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やけに疲れた気がする。

妙だな。

これといって重労働は していないのに。

帰ってすぐに寝れば 多少は良くなるだろうかと思い、 早足で帰宅する。

その道中、幸か不幸か 環那に出くわした。

六条 環那

あら恵夢くん、
ごきげんよう

富士見 恵夢

どうも

六条 環那

具合悪そうですね

六条 環那

お家まで送って
いきましょうか?

富士見 恵夢

……わかるかい?

僕の問いかけに彼女は頷く。

六条 環那

はい

六条 環那

そんな感じがしました

占い師である彼女は 常に不思議な空気を纏っている。

元々はただ隣に住んでいるだけの 存在だったのだが、彼女の方が 積極的にコミュニケーションを 取ろうとしてきたこともあり、 僕達五人とは結構親しい 間柄にあった。

それ故に僕達の間では 最早六人目のシェアメイトという 扱いになっている。

彼女に付き添われながら 帰宅すると、ちょうど幸治が ダイニングキッチンで 夕食の支度をしていた。

富士見 恵夢

ただいま、幸治

溝下 幸治

おかえり恵夢

溝下 幸治

環那も一緒だったのか

六条 環那

はい

六条 環那

恵夢くんが一人で
帰れるか心配だったので

溝下 幸治

具合でも悪いのか?

富士見 恵夢

いつもより
疲れているだけだよ

溝下 幸治

悪いじゃないか

溝下 幸治

少し部屋で横に
なったらどうだ?

富士見 恵夢

でも風呂掃除が――

六条 環那

そっちはわたくしが
なんとかしますから

自身の担当家事である掃除を理由に 却下しようとしたが、 環那によって強引に自分の部屋へ 連行されてしまった。

富士見 恵夢

いいのかい……?

なんだか申し訳ない。

六条 環那

ルームシェアは、
助け合ってこそですよ

富士見 恵夢

いやでも、
君はそもそも――

六条 環那

それでは、
おやすみなさい

呼び止める間もなく 彼女は去ってしまった。

部屋に入りおとなしく ベッドに横になる。

ぼんやり天井を眺めていると、 不意にノック音がした。

出てみると瑞幹が立っている。

富士見 恵夢

君が来るなんて
珍しいね

菊池 瑞幹

一応先に
言っておくよ

菊池 瑞幹

冴弥花と結和は
一緒に行くってさ

富士見 恵夢

何処へ?

菊池 瑞幹

ここ

富士見 恵夢

えっと……何をしに?

菊池 瑞幹

お見舞い

菊池 瑞幹

幸治と環那から
具合良くないって
聞いたから

富士見 恵夢

そうかい

富士見 恵夢

じゃあ君も?

菊池 瑞幹

うん

瑞幹は頷くと、 ヘッドホンを渡してきた。

菊池 瑞幹

さっき恵夢のチャットに
リラックスできるBGM
のリンク送ったから、
これ使って聴いて

富士見 恵夢

ああ、ありがとう

どうしてヘッドホンを使う必要が あるのかはわからなかったが、 折角なので借りておくことにした。

その後、瑞幹が言っていた通り 冴弥花と結和が部屋を訪ねてきた。

冴弥花からラベンダーの匂い袋を 渡され、結和から目の疲れに効く ツボの位置を教わった。

そして最後に幸治がホットミルクを 運んできた。

富士見 恵夢

どうしてみんな、
僕にここまで
してくれるんだい?

気になって思わず尋ねてしまう。

溝下 幸治

そりゃあ大事な
シェアメイトだからさ

溝下 幸治

それに恵夢は一人で
抱え込みがちだから
みんな心配なんだよ

富士見 恵夢

それは……
否定できないね

目はたくさんの情報を 一気に取り入れる。

それ故に負担も人一倍大きい。

みんなが気にかけてくれるのは、 それを理解してくれている からこそだろう。

僕はかけていた 特殊加工付きの眼鏡を外す。

すると幸治は驚いた顔をした。

溝下 幸治

外して大丈夫なのか?

富士見 恵夢

問題ないよ

富士見 恵夢

湯気で曇ってしまうし

溝下 幸治

でも……

それでもなお心配そうな彼に 僕は笑みを浮かべて言う。

富士見 恵夢

みんながくれた
優しさを、ちゃんと
この目で見たいんだ

感覚達の共同生活

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コメント

1

ユーザー

みんな優しいいいい!! そして初登場環那さん!勘が鋭いのもあるんだろうけど、ちゃんと人のこと見てるんだろうな 皆んなが皆んないい人すぎる!✨

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