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あの夏が飽和する

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あの夏が飽和する

1 - あの夏が飽和する

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2024年03月10日

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ミーン…ミンミン…

サトシ

サトシは公園のベンチに腰掛け空を見上げる。

サトシ

ナツキ…

サトシ

……毎年夏になると…

サトシ

あの夏の事を思い出す…

あの夏が飽和する

3年前

サトシ

サトシは机に向き合いスケッチブックに絵を書いていた。

グズ…うぅ…

サトシ

ん?

外から女の子の泣き声が聞こえてくる。

サトシ

誰か…泣いてる…?

サトシは部屋を出て玄関から外に出る。

向かいの家の塀に女の子が座り込み泣いていた。

ミンミン…

サトシ

…ナツキ…?

ナツキ

うぅ…(グス)…サトシくん…?

サトシはナツキに寄り添う。ナツキの服はずぶ濡れだった。

サトシ

だ、大丈夫…?なんかあった…?

ナツキは涙を拭い立ち上がる。

ナツキ

昨日人を殺したんだ…

サトシ

えっ…人を…殺した…?

サトシ

殺したって誰を…

ナツキ

隣の席のいつもいじめてくるあいつ…

サトシ

ユウスケ…?

ナツキ

そう。

サトシ

確かに…いつもいじめられていたね…

ナツキ

あいつが私を階段の近くに呼び出して…

ナツキ

『お前うざいからそろそろ消えてくんね?』って…

サトシ

ナツキ

もう嫌になって…あいつの肩を突き飛ばしたの…

ナツキ

そしたらあいつの頭が階段の角に当たって…

ナツキ

打ち所が悪かったの…

サトシ

だから今日…ユウスケが来てなかったのか…

ナツキ

そう…。

ナツキは小刻みに震えている。

ナツキ

もうここにはいられないだろうし…

ナツキ

どっか遠い所で死んでくるよ…

ナツキは俯く。

サトシ

俺も連れていってくれよ。

ナツキ

えっ…

サトシ

俺もこんな狭い世界に嫌気が差していたところだったんだ。

サトシ

親にも先生にも一回も褒められたことなんてないし…

サトシ

だから俺もナツキと一緒に行きたい。

ナツキ

分かった…。行こ…

サトシ

おう。

サトシ

ちょっと必要な物を取ってくるから待ってて。

ナツキ

分かった…。ここで待ってる。

サトシは頷き家に入っていく。

サトシ

サトシはリュックに財布とナイフを詰める。

サトシ

ゲーム…スマホ…

グッ…グッ…

サトシはゲーム機をリュックに詰めスマホをポケットに入れる。

サトシ

…あとは…

サトシは机の上にあった自分のスケッチブックを拾う。

スケッチブックにはスーパーヒーローが書かれている。

サトシ

サトシはソッとスケッチブックをリュックに入れる。

サトシ

あとのもんは…おらっ!

サトシは机や本棚を蹴り壊す。

サトシ

思い出なんて…残しておく必要ない…

サトシ

ナツキが待ってる…行こう…

サトシはリュックを背負って家を出る。

サトシ

おまたせ。

ナツキ

サトシくん…本当に…いいの?

サトシ

あぁ。大丈夫

ナツキ

じゃ…いこ。

サトシはナツキと共に道を歩き始める。

夕日がナツキとサトシの背中を照らす。

あたりはすっかり暗くなっていた。

サトシとナツキは公園の滑り台の上に座っていた。

サトシ

喰う?

サトシはリュックからサンドイッチを取り出す。

ナツキ

うん。ありがと

サトシ

どうぞ

ナツキ

(パク(モグモグ…)

ナツキ

美味し!

サトシ

そう?簡単なもので作った俺特製のサンドイッチ!

ナツキ

こんな美味しいサンドイッチ食べた事ないよ!死ぬ前にこんな美味しい物食べれて幸せ!

サトシ

あはは。そっか〜

サトシはリュックから財布を取り出す

サトシ

…金が…ない…

ナツキ

私にいい考えがあるよ!

サトシ

えっ…

次の日

男性

喉乾いたな…

男性は駅近くの自動販売機に近ずきポケットから財布を取り出す。

男性

どれにしようかな…

スッ!

男性

あぁ!

サトシ

よし!

サトシは男性が持っていた財布を盗む。

男性

おい待て!おい!

