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霧霊山道殺人事件

第5話 - 霧隠れ

153

2023年02月07日

#ホラー

#サスペンス

#殺人

アサ

朝木　真子

霧霊なんて最初から存在しなかったんです

鹿山　大治

だろうな

鹿山　大治

全てここにいない人がやったことだ

鹿山　大治

異常者のな

朝木　真子

いや、違います

鹿山　大治

ん？どういうことだ？

朝木　真子

この中に犯人がいるんです

鹿山　大治

なっ!?

酒井　麻子

うそ...

田村　春和

冗談ですよね？

加藤　友哉

この中に犯人が...？

鹿山　大治

いや、ちょっと待てよ

鹿山　大治

最初の事件でわかってるだろ？

鹿山　大治

この中に犯人がいないって

朝木　真子

あれはあの中のうち、2人が犯行可能なんです

朝木　真子

田村→酒井→小田、鹿山→瑛二→晴恵→朝木→加藤の順番であの時は霧の中を歩いていました

鹿山　大治

そうだろ？

鹿山　大治

全員ロープで手を縛っていたんだから、誰かが止まってたり、ロープを切ってたら前や後ろの人にバレるだろ?

酒井　麻子

そうよね？

酒井　麻子

あの状況なら誰にも瑛二さんを殺すことはできないのよ？

朝木　真子

いいですか？

朝木　真子

まずあの時犯行可能なのは、田村さんと加藤くんなんです

田村　春和

え？

加藤　友哉

なんでですか？

朝木　真子

前を先導していた田村さんなら、酒井さんの前のロープをまず切ります

朝木　真子

そして、あらかじめ用意しておいた長さが十分のロープを草むらから入手し、酒井さんのロープの先を結んで、長さを延長して

朝木　真子

あの管理人の小屋の近くにあった大木まで、走って移動し、それにくくりつけ、酒井さん、小田さん、鹿山さんにバレないように横を通り、瑛二さんを殺したんです

朝木　真子

前で何かをしていても、酒井さんはメガネが濡れていて視界が悪くなっているのでバレないですからね

朝木　真子

加藤くんも同様です

朝木　真子

後ろなら何をしていてもバレないし、先ほど説明した同じことを後ろでやれば犯行は可能なんですよ

朝木　真子

長く延長したものは、また切って、崖の下とかに投げ込めば誰にもバレません

鹿山　大治

なるほどな

酒井　麻子

...

加藤　友哉

え、じゃあ、僕か田村さんが...

田村　春和

まさか君が...

加藤　友哉

僕じゃない！

田村　春和

私でもないですよ！

朝木　真子

落ち着いて...

朝木　真子

わたしにはもう犯人はわかってますから

朝木　真子

あの時、瑛二さんが叫び声を上げた時、1人だけすぐには喋らない人がいました

朝木　真子

その人物は...

朝木　真子

田村さん

朝木　真子

あなたが犯人です

田村　春和

...!!

その瞬間、全員は田村さんから少し後退りした

田村　春和

ちょっと待ってくださいよ

田村　春和

あの時すぐ喋らなかったからって犯人扱いするんですか？

朝木　真子

あの時小田さんと瑛二さんの間のロープを切ったのも皆を錯乱させ、周囲に視点を合わせないようにしたんですよね？

田村　春和

言いがかりはよしてください！

田村　春和

だったら、小田さんの時はどうなるんですか！

田村　春和

小田さんがナイフを触らないと、あの殺人は不可能だ！

朝木　真子

あれは多分、小田さんのナイフなんでしょう

加藤　友哉

あ、わかった！

加藤　友哉

小田さんはサバゲー好きだってことは、サバゲーで使用しているナイフだったから、自分が犯人だと疑われると思って...

