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次回は!次回はラブ要素あります!!(ラブコメにあるまじき言葉…)そして四天王のあの人の過去…。 次回更新は9月18日(予定)です。 長かった「受験」編も残り2話😌中学生達の行く末を見守って頂ければと思います😳 2話連続!読んでくださりありがとうございました❗
「ひび……吉田って凄いよな」
「え?」
「何か……一緒にいて安心する。楽しいし。な?」 「うん」 「オレ吉田と友達になれて良かった」
そう秀平達が言ってくれたのは1年の時だ。1年の時だから孝太はいない。
あの時の皆の表情。昼休みの喧騒。全部覚えてる。 涙が零れ落ちそうになった事も。
___ここではオレは必要とされてる。
楽園だ。 「吉田」としてオレはシアワセになる。
そう信じて今日まで過ごしたはずだ。 維持する為に努力したはずだ。
オレは楽園の住人のはずだ。
視線を戻すと 取り調べ室の刑事のような孝太の眼差しが待ち構えていた。
視線を逸らしたら負けの気がした。 何に負けるか知らねぇけど。
オレは負けない。 ____先に孝太が動いた。
肩を揺らしてのため息。「そうかい、もういいよ」と言わんがばかりの、オレの嫌いな仕草。 何様のつもりなんだよ。
山崎 孝太
吉田 響
吉田 響
吉田 響
山崎 孝太
孝太が唇を噛んで俯く。
さっきまでドヤ顔でイキッてたけど、ちょっと弱点を突けばこのザマだ。雑魚が。
___しかし孝太は再び顔を上げた。
山崎 孝太
~回想~
山崎 孝太
山崎 孝太
山崎 孝太
宮原 聡志
山崎 孝太
山崎 孝太
山崎 孝太
宮原 聡志
山崎 孝太
山崎 孝太
宮原 聡志
山崎 孝太
山崎 孝太
吉田 響
その突飛な話を吟味して出される結論は、こうだ。
山崎 孝太
山崎 孝太
吉田 響
吉田 響
吉田 響
人の嫌な部分ばかり見て育ったせいか、そう言うのを見抜く力はついた。 孝太の言った交渉に応じた奴がいたのなら、看破する自信がある。
そして切り捨てる。楽園に不純物はいらない。 __そんな事くらい あいつらは分かってるはずだ。
山崎 孝太
……孝太がわざと勿体つけて何かを取り出す。 水色の封筒だ。
山崎 孝太
山崎 孝太
吉田 響
その封筒はオレを動揺させる為のブラフだろ。
お前の交渉に応じた奴はいない。 オレを裏切るなんて あいつらに出来るわけねぇんだ。
吉田 響
山崎 孝太
山崎 孝太
気がつけば右手が動いていた。 ___孝太の襟首に届く寸前で、傍のセンセーに手首を掴まれる。
吉田 響
いっそ優しいとすら思える胸糞悪ぃ微笑を浮かべながら、孝太は答えた。
山崎 孝太
山崎 孝太
山崎 孝太
「何か……一緒にいて安心する」
吉田 響
センセーの手が離れた。 孝太が1歩身を引く。
山崎 孝太
山崎 孝太
吉田 響
_____1人になった高架下で、支柱にもたれながら暫し目を閉じる。
吉田 響
吉田 響
____あの程度でオレを追い詰めたと思ったのなら思い上がりだ。
この目を開けても、夢にはならない。 10歳のあの悪夢も、何もかも現実に起こった事だ。
家に帰れば、糞共が胡座をかいて現実逃避してる。
オレは負けるわけにはいかないんだ。
吉田 響
吉田 響
吉田 響
これ以外にどうしろって言うんだ。
全うな主張をしても誰も味方についてくれなかったじゃねぇか。
どうしたらあの日の傷を癒せるって言うんだ。
____オレは間違ってないはずだ。 中学に、オレの味方はたくさんいる。
それなのに 「暴力教師」にビビって早々に「パクドナルド」に逃げたあいつら からのラインは無かった。
「気をつけろよ」は結局 口だけか。
……今に始まった事じゃない。あいつらは虎の威を借りたいだけの狐だ。 昨日までは、虎であるだけで誇らしく思ってたのに…
今は無性に苛々する。
どうしろってんだよ。
こうしないと誰も褒めてくれなかったんだよ。
吉田 響
オレの顔を見るなり「大丈夫だった?」とか次々に口にする あいつらを遮って本題に入る。 ……心配してたんならラインしろや。
孝太から奪い取った封筒を突き付けて あいつらを順番に観察する。 (パクドナルドにいる人 全員を招集したので篤もいる)
吉田 響
………あぁやっぱりな。オレの勘は外れなかった。
____「返事」とやらを口にする孝太の口調に芝居臭さは感じられなかった。
その証拠に約1名、一瞬だけど口元がひきつった奴がいた。
裏切り者確定だ。 …あの昼休みの言葉も、本心じゃなかったんだな。
吉田 響
信太郎
吉田 響
ここでならシアワセになれると思ったのに。 お前らとならシアワセになれると思ったのに。
鼻の奥がツンとした。 __「裏切り者」の襟首を掴む手に力が入らない。
吉田 響
「どうしたんだよ吉田」 信太郎の手が肩に置かれる。オレはその手を振り払った。
吉田 響
吉田 響
吉田 響
何かにヒビが入る音がする。 頭の中で兄貴の笑声が木霊する。
違う。やめろ。オレはお前より優れてる。 オレは間違ってない!
