由梨(ゆり)
直人(なおと)
由梨(ゆり)
直人(なおと)
由梨(ゆり)
直人(なおと)
由梨(ゆり)
目の前の私のこと、全然見てくれないじゃん。
直人(なおと)
会話を途切れさすように鳴るLINEの音
由梨(ゆり)
直人(なおと)
勘違いされても困る。
由梨(ゆり)
私知ってるんだから!
直人が、知らない女と歩いてるところ!
直人(なおと)
勘違いはよしてくれ。
由梨(ゆり)
こーんなそっくりな別人がいるのね?
盗撮した写真を見せる
直人(なおと)
盗撮···
お前それ、犯罪だぞ?
由梨(ゆり)
浮気なんてするから。
私以外の女なんか見るから!
直人(なおと)
由梨(ゆり)
妹がいたなんて、私聞いてない
直人(なおと)
由梨(ゆり)
なんで?
いつもいつも···
私、彼女なんだよ?
貴方のこと、全部知りたいんだよ。
なのに、何でいつも···教えてくれないの?
直人(なおと)
もう、よしてくれ···
由梨(ゆり)
突然立ち上がり、キッチンへ向かう由梨
直人(なおと)
由梨(ゆり)
よく切れそう···((狂笑
由梨は包丁を手に玄関へ
直人(なおと)
何のつもりだ?
由梨(ゆり)
あ、そっか。
(直人に包丁を向け微笑む)
直人(なおと)
(怯えるように後退る)
由梨(ゆり)
直人(なおと)
由梨(ゆり)
直人(なおと)
由梨(ゆり)
(包丁を向けゆっくりと直人に近づく)
直人(なおと)
俺を···殺すつもりか···?
由梨(ゆり)
直人(なおと)
殺したいなら、殺してくれて構わない。
それで君の気が···晴れるならな···
由梨(ゆり)
(押し倒し包丁を振り翳す)
直人(なおと)
(静かに目を閉じる)
ザシュッ
直人(なおと)
ぐ···あぁ···
直人が痛みに目を開けると、包丁を振りおろした由梨。 そして痛む左手に目を向けると、そこにあったはずの自分の小指がなくなっていた。
由梨(ゆり)
妹さんの居場所を教えてくれるまで、殺さない。
直人(なおと)
由梨(ゆり)
ザシュッ
直人(なおと)
今度は中指が切断される
由梨(ゆり)
直人(なおと)
20分後
直人(なおと)
由梨(ゆり)
左手の指、ぜーんぶなくなっちゃったね
直人(なおと)
今度は右手に痛みが走る
由梨(ゆり)
直人(なおと)
ひぎっ!?
30分後
直人(なおと)
由梨(ゆり)
言っちゃえば楽になれるのに···
なんで教えてくれないの?
直人(なおと)
由梨(ゆり)
直人(なおと)
今度は腕に新たな痛みが走る
由梨(ゆり)
直人(なおと)
由梨(ゆり)
私だけを見てよ···
直人(なおと)
や···やめ···
由梨(ゆり)
直人(なおと)
痛っ···
お···落ち着···け···うぐ!?
由梨(ゆり)
私が聞きたいのは、妹さんの居場所。
私への愛の言葉。
直人(なおと)
由梨(ゆり)
私だけを見てくれるまでやめない。
直人(なおと)
数時間後
直人(なおと)
ザシュッ···ザシュッ···ザシュッ
直人(なおと)
由梨(ゆり)
早く言ってよ。
刺しながら続けるが、直人は言葉を発しない
由梨(ゆり)
直人は動きもしない
由梨(ゆり)
直人は
由梨(ゆり)
ザシュッ!
由梨(ゆり)
どうして···?
直人はもう、息をしていなかった
由梨(ゆり)
愛してほしかっただけなのに···
包丁を握る手に力を込める
由梨(ゆり)
なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!?
由梨は、既に動かなくなった直人の死体を何度も刺しながら続ける
由梨(ゆり)
お願い···直人···
由梨は 目から大粒の涙を流し 両手をギュっと握る
由梨(ゆり)
好きって言ってよ···
どれだけ泣いてすがっても 目の前の死体は答えない 静かな部屋に 孤独な由梨の泣き声だけが 響きわたっていた