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7.距離
夜の住宅街は静かで、街灯の光だけがアスファルトをぼんやり照らしていた。 私は自分の部屋のベッドに仰向けになりながらスマホを見つめている。 画面にはPV。ループ機能を使っているから再生され終わりまた再生を繰り返す。
何回目だろう…ローレリアンの登場シーン。 銀の鎧。 長いマント。 そして――
ローレリアン
その声…
月乃星凛
思わず小さく呟いた言葉。
同じ声。 それは当たり前。だってCVは…
ローレリアン CV.吉葉蒼琉
私の幼馴染だから――
月乃星凛
私はスマホを閉じた。
違う違う。 蒼琉は蒼琉。 ローレリアンはローレリアン。 蒼琉とローレリアンは別。
けれどそう思おうとするのに頭がこんがらがえる。
そして私をもっとこんがらがえすために頭の中で声が重なる。
月乃星凛
顔を枕に埋めた。
月乃星凛
嬉しい。 でも。
月乃星凛
胸が落ち着かない。 推しとして好きだったはずなのに。 蒼琉の顔が浮かぶとさっきまでの推しのドキドキとは少し違う感覚になる。
ピロリン♪
スマホが震えた。 通知。 LINE。
27日(月)天気:くもり
20:46
LINE 今 蒼琉 今日、家来てたんだって?
月乃星凛
私は思わず飛び起きる。
月乃星凛
月乃星凛
私はすぐに返信した。
蒼琉
星凛
蒼琉
蒼琉
仕事…その文字を見て思った。 蒼琉は声優なんだって――
打って、止めた。 聞きたいことがある。
でも――
聞いていいのかな
数秒迷って。 私は意を決して送った。
星凛
星凛
送ってしまった…… 心臓がうるさい。
既読。
早い。
そしてすぐに返信が来た。
蒼琉
え……一瞬思考が止まる。
蒼琉
蒼琉
蒼琉
蒼琉
蒼琉
私はしばらく画面を見つめていた。
それから、 ゆっくり打つ――
星凛
星凛
星凛
送信。 既読。 数秒後。
蒼琉
蒼琉
蒼琉
それだけのはずなのに。 なぜか胸がドキッとした。
そのとき
メッセージ。蒼琉から。
蒼琉
蒼琉
蒼琉
…え?
蒼琉
蒼琉
蒼琉
スマホを握る手が少し熱くなる。 蒼琉は続けて送ってくる。
蒼琉
蒼琉
胸の奥が 少しだけ
騒がしくなった――