朝木　真子

そうよ

朝木　真子

だから、小田さんは、取り乱した演技をして、ナイフを死体から抜き取ったのよ

朝木　真子

そのあと、ナイフを捨てようと思ったんだけど、毒がまわったってことでしょうね

鹿山　大治

なんて、トリックだ

田村　春和

いやいや、みんなわたしを犯人だと思ってしまってるから、どうにかしてくださいよ！朝木さん

田村　春和

だったら、晴恵さんの事件はどうなるんですか！

田村　春和

朝木さんと私のときは無事に渡れたのに、晴恵さんだけ落ちてしまった事件を！

田村　春和

ちなみに私は手ぶらでしたからね？

酒井　麻子

そうよね？

酒井　麻子

田村さんはなにも持っていなかった

加藤　友哉

たしかに

朝木　真子

あれは簡単なことよ

田村　春和

え？

朝木　真子

あの時、私が渡った時、ガムテープが橋の板に巻き付いていたの

朝木　真子

あれは板の裏に、踏んだらすぐ割れるような耐久力がない板を数枚用意して、田村さんが渡る時に、ガムテープから外し、板と板の隙間に置いたんでしょう

朝木　真子

そして、晴恵さんが渡る時に、その板を踏んで、落下してしまったんです...

朝木　真子

踏まなかった板は晴恵さんが落ちた時に、橋を揺らせば自動的に落ちるわ

朝木　真子

瑛二さんと晴恵さんを殺す為には、順番を決めた人しかできない

朝木　真子

だから、田村さんが犯人だと私は思ったんです

朝木　真子

道路に釘をばら撒いたのも田村さん

朝木　真子

霧が濃いから、あの道を通る人はいないと思っていたのだろうけど、そこに鹿山さんがいて、あれほどの事故がオカルトは思ってなかったと思うけどね

田村　春和

でも、証拠は...

朝木　真子

晴恵さんの事件の時、鹿山さんは何かが落ちた音の存在を知らないと言っていた

朝木　真子

まだガムテープがついた板がどこかに川のどこかに挟まっていると思うわ

朝木　真子

そこについた指紋とか瑛二さんの時に使ったロープを探すのだけでも、証拠になるわよ

田村　春和

...

田村　春和

お手上げです...

田村　春和

10年かけて練った計画だったんですけどね

田村　春和

こんなに早くバレてしまうとは思いませんでしたよ

田村は犯行をみとめた

加藤　友哉

なんで田村さんが...

鹿山　大治

動機はなんなんだ？

朝木　真子

多分10年前の事故ですよね？

酒井　麻子

え？もしかして、あの霧霊失踪事件の？

鹿山　大治

その事件とこいつがどんな関係があるっていうんだ?

田村　春和

だったら話しましょうか?

田村　春和

私が受けた仕打ちを！！！

田村　春和

10年前のあの時、私の娘は重い持病の発作で病院に向かう為嵐の中を運転してたんです

10年前

田村　喜美江

あなた！早く病院に向かってよ！！

田村　春和

喜美江、そんな焦るな！

田村　春和

そんな焦ると事故ってしまう！

田村　春香

ハァハァハァ...

田村　喜美江

でも、いつもと感じが違うのよ！？

田村　喜美江

この子になにかあったら...

田村　春和

大丈夫だ！

田村　春和

心配するな..!

田村　春和

この1000万をやっとのことでためたんだ

田村　春和

いつものように、また幸せに暮らせるから

田村　喜美江

そうよね...

田村　春和

だから、一旦落ち着い...

その時だった

何かにぶつかったのだ

ﾄﾞｶﾞｯ！！

田村　春和

うわっ！！

田村　春和

なんだ！！

ブレーキをかけることができず、田んぼへ突っ込んでしまった

田村　春和

うう...

私は目が覚めると、田んぼの中へ放り出されていた

春香の叫び声が聞こえる

田村　春香

ウワーーン...

小田　和樹

これは...

小田　和樹

ん？なんだこの大金は...

男が何か独り言を話している

小田　和樹

この大金があれば...

小田　和樹

またやり直せる

田村　春香

ウワーーン

田村　喜美江

春香...大丈夫...?

田村　喜美江

あなた...助けて..

