TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シロクロのセカイ

一覧ページ

「シロクロのセカイ」のメインビジュアル

シロクロのセカイ

6 - 5. 「失うのは当たり前じゃないから。」

♥

52

2025年08月28日

シェアするシェアする
報告する

アメ

……で、

アメ

何で焼肉なんですか?

コガネ

腹ごしらえ。

イオリ

いつもコガネは任務前
焼肉だから、胃もたれに気をつけて。

アメ

は、はいぃ……。

コガネ

……アメ、イオリ。

コガネ

先に謝っておきたいことがある。

イオリ

ん?

アメ

真剣な表情をするコガネさんに、 只事ではないと背筋を伸ばした。

コガネ

今回の依頼、相手は物体を操る。

コガネ

それがどこまでか、
生きている人間も動かせるのか
分かんないけど……。

コガネ

もしかすると、
“2人を守れなくなるタイミング”も
出てくるかもしれない。

コガネ

だから……

イオリさんが、 咀嚼していた肉を飲み込んで 口を開いた。

イオリ

だからってコガネが責任を
感じる必要ないでしょ。

コガネ

……!

イオリ

私、戦闘向けじゃないし、
アメに関しては未成年だし。

イオリ

負い目を感じさせちゃうのは
申し訳ないなと思う。

イオリ

でもね、

イオリさんの目が、 すぅ……と細められた。

閉じている訳ではない、

ただ少し、寂しそうで、

何かを決意している顔だった。

イオリ

私達、死ぬ覚悟でコガネの下にいるんだよ。

アメ

そうですよ。

アメ

俺だって、それなりの覚悟はあります!

イオリ

……だってさ。

イオリ

だからね、コガネはコガネの
好きなようにやればいい。

コガネ

……そっか。

コガネ

ありがとう、2人とも。

アメ

(お会計……任せちゃったけど
よかったのかな……)

焼肉屋の前にあるコンビニから出る人を それとなく数えながら、お会計が終わるのを待っていた。

その時、 コンビニから出てきた13人目の 男の人が、目の前に立った。

明らかにこちらを見ている。

オレンジの奥に、少しだけ灰色がかった 瞳に、無造作に跳ねている茶髪。

アメ

……?

イオリ

あーあ、私までご馳走になっちゃった。

焼肉屋から出てきた イオリさんは、 俺の目の前に立つ人の肩を掴んだ。

イオリ

この子に何か用ですか?

茶髪のその人は 黙り込んでいる。

イオリ

あの、用がないなら──

その時だった。

イオリさんの腹部に、 その男の手からナイフが刺された。

イオリ

えっ……?

状況が飲み込めないまま、 男は刃物を抜き、 イオリさんは膝をついた。

アメ

イオリさん!!

別の女性の叫び声、

どこかのサラリーマンの 「救急車を呼べ!!」と言う声。

その声も、右から左へ、 先生の説教を聞き流すかのように 脳には入ってくれなかった。

アメ

あ……ああ、どうしよう……。

コガネ

ごめんごめん、
レジ混んでて──

丁度出てきたコガネさんも、 動揺で足を止めた。

コガネ

イオリ……?

見上げると、コガネさんの額から 汗が流れ落ちている。

コガネ

大丈夫か?呼吸は?

イオリ

でき、て……。

コガネ

イオリ!

「あ、あの……今救急車呼びました!」

と、さっきのサラリーマンらしき人が 言って、コガネさんは立ち上がって 頭を下げた。

コガネ

ありがとうございます。
ご迷惑をおかけしました。

コガネ

後は私が対処しますので……
はい、ありがとうございます。

コガネ

アメ、状況は後で
聞かせて欲しい。

アメ

は、はい!

コガネ

今は、手当しないと……。

アメ

……コガネさん、
大丈夫ですか?

コガネ

……うん。

アメ

すみません俺……
刺された時、何も出来なくて……。

コガネ

何もできなくて当然だよ。

コガネ

こんな危険な状況の時に
2人にしたのが私の間違いだった。

コガネ

……刺したのは、
どんな奴だった?

アメ

え、ええと……

アメ

オレンジの瞳に、茶髪でした。
ちょっと癖毛気味の……。

コガネ

……矢っ張り、彼奴か。

コガネさんは、 大きなため息と共に、 こちらに申し訳なさそうな顔で向いた。

コガネ

アメには、先に説明しておく。

コガネ

この事件を起こした犯人は──

コガネ

私達が今追ってる男じゃない。

アメ

……え?

コガネ

おそらく、イオリを襲った
男が犯人だ。

コガネ

奴の名は……

イオリさんは、 治療が終わった翌日の朝には 目を覚ましてけろっとしていた。

イオリ

ごめんねぇ、迷惑かけて……。

イオリ

アメにも怖い思いさせちゃったね。

コガネ

何にも迷惑じゃないよ。

コガネ

むしろ私が守れなかったことを
詫びるべきだ。

コガネ

……ごめん。

イオリ

大丈夫だってば。

イオリ

これくらい、慣れてるよ。

アメ

……え、待ってください慣れてる?

一瞬うんうんと聞き流そうと したが、普通あり得ない。

慣れてる?

イオリ

まあ、この世界にいれば
刺されるのなんて
日常茶飯事だよ。

イオリ

コガネに関しては
一回右腕飛んだもんね。

アメ

……治ったんですか?

コガネ

闇医者の能力でね。

アメ

す、凄い……。

イオリ

でも、このまあじゃあ私、
足手纏いになっちゃうなあ……。

コガネ

ならないよ。

コガネ

むしろイオリは休んでて。

イオリ

でもっ、それじゃあ私
コガネの役に──!

コガネ

立たなくていい!

少し遠慮がちな大きな声が響き、 俺もイオリさんも固まった。

気のせいかもしれないが、 コガネさんの肩が震えている。

コガネ

今はとにかく……
治すことに専念して……。

コガネ

もう誰も失いたくないの……。

それは、コガネさんから見る 初めての弱さだった。

アメ

(……相手への怒りも、
自分の悲しみも……)

アメ

(全部抱えてきたんだろうなあ……。)

コガネ

奴の名は……

コガネ

“ミツル”。

アメ

ミツル……?

コガネ

嗚呼。

コガネ

……アメの前に産まれるはずだった爺さんの孫を──

コガネ

殺した人間だ。

アメ

えっ……?

シロクロのセカイ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

52

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