一番星のキミに恋するほど切なくて。

もうダメだ。
そう思い始めていたとき、地をはうような低い声が聞こえた。
その瞬間、僕を押さえつけていた重みが消えて、ベリッと男が引きはがされた。

ードカッ!!(殴る音)

な、なに！？
何が起きたの！？
状況を把握しようと頭をフル回転させていると、僕のすぐ目の前にいた男が、今度は地面に転がっていた。

「……えっ……？」

驚いて身を固める。
僕の目の前には、誰かの背中があった。
広くて、大きな背中……。
さっきまであんなに怖くてたまらなかったのに、なぜかその背中にとても安心した。

顔は見えないけれど、この人の声は低くて、周りを圧倒する力を持っていた。
僕を襲おうとしていた男たちがあとずさる。

ひとりが逃げだすと、他の男たちも一緒に逃げだした。
難が去ると、僕はへなへなと地面に座り込んだ。

「………」

「怖かった……なにあれ……」

僕、もう少しで……襲われてた。