サトシ

いこ!ナツキ!

ナツキ

うん!

サトシとナツキは駅の近くの遮断機から線路に入る。

男性

泥棒っ!!

サトシ

あはは!やったな!

ナツキ

すごいよ!サトシくん!

サトシは盗んだ財布を開く。

サトシ

おぉ!五千円!

ナツキ

やった!

サトシ

あははっ!

サトシは自動販売機に近ずき五千円を入れ飲み物を買う

サトシ

はい!

ナツキ

ありがとう!

2人は自動販売機の影に座る。

サトシはリュックからスケッチブックを取り出し開く。

ナツキ

それ、サトシくんが書いたの?

サトシ

うん。まぁね

ナツキ

スーパーヒーロー…?

サトシ

うん。

ナツキ

…このスーパーヒーローは…汚くなった私達も見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな…

サトシ

ん?

ナツキ

ううん…なんでもない。

サトシ

サトシはソッとスケッチブックをリュックにしまう。

サトシはウトウトし始める。

サトシ

眠い…

ナツキ

ふふ…周りは私が見張ってるからサトシくんは寝ていいよ。

サトシ

あぁ…ありがとう…

サトシは目を閉じナツキにもたれかかって目を閉じる。

翌朝、サトシは食べ物を買うためにコンビニに来ていた。

ピンポーン

サトシは食べ物が詰まった袋を持ってコンビニを出る。

サトシ

めっちゃ買えたな〜。

トントン

サトシ

え?

サトシの肩が軽く叩かれる。サトシが振り返るとそこには2人の警察官が立っていた。

警察官

君…浦道サトシくん?

サトシ

えっ…

警察官

ご両親からの捜索願いと窃盗の疑いがかかってます。もう1人、西宮ナツキって女の子と一緒だと聞いたけど…

サトシ

は、はい…?

警察官

西宮ナツキ。知らない?

サトシ

クソっ!

サトシは警察官から振り向き走る。

警察官

あっ!待ちなさい!

サトシ

ちくしょう…!なんで…!

なんで…!!!!

サトシは走りナツキがいる場所まで走る。

サトシ

ナツキ!

ナツキ

えっ…サトシくん?

サトシ

逃げろ!

ナツキ

えっ…

警察官

いたぞ!

サトシ

警察だ!ナツキ、逃げろ!

ナツキ

うそ…!

サトシは袋を投げ捨てナツキと一緒に走る。

警察官

待て!止まりなさい!

サトシとナツキは必死に走っていた。すると、サトシが派手に転ぶ

サトシ

あっ!

バタっ!

ナツキ

サトシくん!

サトシ

うぅ…クソ…視界が…

警察官

待て!

転んだ衝撃でリュックの口が開きものが散乱する。

ナツキは散乱していた物の中にあったナイフを手に取る。

サトシ

ナツキ…早く…逃げろ…

サトシ

警察がそこまで…来てる…

ナツキ

サトシくんがいたからここまで来れた…

サトシ

えっ…

ナツキ

だからもういいの…

ナツキ

もういいよ…

ナツキ

死ぬのは私一人でいいよ…!

ザシュッ…

ナツキはナイフの刃を首の筋につけ首を切る。ナツキは倒れ、地面には血が広がっていく。

サトシ

あぁ…あ…

がしっ!

警察官

確保!

警察官がサトシを地面に倒し両手に手錠をかける。

サトシ

離せ!離せよ!

警察官

大人しくしなさい!

サトシ

ナツキ!ナツキ…!!

サトシは警察官に引きずられていく。

サトシ

いやだ!ナツキ!

倒れたナツキを警察官が囲っていた。

サトシ

ナツキ…こんなの…

あんまりだ!

その後、中学生だったサトシは少年法によって裁かれ親の元に戻された。

サトシ

サトシのした事は中学校中に知れ渡りサトシは1人ぼっちになっていた。

サトシ

ナツキ…

サトシがナツキの席の横に立つがナツキの姿はない。

サトシ

クラスの奴も…親もいるのに…

サトシ

なんでナツキだけいないんだ…

ミーンミーン…

サトシは目を開ける。

サトシ

サトシ

ナツキ…

サトシ

あの事からもう3年が経ったのか…

サトシ

もういいよ投げ出してしまおう…

サトシ

そう言って欲しかったのかもな…

サトシはベンチから立ち上がり公園を去って行くのであった。

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