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お風呂から上がると、フカフカなタオルと綺麗なパジャマが置かれている。

「洋服は洗濯しておくから、これを着てね。タオルはこれを使って」

丁寧に、メモまで残されている。

翔(かける)

(どこまで完璧なんだろう....)

俺はそっと、ため息をついた。

美波のお父さん

おお、上がったか

美波のお父さん

これ、食べるか?

リビングに戻ると、美波のお父さんはキンキンに冷えたアイスを俺にチラつかせて見せる。

翔(かける)

....はい、いただきます

俺は一瞬だけ迷って、アイスを受け取ることにした。

美波のお父さん

これ、うまいんだぞ

美波のお父さん

あと少ししたら、一緒に散歩しないか?

美波のお父さん

お風呂から出て若干暑いだろう

翔(かける)

...え

翔(かける)

僕と...ですか?

美波のお父さん

そう、かけるくんと一緒に行きたいのだが...

美波のお父さん

嫌かな?

翔(かける)

いえ、嫌じゃないです

美波のお父さん

そうか、よかった

美波のお父さん

じゃあ、かけるくんがアイスを食べ終わったらいこう

翔(かける)

はい

美波のお父さん

あ、そんなに早く食べなくていいぞ笑

美波のお父さん

ゆっくり食べなさい

翔(かける)

...ありがとうございます

美波のお父さんから貰ったこのバニラアイスは、

なかなか溶けないバニラアイスだった。

美波のお父さん

やっぱ、お風呂上がりの散歩はいいよな

翔(かける)

そうですね

翔(かける)

湯船、ちょっと浸かりすぎちゃったので丁度いいです

美波のお父さん

わかるよ。

美波のお父さん

いやね、俺もついつい長く浸かりすぎてしまうんだよ。

翔(かける)

そうなんですね

翔(かける)

とても、温かいお湯でした。

美波のお父さん

それはよかった

美波のお父さん

美波のお父さん

....なぁ、かけるくん。

翔(かける)

はい?

翔(かける)

なんでしょう?

美波のお父さん

俺もたまに思い出すことがあるんだ。

美波のお父さん

俺の小さい頃。

翔(かける)

そうなんですか。

急に声のトーンが変わる。

そして少し、空気が重くなるのを感じた。

美波のお父さん

まだ、美波にも話したことない話なんだが

美波のお父さん

聞いてくれるか?

翔(かける)

はい。俺でよければ是非。

美波のお父さん

.......実は、俺も親から虐待を受けて育ったんだ。

翔(かける)

...........え?

美波のお父さん

もっといえば妻_____

美波のお父さん

いや、美波のお母さんと言った方が分かりやすいよな

美波のお父さん

美波のお母さんも、実は親に虐待された子なんだ。

俺は、黙って美波のお父さんの話を聞いていた。

いや、「何も言えなかった」と言った方が適切だった。

美波のお父さん

俺たちは、児童養護施設で出会ったんだ。

美波のお父さん

俺の親も酷かったが、俺の妻の親も酷くてな。

美波のお父さん

ほら、これ

そういうと、美波のお父さんは腕を捲り上げる。

翔(かける)

..............え

翔(かける)

これって............

そこには、痛々しいほどの火傷の痕が数十個もあった。

美波のお父さん

そう。根性焼き。

美波のお父さん

タバコの火がついたまま、俺の腕に当てられて、

美波のお父さん

父親に無理やりつけられたんだ。

美波のお父さん

初めてつけられたのは、丁度5歳だった頃。今でも鮮明に覚えてる。

美波のお父さん

俺の妻は、自分の父親から性暴力を受けてた。

美波のお父さん

毎晩毎晩、無理やり犯されて

美波のお父さん

挙句の果てに、自分の父親の子どもを妊娠したこともあった。

翔(かける)

え........

美波のお父さん

そんな中、俺らは出会ったんだ。

美波のお父さん

俺たちはずっと、自分なんか幸せになれないと思ってた。

美波のお父さん

ずっと、辛い道を歩いていくんだって。

美波のお父さん

でも、俺は今すごく幸せに感じている。

美波のお父さん

何度も何度も、死にたいって思ったんだ。

美波のお父さん

俺の首のここに、締め痕があるけど

美波のお父さん

これは一回、自殺を図ったときについた痕なんだ。

美波のお父さん

美波と雅也には、内緒なんだがな

そう言って、美波のお父さんは首の痕を見せてくれた。

その痕は、赤々しく腫れている。二度と消えない傷だ。

美波のお父さん

.....なぁ、かけるくん。

美波のお父さん

俺は今、俺の親が大嫌いだ。

美波のお父さん

だからこそ、自分は幸せになってやろうって思ってるんだ。

美波のお父さん

「頑張れ」とか、「死にたいとか言うな」ってそんな綺麗事を言いたいんじゃなくて

美波のお父さん

こんな俺らだって、幸せになれるってことが言いたいんだよ。

美波のお父さん

美波のお父さん

「こんな俺ら」って....ごめん。

美波のお父さん

勝手に、かけるくんを過去の自分と重ねちゃって.........

美波のお父さん

不快に思ったら、本当にごめん。

翔(かける)

..............いや

目が次第に霞んでいく。

自分、馬鹿みたいだ。

勝手に、他人は幸せで悩んだことないだなんて決めつけて

翔(かける)

..........俺も、死にたいって思ってました。

翔(かける)

今まで、頑張って貯めてた一人暮らしのお金を奪われて

翔(かける)

目の前が真っ暗で

翔(かける)

頑張ったって無理だって思ってました。

翔(かける)

...今も、今までみたいに頑張れる気はしません。

翔(かける)

でも、美波のお父さんみたいに...幸せになりたいって思いました。

翔(かける)

もう少し、生きてみようって思いました。

翔(かける)

そう思えたのは

翔(かける)

美波のお父さんのおかげです。

翔(かける)

こんな俺に話してくれて、ありがとうございました。

気づくと、美波のお父さんの目も霞んでいた。

美波のお父さん

ははは.......なんか.....照れちゃうな

美波のお父さん

そう言ってくれて......良かった。

美波のお父さん

こちらこそ、ありがとう。

美波のお父さん

俺、かけるくんに出会えて

美波のお父さん

本当によかったよ。

まるで、本当のお父さんのように

俺の頭を撫でてくれた。

もう少し........もう少しだけ、

頑張ってみようと思えた。

私の好きは机から。

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