繋ぐ（かげよこ）

俺は立ち上がりお金を置いた

店の外に出ると

激しい雨が降っていた

傘も持っていない為、少し考えた末

濡れて帰ろうと踏み出そうとしたら

大きな雷が鳴り響いた

勢いで出てきたから引き戻す勇気もなく

立ち尽くしていたら

振り向くと少し目を赤くした奏が立っていた

そういった直後に雷が鳴った

また肩を震わせていると

奏が肩に手を置いてきた

すると奏の目から涙が出た

奏が少し俯く

泣きながら話す奏

その話す内容はすぐ頭の中に出てきた

忘れるはずがなかった、

俺はこんなに苦しめる選択をしていたのかと

なんで、

高校1年の冬

寒いでしょと言いながら結局屋上で7人でご飯を食べていた時

影山くんが満面の笑みで話し出した

黙って、

お弁当を意味もなく見つめていた

何故か、

祝福することができなかった

影山くんの顔を見るのが怖かった

なんで、祝うことができなかったんだろう、

酷く胸が苦しかった

そんなことを考える自分を必死に止めた

次の日の放課後

3人で過ごした日のこと

奏が言ってること全てが

影山くんに思っていることと同じだった

信じられなかった

俺が影山くんを好き？

でも、気づいてしまった

俺、してんのか、？

衝撃すぎて焦ったけど

こいつらのおかげで少し

衝撃がましになった気がする

2週間後

あれから影山くんの顔は

あまり見れてない

持っていた箸が落ちそうになって力を再び入れる

影山くんには悪かったけど

嬉しかった

ちらっと影山くんの方を見ると

目が合ってしまった

すぐ目を逸らすけど

胸の音がうるさかった

なにを思ったのか

奏に打ち明けた

後悔はしなかった

絶対話したら引かれると思っていた

今だって、奏に言った時後悔しなかったのは

もう会わないと思ったから

でも全然そんなことなかった

俺は涙を流してしまった

言ってよかったかもしれない

そう思わせてくれた