テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
90
270
ミユリス
315
コメント
1件
透と雫の連携、めっちゃかっこよかったよ…!初めて組んだとは思えない息の合い方、胸が熱くなった。特に「俺を信じて」って雫の言葉、重みがあって好き。透の左手の紋様も気になるし、まだまだ謎がいっぱいで続きが待ち遠しい…!
喰蝦
五体の喰蝕が一斉に駆け出した。
A
A
受験生たちは一斉に散らばる。
教官は腕を組みながら静かに見守っていた。
教官
教官
その言葉に受験生たちの表情が変わる。
喰蝕が一人の男子受験生へ飛びかかった。
A
男子受験生は動けない。
その瞬間。
紡綴透
透が駆け出した。
ドンッ!!
男子受験生を押して、自分が喰蝕の前へ出る。
心晴雫
雫が叫ぶ。
喰蝕の拳が振り下ろされる。
透は左手を前へ出した。
紡綴透
左手の甲に、淡く光る紋様が浮かび上がる。
A
受験生たちが息をのむ。
透の左手が喰蝕に触れた。
その瞬間――
喰蝕の動きが止まる。
喰蝦
まるで何かを奪われたように、喰蝕の身体が震え始めた。
透の左手には、小さな雫のような光が浮かぶ。
紡綴透
雫が地面を蹴る。
黄金色の光が拳を包み込む。
心晴雫
ドォォン!!
喰蝕は大きく吹き飛び、壁へ激突した。
A
A
受験生たちは驚きの声を上げる。
しかし。
ズズズズ……
倒れたはずの喰蝕が、ゆっくりと立ち上がる。
心晴雫
心晴雫
教官の表情が少しだけ険しくなった。
教官
喰蝕は大きく咆哮する。
喰蝦
その声に反応するように、残る四体も一斉に動き出した。
心晴雫
心晴雫
透は小さく息を吸う。
紡綴透
心晴雫
二人は自然と背中を合わせる。
心晴雫
紡綴透
短いやり取り。
でも、それだけで十分だった。
喰蝕が飛びかかる。
透は身をひるがえし、左手で触れる。
一体の動きが鈍る。
その隙を逃さず、雫がもう一体を吹き飛ばす。
A
教官の一人が思わずつぶやく。
A
学院長はモニター越しに二人を見つめていた。
学院長
その一言だけを残し、静かに目を閉じる。
喰蝕はなおも迫る。
透の額には汗が浮かぶ。
紡綴透
雫が透の前へ立つ。
心晴雫
心晴雫
透は小さく笑う。
紡綴透
二人は同時に地面を蹴った。
その瞬間――
教官が大きく手を上げる。
教官
ピタリ、と喰蝕たちの動きが止まる。
受験生たちは呆然と立ち尽くした。
教官は受験生全員を見渡す。
教官
会場は静まり返る。
そして、一人の教官が静かに笑った。
試験管
透と雫は顔を見合わせ、小さく笑う。
まだ二人は知らない。
この試験が、本当の物語の始まりにすぎないことを──。