは本物だよ"

そっと刃を指先にあてがうと真っ赤な血が流れ落ちた。

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