真っ暗闇の森の中で、一人の男が息を荒くして箱を運んでいた。
箱は三つあり、一つが杉、二つが桐で作られており、どちらも豪華な飾りが施されていた。
???
よ、よし…!ここまで来れば…!
烏天狗
いたぞ!捕えろ!
???
…………っ!
上から大量の烏の羽が降ってくる。混乱した男は、草の上に箱を投げ落としてさらに森の奥へと逃げた。
???
ごめんよ…ごめんよ…!元気でいておくれよ…!
駆けていく男の顔には、申し訳ながらも楽しみにしている笑顔が浮かんでいた。
烏天狗
ああクソ!逃げられた!…
地上に降り立った烏天狗は、悪態をつきながら周囲を見まわし、足元の箱に気付いた。
烏天狗
なんだこの箱?…!もしかしたら財宝が!?…
ワクワクと箱を開けた烏天狗だったが、次の瞬間には悲鳴が上がっていた。
烏天狗
うお!?な、なんだ…これ?!
烏天狗
赤ん坊?!
そう、三つ全部の箱には、おくるみに包まれた赤ん坊がいたのだ!