「裏切り者」を突き飛ばして、馬鹿面でこっちを見てる阿保(あほ)共に向き直った。
吉田 響
信太郎
吉田 響
三津屋 篤
吉田 響
一団から、控えめに手を上げた篤が出て来た。 篤は困ったように頬を掻いた。
三津屋 篤
吉田 響
三津屋 篤
三津屋 篤
吉田 響
西谷 春翔
山崎 孝太
西谷 春翔
山崎 孝太
山崎 孝太
山崎 孝太
西谷 春翔
山崎 孝太
山崎 孝太
封筒の裏面の左隅に、はっきりと塾名が記載されていた。
こんな こんな簡単な事で、オレの楽園が。
視線が痛い。 やめろオレが欲しいのはそんな顔じゃない。そんな目でオレを見るな。
吉田 響
___何と言う事だろう。 孝太の口車に乗せられたのは自分だったのか。
吉田 響
何と言う事だろう。 楽園を瓦解させたのは自分だったのか。
吉田 響
家に否定されたから ここに拠り所を求めて今日まで生きて来たのに、こんなオチかよ。
何て意味の無い努力だったんだろう。
紙人形の首が飛ぶ___
___あの悪夢がフラッシュバックし、思考の全てを奪った。
吉田 響
あいつらの視線の種類が変わったのが分かる。 でももう止められなかった。
吉田 響
秀平
三津屋 篤
信太郎
封筒を破り捨て、支柱を叩いて笑い続けた。
止まらない。決壊したダムみたいだ。
「吉田」に為ってから、こんな風に狂ったように笑い転げた事があっただろうか。
今のオレは、誤魔化しようも無く「吉田 響」だ。
オレは笑った。笑い続けた。
山崎 孝太
西谷 春翔
ヒロ
ヒロ
西谷 春翔
ヒロ
山崎 孝太
長い夜が終わった。 俺にとっても柚月にとっても
………響にとっても
新しい夜明けになるはずだ。
「あ、ねぇちょっと皆で写真撮ろうよ。記念にさ」
「いいですね。俺はここで…隣失礼します」 「ちょっと!何さりげなく澪さんの隣キープしてるんですか!!」
「写真はあっちの元カレ サンに頼んだらいいやん。__柚月くんは真ん中入り」
色とりどりの鉢巻と歓声。 ____体育祭の時の記憶だ。
校庭の片隅、得点ボードの対角線状の、往来はあるけど立ち止まる人はいない場所で柚月達が写真を撮っていた。
こんな片隅でコソコソ馬鹿じゃねぇの。 あいつらも同様の感想を述べ、オレも鼻で笑いながら通り過ぎたが
しかし何故か視線が吸い寄せられた。
柚月と孝太の様子を見て、足が止まってしまった。
………きっと こいつらは
偽る必要の無い、心の底から楽しいと思える居場所があるのだ。
オレは
ずっと欲しかったものを、手に入れる事が出来たんだろうか。
___今夜は雨予報だ。だから頬に水滴が流れるのだ。 ここは高架下だけどな。
ずっと欲しかったものは、あの体育祭の日に目にしたものだったと
どうして今になって気づくんだろう。
オレは
オレはあいつらより
優れているのか?