胡蝶しのぶ
カナヲの部屋はここです。
胡蝶しのぶ
炭治郎くん、わざわざありがとうございます。
竈門炭治郎
いえ、全然、このくらい平気です。
竈門炭治郎
...逆に裏を返せば感謝しかないです。
竈門炭治郎
カナヲとの時間を大切に出来ました。
竈門炭治郎
しのぶさんは知ってますよね。
竈門炭治郎
俺の寿命のこと。
胡蝶しのぶ
......はい。
竈門炭治郎
カナヲには話してませんよね?
胡蝶しのぶ
はい、約束しましたから。
胡蝶しのぶ
それで、炭治郎くん。
胡蝶しのぶ
自分が死んでからカナヲをどうするつもりなのですか?
胡蝶しのぶ
炭治郎くんが突然居なくなったらカナヲも不安になりますよ。
竈門炭治郎
そうですよね...。
竈門炭治郎
俺もそれを考えてたんです...。
竈門炭治郎
しのぶさん、ご提案があります。
栗花落カナヲ
(...寿命?どういう事?)
栗花落カナヲ
(もう一緒にいられないってこと?)
栗花落カナヲ
(...何で?だってずっと傍で幸せにするって...炭治郎言ってたよね?)
栗花落カナヲ
(...何で。)
栗花落カナヲ
(...師範も知ってたのに隠してたんだ。酷い。)
竈門炭治郎
俺が考えた提案なんですが、しのぶさんの方で記憶を消す薬を作って欲しいんです。
竈門炭治郎
俺はもう後悔はありません。
竈門炭治郎
自分の気持ちを全部カナヲに伝えましたから。
竈門炭治郎
でも、俺が死んだ後、俺のその無責任な言葉で傷付けるくらいなら、俺を記憶から消して欲しいと思ったんです。
胡蝶しのぶ
...炭治郎くんは本当にそれで幸せなんですか?
胡蝶しのぶ
カナヲだって、結局全部思い出して辛くなるのですよ?
竈門炭治郎
どちらにせよ、ずっと長い間苦しみ続けて欲しくありません。
竈門炭治郎
ちょっとでも苦しむ期間を減らしてあげてください。
胡蝶しのぶ
......本当に後悔は無いんですか?
竈門炭治郎
......はい。
竈門炭治郎
仕方ないんです......。
胡蝶しのぶ
...そうですか。
栗花落カナヲ
...待ってよ!
竈門炭治郎
......カナヲ!
胡蝶しのぶ
......!!
栗花落カナヲ
勝手に話を進めないで。
栗花落カナヲ
何で私の意見も聞かずに二人だけで勝手に進めるの?
栗花落カナヲ
私だって、伝えたい事、言いたい事、沢山あるのに。
栗花落カナヲ
炭治郎の嘘つき...、これから先ずっと一緒に傍で幸せにしてくれるって言ってたよね?
栗花落カナヲ
...あれ、自分の寿命が分かってて言ってたって事なの?
栗花落カナヲ
...炭治郎、無責任すぎるよ。
竈門炭治郎
...ごめん、わかってて言った。
栗花落カナヲ
師範もずっと隠してたの?
胡蝶しのぶ
...............。
栗花落カナヲ
何ですぐ言ってくれなかったの?
栗花落カナヲ
ねぇ......。
栗花落カナヲ
何で.........。
胡蝶しのぶ
...ごめんなさい、カナヲ。
胡蝶しのぶ
私だって炭治郎くんを治せるのなら治したいです...。
胡蝶しのぶ
でもどれだけ頑張っても、それを治す薬がないんです。
胡蝶しのぶ
寿命と言うのは元々定められた命なので変えることは出来ないんですよ。
胡蝶しのぶ
運命と一緒です。
栗花落カナヲ
...だからって諦めるのはまだ早いよ。
栗花落カナヲ
師範、一度炭治郎と話をさせて。
胡蝶しのぶ
わかりました。
胡蝶しのぶ
なら、私はこれで...。







