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【大学・現在(21歳)】 心は、周囲から「氷の王子」と呼ばれていた。整った容姿、優秀な成績。けれど、その瞳には誰をも映さない冷たさがある
友人
心
無駄なんだ。 渚以外の誰かと笑い合う時間なんて。 18歳のあの日から、俺の時計は1秒も進んでいない。 お前を追い出した、あの放課後のままだ
心は帰宅すると、真っ暗な部屋でスマホを開く。お気に入り登録されているのは、3年前に消えたはずの「渚」の連絡先
心
心は、既読のつかないトーク画面に、独り言のようなメッセージを打ち込み始める
【メッセージ画面】
心
心
心
心
届かないと分かっていても、これを送らないと正気でいられない。 俺が投げた「別れよう」という言葉を、毎日この日記で塗りつぶしている。 いつか、奇跡が起きて、画面が【既読】に変わるその日まで。
就職活動の合間、心はふと足を止めた。新進気鋭のイラストレーター、『NAGI』の個展
心
展示されているのは、温かい光に包まれた「誰かの後ろ姿」ばかり。その繊細なタッチ、光の描き方……。心は心臓が跳ね上がるのを感じた かつて、渚が授業中のノートの隅に描いていた落書き。
「僕、いつか君の背中を、世界で一番かっこよく描きたいんだ」 そう言って笑っていた、あの時の線の引き方に、あまりにも似ている
心
心は震える手で、パンフレットを手に取った。そこにはプロフィールが数行書かれている
【パンフレットの内容】 『NAGI:18歳の時に渡仏。現在は拠点を海外に置きつつ、国内での活動を開始。本名は非公開だが……』
心
心は、受付のスタッフに詰め寄った。その顔は、かつての冷静さなど微塵もなく、獲物を見つけた飢えた獣のようだった
心
スタッフ
その時、ギャラリーの奥から、聞き覚えのある、けれど少し大人びた「声」が響いた
???
心が弾かれたように顔を上げると、そこには、かつての弱々しさは消え、洗練された美しさを纏った青年が立っていた。 その瞳は、心を見て驚くこともなく、ただ他人を見るような、静かな光を湛えていた