小田　和樹

す..すまない...

そして、小田は2人を持っていたサバイバルナイフで刺した

小田　和樹

俺は悪くない！

小田　和樹

あの老夫婦をどうにか言いくるめて、隠蔽させるんだ

田村　春和

お...お前..

田村　春和

なんてことを...

目から込み上げてくるものもなく、そこには怒りしかなかった

小田　和樹

ちっ...まだ生存者がいたのか

小田　和樹

俺のために消えてくれ！

ｸﾞｻｯ...！！

そこから田村は記憶がなかった

朝木　真子

もしかして、その時のサバイバルナイフって

田村　春和

そうだ...

田村　春和

私たちを殺した凶器のナイフだよ！

田村　春和

そして、小田本人を殺したナイフさ！

鹿山　大治

だから、小田は焦ってナイフを...

田村　春和

そうです...

田村　春和

あの10年前の記憶が、あのナイフを見て蘇ったんでしょう

朝木　真子

そういうことだったのね...

鹿山　大治

なんて奴らだ...

酒井　麻子

そんな過去があったなんて...

加藤　友哉

ひどい...

田村　春和

俺が目を覚めたのは、病院のベットの上だった

田村　春和

周りに聞くと、全員霧霊によって失踪したってことになっていた

朝木　真子

警察に通報すれば...

田村　春和

私は警察にアイツらを突き出そうとは最初は思っていた

田村　春和

でも、目の前で家族が消されたことと、助かったかもしれないのに、助けてくれなかったアイツらを許すことができなかった

田村　春和

絶対に...！！

朝木　真子

...

田村　春和

バスの運転手をしてる中で、アイツらが墓参りをしている情報は手に入った

田村　春和

普通に殺すのでも良かったが、それだと霧霊に連れていかれたとはならない

田村　春和

霧霊に怯えるアイツらの顔が見たくて、この犯行をしたんだ

田村　春和

あなたたちには本当に迷惑をかけました

田村　春和

申し訳ない...

田村　春和

私は家族の墓に向かうよ...

田村　春和

警察は呼んでいない

田村　春和

あれは桐嶺橋へ向かうだけの演技だったんだ

田村　春和

あなたたちはここから去りなさい

そういって、濃い霧の中へ田村さんは消えていこうとした

朝木　真子

待ってください！！

朝木　真子

これからどうするんですか！？

田村　春和

墓の前で、死ぬよ...

田村　春和

もうやり残したことはない

朝木　真子

田村さん！！待って！！

鹿山　大治

...

酒井　麻子

...

加藤　友哉

...

朝木の引き止めも虚しく、姿は消えた

　後日、田村さんの自殺した死体と、他2人の死体が発見された

バスの停留所

朝木　真子

...

加藤　友哉

霧霊なんていなかったんですね...

朝木　真子

ビックリした！

朝木　真子

あら！加藤君じゃない！

加藤　友哉

お久しぶりです

朝木　真子

霧の研究は順調？

加藤　友哉

いや、あれはやめました

加藤　友哉

今はあの村の霧霊の存在を消そうと努力してます

朝木　真子

そう...

朝木　真子

他の2人はげんきそう？

加藤　友哉

えぇ...

加藤　友哉

酒井さんはブログで、あの事件を広めてるし、鹿山さんもたまにあの霧霊山道にお坊さんを連れて、供養してるそうですよ

朝木　真子

みんなあの事件を忘れてないのね

加藤　友哉

そうっぽいっすね

加藤　友哉

そうや、バスに乗ってどこへ？

朝木　真子

あぁ...

朝木　真子

私も供養に行こうと思って、バスを待ってたの

加藤　友哉

奇遇っすね！僕もです！

朝木　真子

本当？

朝木　真子

なら一緒に行きましょう

あの山道に霧霊はいなかったが、悲しい過去はあった

その悲しい過去が霧霊を生み出した

今でもあの山道の霧霊は消えない

過去は消えないのだ

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アサ

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